2010/12/30

この手の「時事モノ」は...

『知らないと恥をかく世界の大問題』池上彰⑤
[19/226]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

最近になって、よ~く見かける池上さんの本。本屋でもテレビでも、新聞でも。これまでに読んだ池上さんの本とは違って、この本は「ニュースを理解するための基礎知識」的な内容。特に「国際」ニュースを理解するための知識として、その背景、歴史、それらを池上さんの「わかりやすい」解説でおしえてくれる本である。「売れっ子」の理由は、わかりやすい解説がもちろんベースになっていると思われるが、この本も、「国際問題」という難解な、自分にとっても苦手な分野の解説を分かりやすく説明してくれる。一度読んでおくのは必要かもしれない。読んだあとからニュースの見方が変わる!...とまでは正直言えないけれども、最初っからの「拒否反応」は少なくとも回避できそうだ。
けれど、どうもこの手の内容の本は、「タイムリー」な情報が(より)有効であって、活字になった後に当然に情勢が変わることがありうるので、「ふるい」情報になることが多々あるかと思う。また、背景や歴史レベルを超えて、自分の考え方や予想を記すと、本が出た後に逆の結果になる場合も当然ありうる話で、本にするにはリスクが高い。けど、「背景」だけの本は、内容的につまらない(教科書っぽくなりがち)。この本がつまらない、とかではないんだけど、これまで読んだ本に比べると「淡々」という印象があるのは、そういう理由があるんだろうね。だから、こういう時事内容が中心の場合は、もっと即時性の高いメディア(テレビ、新聞、週刊誌など)のほうがいいね。特に池上さんの場合は、テレビで解説を見たほうが、ずーっといいと思う。
この「感想文」を書いている後ろで、ちょうど池上さんの番組をやっている。年末年始、特番もありそうだよね。多分、見ます。だって面白いですからー。

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

さすが!「現実性」満載!!

『社長が知らない秘密の仕組み』橋本陽輔
[18/225]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

通販業界にいる限り、その存在を気にせずにはいられないのが「やずや」である。そのストーリーや会社のカラー等が、取り扱いの商材を超えて耳に入ってくる。同じ通販である。伸び切れない会社と、リーディング企業と、何が違うのか...というのは、苦戦が続く中で常に考えていることでもある。しかしながら探してみると「やずや」関係の書籍って、あんまりないんだよねー。やっと見つけたのがこの本なんだけど、そのサクセスストーリーとかそういう類ではなく、その現場で実際に行われている手法を、限りなく現実的に記してある。
結構細かい。もちろん、これを読んで自分の会社にそのまま当てはめれば「やずや」になれるわけではないけれども、正直読んだあとは、試してみたい気持ちでいっぱいになる。これほどの「実用書」はないんでないかな。「顧客ポートフォリオ理論」と呼ばれる、手法について細かく書かれている。この本の監修として名を連ねておられる西野氏が「開発」したもの、ということだが、これを一冊の本として世に出す。これを許容する姿勢、そのものが素敵だと思う。これによって自社が再興した、ともあれば、敢えて世に紹介する必要もないわけだが...お会いしたことはないが、度々お名前は耳にする西野氏の、人間の大きさ、通販「業界」の成長に対する思い、すばらしい方だと思う。こうなりたい、そんな気持ちにさえなる。
先にも書いたが、これを「流用」すれば数値があがるわけでもない。でも、この「仕組み」には、考え、思い、そんな「基本的な」(でも出来ていない)ものが詰まっている。機械的な「仕組み」ではない。それは確かだ。それゆえに、「機械的な仕組み」に限界を感じている自分には、より魅力的に映るんだろう。これは手元においておきたい本である。この「仕組み」を徹底して、その本質に至るまで身につけたい。そうすれば何かが変わる、気がする。

社長が知らない 秘密の仕組み 業種・商品関係なし! 絶対に結果が出る「黄金の法則」

2010/12/28

より「折れそう」になってしまう...

『心が折れそうなビジネスマンが読む本』中森勇人
[17/224]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

著者自身の体験を元に書かれた本であるので、臨場感、現実感が伝わってくる。「折れそうな」事態にある(と思っていた)タイミングで読むには最適!と思っていたが、どこかで「元気づけてくれる」内容を期待していた。が、本書の内容は、「折れてしまってからどうするか」「折れる直前でどうするか」という方が強くて、まだそこまでいっていない自分を認識。最近よく目にする「うつ」について書かれた本で、著者自身も仕事、家庭での「出来事」をきっかけにして、その病と闘っている、「現役」の人である。それだけに、なんちゃらカウンセラーの書いた本とは違う。もちろん「折れない」ためにどうすべきか、というのが主題ではあるので、多少なりとも参考にはなるけれども、それよりも「なったら怖いわあ」という恐怖感の方が残ってしまった...
「対策」としては、予兆を感じ取って、がんばらない、無理しない、休む、といったことが挙げられているが、 おそらくそれ以外に方法はないんだろうね。でも、そうでない状態で「頑張らない、無理しない」というのも、この世に生を受けて社会に還元すべき「大人」として、疑問がないわけではない。要は「節度、バランス」なんだろうけれども。
 一生懸命、まじめな人ほど陥りやすい...よく言われていることではあるけれども、これだって「じゃあ手を抜くべきなのか」と(極論で)考えると、どうも...ただ、ひとつ明らかに言えるのは、「幸せって何?」という究極の人生観と、気付かないかもしれないけれども周りで支えてくれている人のありがたさ。大事なものだよね。仕事よりも人間関係よりも大事だ。これを見失わなければきっと「バランス」はとれるはず。
 自分もようやく、「大事なもの」に気がついた。もちろん仕事をしていれば、生きていればいろいろある。我慢すべきところ。無理しなきゃいけない場面。でも、自分は何をもって「幸せ」なのか。自分を押し殺すことが「大人」であることなのか(そうじゃないだろう)。ようやく「見えて」きたかも、だ。

心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)

2010/12/27

「マエフリ」が長すぎた

『「WHY型思考」が仕事を変える』細谷功③
[16/223]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

「地頭」シリーズを読んでからもう1年半...かなり「面白い」本で、『いつか読みなおす』リストに入っているんだが、今回のは少々疑問符が...「WHAT型」つまり、云われたことをマンマこなすタイプが重宝される時代から、「WHY型」つまり、自ら考えることによって自分も含めた「成長」を促進するタイプへ、時代が移り変わっていると。確かに実体験でも新たに出される本でも、その傾向は間違いないだろう。その「WHY型」は、どのような思考タイプなのか、なぜ「WHY型」なのか、という「説明」が長い。その必要性もわかるし、そうでなければこれから生き残れないし、というのは自覚として既に持っている者にとっては、「説明」よりも、どうやったらそうなるのか、どう考えていくべきなのか、という流れが欲しかったかな...一方で「WHAT型」の職種もあるし、そういう局面だってまったく無意味なわけではない。これは著者も言っていることだけれども、そのバランスをとることが最大、必要なことなんだろうと思う。若干方向性が「今の(これまでの)教育体制」にまで飛躍してしまい、論旨が広くなりすぎているような気がする。必要なことだし、根源はそこなのかもしれないけれど、なんとなく「コンサル」的な発想であり、ビジネス現場で「今日からどのようにしていこうか」というレベルの者には(当面)不要かもしれない事項も少なくない。
WHY型思考=「なぜなぜくん」、WHAT型思考=「そのままくん」、と冒頭でキャラ付けをしたけれども、それが展開されることはなく...全体に抑揚のない、同じことの繰り返し、という感じです。それだけ著者が主張したいことが「一本」なのかもしれませんが、読んだ後に「さて、どうしよう?」となってしまう。そこを「考える」ことが大事なのはわかっているんだけど...

「WHY型思考」が仕事を変える (PHPビジネス新書)

2010/12/25

「いい老人」になる秘訣ですね

人生の軌道修正 (新潮新書)
人生の軌道修正 (新潮新書)
  • 発売日: 2009/04
『人生の軌道修正』和田秀樹④
[15/222]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

トシをとるってどうなることなんだろう?もちろんトシをとった自分はわかるわけがないので周りを見て想像するだけだが...多分、自分が小学生の頃に、「大人になったらどうなるんだろう?」って想像したのと変わらないんだろうな。でもなってみると意外に「変わっていない」自分がいたり。もちろん体力的な変化はあるし、さらに「老い」に向かっていけば、明確な「現象」も自覚せざるをえないだろう。けれども、これって今考えてもしょうがないところもあって、あんまり「変わらない」かもしれないし、自分は自分だし。ってラクに考えるしかないよね。
すごくいいタイトルだと思う。特に自分くらいの年齢に達するとおそらく誰もが一度は考えるようになるポイントではないかと思う。これまでやってきたことの振り返り。これから進む道の見え方。周りの環境の変化。肉体的、精神的な変化。諸々、少し「引いて」観ることができるようになって、それが自分を見つめなおすきっかけになったりして。考えるんですよ、この時期。思春期や青春期のようにね。そんなに「希望的」ではない分、表に出にくいけど、でも真剣なんですよ、オヤジなりに。
という意味でタイトルの「ビビッド」度合いに比べると、その内容は今ひとつインパクトに欠ける印象が。著者自身最後に言っているように「あちこち脱線する」のが読みにくいし、小見出しについてもまるで広告宣伝のようにインパクト勝負で内容がついていなかったり。そんな中で、自分なりに「読んだ」のは、
年取ったって、普通の人間。無理せず、期待せず。自由に楽しく。
というおおらかさ、かな。自分らしさ、っていうのかな。ところどころ、例えば「インプットをしたらアウトプットすべし」とか、なんか唐突な「ノウハウ本」的な箇所もあったけれど、本質は「気楽に行こうよ」的なところではないかと...著者のホントに言いたいモノとは違うかもしれないけど、結構自分にとっては「いい」ポイントではないかと前向きに捉えているんで、まあ、そういうことでいいんではないかなあ。深く考えて悩んじゃうよりはいいよね。

人生の軌道修正 (新潮新書)

2010/12/22

「不思議な算数」はなかったけど...

『「とりあえず、生!」が儲かる理由』江間正和
[14/221]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆


昼は店舗コンサル&夜は店のマスターという、「実践」コンサルの書いた、飲食店の「謎」解き。...50の質問に答える形で進んでいく内容。自分の今の環境(そしておそらく将来も)では、「お店」を出すことはないとしても、ECサイトという、言ってみれば「お店」を運営する立場としては、興味関心はある。そこに信念的なものであってもヒントが見つけられればいい。直接的ではない、こういう類の内容からの方が、何か見つかる可能性はあるんだよね、意外に。
さて、店を持つためにはいくらくらい必要なのか、その心構えは?等々、シンプルな「Q」に対して、著者が「A」を「コンサル」していく流れである。副題にあるような「飲食店の不思議な算数」は、どこにもなかったけれども(「あたりまえの」算数はあった)、誘客の考え方=直接的に効果を見込めるだけでいいのか?、とか、費用の考え方=必要なものに使う。不要なものに使わない、とか、当たり前だけれども、苦しくなると、目が曇るとつい見失いがちなものはあった。これらはリアルの飲食店も、一緒だなあ、って。オーナーとしての気構えとか、責任感とか、そのあたりが(奥ゆかしくも)あまり出てこなかったけれども、実はそのあたりをもっと知りたかったな...という消化不良はある。そして「トイレが詰まったときにクラシアンは安い」的な、それこそ「不思議な算数」ではないところもいくつかあったりしたが...このあたりは「本当に現場にいる」現実感、ということなのかな。
もしも本気で飲食店を出すことを考えている人には多分不足だろう。ちょっと引いた(余裕のある)立場から読めば、「軽い読み物」としては読み切れる。タイトル(特に副題)に惹かれてしまうと、(自分のように)「えっ?」となる可能性が。

「とりあえず、生!」が儲かる理由 飲食店の「不思議な算数」2 (セオリーBOOKS)

2010/12/21

読むだけでトシとった気になります

頭がいい人の45歳からの習慣術 (KAWADE夢新書)
頭がいい人の45歳からの習慣術 (KAWADE夢新書)
  • 発売日: 2004/08/24

『頭がいい人の45歳からの習慣術』小泉十三
[13/220]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

タイトルが「濃い」ねえ。こんなタイトルの本を手にするようになってしまったんだねえ...って感傷に浸るわけでもなく、前向きな気持ちで読み始める。気にしてみれば、この年代向けの「悩むよねえ、この年頃は」というテーマの本が多い。本書はどちらからといえば、「ライト」な、あまり深堀りしない感じの本ではあるが、なんとなく「ほのぼの」してしまって、「悩み」に対するソリューションというよりは、「同調」という感じ。それはそれ、特に読後感が悪いわけでもなく、一方ではそれほど印象に残るでもなく。
来るべき「老い」に向かい、どのようなスタンスをとるのか、何かをし始めるのに年齢は関係ない、とはいえ、この年代で始めるべきものはやっぱりあるだろう。ある意味「ラストチャンス」ともいえるこの年代に、何を考えるのか、何を始めるのか、或いは始めないのか。タイトルに掲げれた「年齢」にはまだ数年の猶予はあるものの、やっぱりそういうことを考え始める年頃なんだ。これまで突っ走れたものが、ふと立ち止まると見えてくるものはある。ここで後ろを振り向かないこと。これが一番大事なんだろうな、って思う。本書ではそのような「前を向け!」という表現はなかったものの、「無理せずに、あせらずに、等身大の自分で、これまで作り上げてきた自分のままに、一歩一歩、歩いていこう」というようにメッセージを受け取った。これは結構ポイントだったりする。「基礎編」なんだろうけれど、重要な点も含まれているような...
ただ、どうも、多分このテーマで本を書くとそうなってしまうんだろうけれど、「老い」が前面に出てしまって、「自分もこの領域に足を...」という感じが伝わってきてしまうことは否めず。この空気を受け入れてしまうのか、まだまだ、と(とりあえず)反発しておくか...「自分」を見つめ直す。いいタイミングなんだろうね。

頭がいい人の45歳からの習慣術 (KAWADE夢新書)

2010/12/19

表面的な言葉も、表面的な本も...

ワークライフ“アンバランス”の仕事力
ワークライフ“アンバランス”の仕事力
  • 発売日: 2008/11/19

『ワークライフ”アンバランス”の仕事力』田島弓子
[12/219]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「ワークライフバランス」その根本にある考え方、つまり何のために仕事をするのか、それが手段になっていませんか?ホントにそれでいいのか?とか、これ自体にはすごく共感する。が、このフレーズが今ひとつ根付いていないのは、時間的なイメージがつきまとい、「現実的にはサービス残業していて、「バランス」どころじゃねーよ」的な場面が多いから、なのだろうと思う。「時間的に」バランスをとれている人はおそらく、仕事をができない人だろう、大方の場合は。だから「時間」に焦点を当てるのではなく、仮に時間的には「アンバランス」でも、「ワークライフバランス」が取れている人はいるだろう。そしてそれがこの言葉の本質だ、本質のはずである。
個人的にはそういう考えをしてきているし、そうであるべきだと思っていて、本書のタイトルにあるような、(ある意味での)アンバランスはあってしかるべきだと思う。だって、「時間を忘れるほどのめりこむ時期」って、絶対に必要なんだと思う。将来的な何かの為に、というわけではなく、その瞬間、その目の前の「仕事」に集中すること、これ自体がすっごく大事であって、その意味ではその「結果」は「最も大事な」事項ではない。仮に失敗したとしても、その次の成功へのプロセスと考えられ、むしろその結果を出すための時間、集中力、努力、それがチカラになるはず。
実は(こんな自分でもそう考えてしまうくらい)この(タイトルの言葉である)「ワークライフバランス」は捉え方が難しい。故にこの本にはある種「期待」したのであるが、どうも著者自信のかなり深い経験の割にはいまひとつ薄いんだよなあ。考え方には共感できるんだけど、文字にするとどうしてこう軽くなってしまうんだろうなあ。著者が本書を以って伝えたい対象が、「若い人」のようにも思える(明確には書かれていないが)。「若い人」は、この言葉を知らなくていい。時間も何もかも「仕事」に集中すればよい。そんな「オヤジ」の考え方が身にしみてしまったから、書かれた内容にギャップを感じるんだろうか。

2010/12/17

興味深い話だが、「かゆいところに」手が...


『ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術』並木裕太
[11/218]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

商品開発、マーケティング...これらのヒントにするために実施するアンケート、インタビュー。「調査」と言われているモノにどれくらいの価値が見出せるか、そこに本当の意味での「ヒント」はあるのか?見いだせているのか?つまりはその調査結果が「ホンネ」なのか「建前」なのか、それを見抜くことが必要になってくる。回答から、その前提となった心理を見いだせるのかどうか。そもそも「表面的な」調査をする意味を吟味する必要に迫られる。
勢いが鈍ってきたとき、数字が想定と乖離してきたとき、どうしても「市場調査」に頼りがちだ。そこになんらかの糸口を見つけたくなる。例えば「この年代の女性はこういう傾向にある」。その結果がどう自分の目の前の課題に役立つのか、どう活かすのか。結果を活用することが本質であり、そこには「目」が必要になってくる。その結果に全面的に頼ってしまっては、何も変わらない。
そんな「問題意識」は既に頭にこびりついている。「鵜呑み」するほどに短絡ではないつもりだ。そこでこの本に書かれているような、「建前」と「ホンネ」という考え方には非常に共鳴する部分がある。つまりはヒントにすべきは「ホンネ」であって、その「ホンネ」を引き出せる、或いは「ホンネ」を手繰り寄せることができるような調査でなければならない。ヒット商品がその「ホンネ」からヒントを得てそこから考え抜かれている(単に「考えられてる」ではない)ことの事例がいくつか。それはそれ、「ヒット」を生み出すのは当然に「抜く」ことが大事なんだろう。そんな簡単なことではないからこそ、「ヒット」商品であるわけで。
著者は「心のレントゲン」という表現を使って、その「ホンネ」を見抜くマーケティング手法を活用している。それは本質であることには間違いない。けれども、本の冒頭部分で「心のレントゲン」の使い方を教えます、っていう件であったにも関わらず、書かれている内容は、「レントゲンの結果」のみであって、タイトルにある「技術」についてはまったく触れられていない。つまりそれらが本当に「ホンネ」であるのか、それが疑わしくもなってしまう。というのは書かれていることが「結果」しかないから。
すべて、ではなくとも、「レントゲン」を使うための「技術」にあたるもの、もしくはその「ヒント」があれば、と思う。結局、結果だけの記載では、「技術」ではないわけで、そういう「考え方」を指南してくれているにすぎない。「考え方」は既に持っている自分としては消化不良、なんだな。1000円前後でそんなヒントが得られる、と思ってしまうのが間違いなのかもしれないけれど、さ。

ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術 (講談社プラスアルファ新書)

2010/12/15

生き方...簡単にはいかないね

おとなの進路教室。
おとなの進路教室。
  • 発売日: 2007/03/16

『おとなの進路教室。』山田ズーニー
[10/217]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

直前に読んだ本『大人のための文章教室』とタイトルが似ているのは単なる偶然。それが「読みやすかった」のに対して、この本は冒頭から著者自身が「さらさら文章ではありません」という布石を打たれていた、そのままの印象です。
生き方。働き方。今の自分にはまさに「タイミング」ではあるのですが...著者自身が会社員を自ら離れ、悩みながら今の自分を見つけた、そんなご経験を元に、生き方、働き方を綴られています。書かれている以上に葛藤はあったはずだし、自分を見失いがちな時もあったことだと思います。それを乗り越えたからこそ、今がある...そういう読み方をすべきなのでしょう。が。ヒネクレ度合いが高まっている自分は、「今の自分」、乗り越えた自分の像が、この本の中からは見いだせなかった。苦しい経験をされてきたのは伝わりましたが、それを経て今、どうあるのか、というのが、非常に抽象的でわかりにくい、そんな印象が強い。まさに「文章教室」で言われていた、「伝わる文章」になっているかどうか。不安定な自分には、行間を読んだり、深読みしたり、というのは苦手でございます。もう少し「さらさら読める」ものであればよかったなあって思いますね。
自分を見つめ直す。それには何歳であろうと関係ない。本当に自分の立っている(べき)場所はどこにあるのか。そんなことを考えた。そういう(小さな)きっかけは与えてもらった。「場所」「夢」「他者」「金」...キーワードとしては残るものは少なくないです。ただ、この「重い」読後感がなんとかならないかなあ、と。

おとなの進路教室。

2010/12/14

「本質」だなあ。さすがです。

大人のための文章教室 (講談社現代新書)
大人のための文章教室 (講談社現代新書)
  • 発売日: 2004/10/19

『大人のための文章教室』清水義範
[9/216]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

ずーっと前、著者の小説を片っ端から読んでいた時期があった。「ひねり」と「知性」が感じられて、一方では「軽い」と捉えられがちだけど、自分にとってもあっていて、読んでいて楽しかった思いがある。いつのまにか「小説」の類を読まなくなって離れてしまったが...
本書は、著者が(特にビジネスマン対象に)「文書の書き方」を教える内容。それも「ひねり」があるし、よくあるハウツーや名文の引用ではない。そこに著者自身の経験則や、「伝える」技術もあって、「軽く」読めるのだけれども、本意がキチンと伝わってくるのはさすが。誰かに読んでもらう、という意志のもとに書かないと上達しない、とか、そもそもまず「読まない」と書けない、とか。楽してテクニックだけをかいつまんで文章が上達するわけはないのであって、やっぱり「引き出し」を多くしておくことが大事だし、著者の「パスティーシュ」と呼ばれる所以はやはり、その(模倣される)作家の文書を、好きでたくさん読んでいる、ということが前提になっている。そりゃそうだわなあ。でもそれをやらないでテクニックで済まそうと思ってしまうことがないか?当然そんな表面的なものは仮に一時的に「あたった」としても、薄っぺらいんだよね。だからこそ著者の書くモノに「知性」を感じて「読みたい」気分になるんだろう。
現状では「書く」ことは生業ではないけれども、この「感想文」にしたって、やっぱり「誰かに読んでもらう」ことを念頭に上達しなけりゃいけないんだよね。そりゃ「うまく」なりたい。伝えたい。引き出しを増やすのとアウトプットすること、改めて考えて、惰性でいかないよう意識します。

大人のための文章教室 (講談社現代新書)

2010/12/12

(勝手に)期待した方向ではないけれども..



『ビジネスで一番、大切なこと』ヤンミ・ムン
[8/215]Rakuten
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

積読が多くて、原則「先入先出」で読んでいるせいもあって、「今話題の」本をその(話題の)タイミングで読むことってあんまりない。この本はそういう「稀な」タイミングで読んでみたが...なんとなくこれまで自分が読んできた流れとしては、「ビジネスに大切なのは、テクニック「だけ」ではなく、考え方や、本質的な「思い」も含めて」という漠然としたイメージを持ちつつあり、「数字」の限界を感じつつもある中で、どのように自分を、自分が携わる価値、言い換えれば、主役=顧客を根本とする構造の中で自分はどの位置にいるのか、いるべきなのか、その上で「大切なこと」とはいったいなんだろう?...という複雑な(自分で「複雑」にしている傾向はあるけれど)中でこの本、このタイトルに期待すべきは...
ちょうど「真ん中」といったところでしょうか。所謂マーケティングのセオリーはもちろん知識としてあるという前提の上で、「脱」「超」セオリーの手法が抜け出して成功している事例がある。これまでのセオリー「だけ」を追い求めている企業は、「差別化」しようとして「同質化」している、これによって「ブランド」というメッセージが顧客には受け入れられなくなっている...
確かに、アップル、AIBO、MINIクーパーのマーケティングに代表される成功事例は、これまでのセオリーで成功しているのではない。それを超えた「感性」により近づいた手法だろうと思う。けれどこれらの手法をとっている企業だって何万とあるはずで、この手法をとったからすなわち成功というわけではない。そういうところを考えると、従来型でも、超セオリー型でも成功も失敗もあるわけで、この分類そのものの意味があるのかどうか...やっぱり「複雑」だなあ。
そこは「教授」なので、どうしてもテクニック論に偏る。それがいいのかどうか、悩む今の自分にとってはそこで解決策を見つけられるはずがないんだろうなあ。今近寄りたいのはむしろ「心理学」「行動学」であって、「統計学」ではないのだ。だからこの本は読む側のステイタスによるものかと..肯定も否定もできないが、異なるスタイタスになって読み返すことはあるかと思う。

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

2010/12/10

大事なポイントがあるにはある

選び抜く力 (角川oneテーマ21)
選び抜く力 (角川oneテーマ21)
  • 発売日: 2009/03/10

『選び抜く力』伊藤真②
[7/214]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

メディアでも見かける司法試験対策の塾先生。自分はその試験を目指したことがないので、表面的な「難しさ」しかしらないけれども、相当な難関であることは間違いないだろう。その先生が教える「勉強法」。といってもテクニックではなく、「考え方」を示唆してくれる。巷にあふれる「ハウツー」の中から自分にあったものをどう選ぶのか。どれが正解とは著者はいわないけれど、その選ぶ基準を教えてくれる。一言でいえば「自分にあったもの」というのがその答え。う~ん、深いんだか、結論の見出せない内容なのか、よくわからないけれども、「考え方」自体には共感できる。周りに踊らされて飛びつくよりも「継続」できるものが結果的にはよい、という、一方からみれば「あたりまえ」ではあるんだけど...
けれども少なくとも「結果」を出している、出し続けている先生の示唆である。そして司法試験合格から弁護士、それを捨てて教育の現場に飛び込んだ著者が「続けている」考え方である、ということは、つまり「継続は力なり」というものの正しさを伝えているなによりの証左であることはまちがいない。
さて、自分に置き換える。勉強することはその先に何があるのか、記憶することが目標ではもちろんないわけで、その先の到達点のために勉強をする、そのやり方を考える、その際に「到達点」を見失わない...正当であって進むフローではあるけれど、その流れの中にいると見失うことが多い。それを回避する「チェックポイント」のようなものが欲しい。「到達度」の実感なのかな。本を読むこともやはりその先にあるものが見えないと、「惰性」になってしまうよね。ただけしてマイナスにはならない、そんな思いでつづけているんだけれども。
司法試験という(自分からすれば)遠い世界の話かもしれないけれども、「勉強」という軸で考えた場合に、「近い」存在として実感できる本です。「継続」。これはこれからのテーマのひとつだわね...

選び抜く力 (角川oneテーマ21)

2010/12/09

各論はよくわかった。全体像が...

なぜ勉強するのか? [ソフトバンク新書]
なぜ勉強するのか? [ソフトバンク新書]
  • 発売日: 2006/12/16

『なぜ勉強するのか?』鈴木光司
[6/213]Libary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

そう、あの『リング』の著者である。読み始めるまでは「その人」であることに気づかなかったけれど...もうどれくらい前になるか、(映画化の前に)『リング』を読んで、印象的で面白かったイメージが残る(「コワイ」という印象よりも強い)。著者が「子育て」「教育」に造詣が深いことはこれを読むまで知らなかった。
「勉強」について、いまさらながら関心が高い自分としては(実行力が高いかどうかは置いておく)、「なぜ」というテーマは非常に興味深い。自分本位な考え方ですが。この本の内容としては、「こども」が対象になっており直接的には、その「自分本位」のワタクシ向きではないけれども、まさにその対象「こども」を持つ親としてのワタクシには興味深い内容である。要は「手段と目的」論がここでも出てくる、という感じ。勉強する先にあるものは何であるのか。よく持ち出される例として「微分積分」や、「年表のゴロ合わせ」など、実生活で役に立つのかどうか。断片的に公式を覚える、年号を覚える、これは「テクニック」であって目的ではない。全体をグリップするなかで公式、年号は必要になってくる。それがあるかないかで「広がり」が違うんだよね。なんとなくだけどそんな感覚はある。あるんだけれど、その感覚が身に着いたのはやはり大人になってからであって、「現場」時代にはそんなことを考える環境ではなくテクニックを身につけるのでせいいっぱい。「せいいっぱい」だったのか、教えてくれるひとがいなかったのか、それは今さら「解析」するつもりはないけれども。故に、次世代に「意味」を伝えていくことはやはり重要なんだと気づかされる。
なにより「昔はよかった」発言の全面否定は興味深い。これが「こども」たちの厭世感を醸成してしまっている可能性が高い、という説。たしかに「よくはなかった」昔を改善するために社会は変わってきているはずで、昔のいい面と今の悪い(悪く思ってしまう)面を断片的に比べるのは、前記した「年表のゴロ合わせ」と一緒で本質的な意味ではないし、前向きな環境ではないね。確かにそうだ。
そして「競争社会を煽る」ことの意味についてもいいことを言っている。「世の中にでれば競争なんだから」というのも事実かどうか。そう、社会人として生きるためには、著者のいうように「協力社会」であるべきなんだよね。競争ももちろんあるけれども、競争に打ち勝つには「協力」が必要。絶対に必要なんだ。
さすが「モノカキ」のプロ、要所は非常に分かりやすく響くモノはある。けれどもなんとなく全体として「薄い」感じを持ってしまうのはどうしてなんだろう...わかりやすくする「テクニック」として使用している事例があまりに広範囲にわたっていて散漫な感じがするから、かなあ。

なぜ勉強するのか? [ソフトバンク新書]

2010/12/07

くるしい...が難解の中にも光は...

悩むチカラ ほんとうのプラス思考 (PHP新書)
悩むチカラ ほんとうのプラス思考 (PHP新書)
  • 発売日: 2005/06/16

『悩むチカラ』伊藤友宣
[5/212]Library
Amazon ★★☆☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

悩むチカラ-ほんとうのプラス思考...副題も含めて「今」の自分が引き寄せられるタイトル。図書館の棚で「出会った」が、AMAZONレビューでは「読みにくい」類が並ぶ。はたして...言われるほどの難解さではないものの、著者の真意が伝わってこない、確かに読み解きにくい文章だった。長い。とにかく一つの文章が長いんですね。んで、肝心の「悩むチカラ」がなんであるのか、「ほんとうのプラス思考」をどのように自らの力としていくのか、そこがわからずじまい。もちろん著者自身には、多種多様な人間と接した経験や、哲学的な素養、ご自身の幼少時代のご経験...これらから「悩むチカラ」が、特に現代の日本には欠けている、必要であるということが根底にあるはずなんだけど、大部分の「凶悪犯罪の加害者の心理」などにページを割いていたり、心酔さえている経営者の言葉に寄ってみたり、少し偏っているみたい。そこから「これが結論」というものが見えにくい。犯罪心理については、個人的には相容れないものがあり、教育環境や社会的なそれが一因である、というのはどうも腑に落ちない。そんな環境下であっても自分を見失わない人間が大多数なわけで、どうにもこうにも「本人の責」である、それだけだと考えているので。それはそれとして、「悩」んでいる今の自分にヒントになるものは残念ながら少なかった。1点、直接的には書かれていなかったけれども、「幸せって何?」という、これまた「今の悩み」に対しては、「経済資本」に対する「文化資本」という言葉を以て、「文化資本」すなわち「健全な知情意を堅持し得る」ことが一つの要素である、と捉えた(この解釈が著者の主張と合致しているかは定かではない)。哲学表現で難解だったが「自分のため」と「他者のため」の二つを持つことでその先に進める、というのも「幸せ」の条件だと捉える(「正」「反」「合」の考えかた)。ところどころ、こういう本質的なところは見えたりする。けれども、読み手がそれを「深読み」する必要に迫られるのは、とにかく疲れますわ。
主旨からはまったく外れるが、著者自身の体験をもって「食べ物の好き嫌い」と「他者に対する好き嫌い」が合致する、こんな点もわりと「そうそう」という感覚だったり...これは完全に傍流ですけれども。

悩むチカラ ほんとうのプラス思考 (PHP新書)

2010/12/06

この人はいったい誰なんだろう?

テレビは見てはいけない (PHP新書)
テレビは見てはいけない (PHP新書)
  • 発売日: 2009/09/16

『テレビは見てはいけない』苫米地英人
[4/211]BookOff
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

電車内広告でよく新刊の広告を見る苫米地さん、これまで読んだことがなくて、「1冊くらいは...」という気持ちから選んだ本である。タイトルにあるが、内容としてはもっと大きく「メディアに左右されてはならない」「メディアは偏った考えである」ということであり、つまりは「メディアリテラシー」を身につけないと大変なことになるよ、というメッセージと受け取った。
が、それ以上でもそれ以下でもない。テレビをはじめとするメディアが一方的な考えである、と主張すること自体も、ある意味「一方的」ではある。フラットな考えを持つためにはやはり両社の意見、考え方を身につけた上で、「見抜く」ことが必要だろう。インターネットの情報についてはほとんど触れられていないけれども、特にこれについては「見抜く」ことが大事で、多少なりとも多くの人が「懐疑的な」見方をしていることと思う。テレビも同様、ということにすぎない。感覚的にも取り入れやすいことで、新しい発見ではない。主張が強いので、著者自身が「洗脳」しようとしているように(穿った)見方をしてしまう。「テレビはダメ」といっているが、じゃあどのように「使う」のか、という点もなく、自分がかかわっている「メディア」が正しい、という主張にすり変わる。なんとなく「宣伝」っぽい。
それにしても、脳の研究者であり、著者であり、新興宗教の信仰者を脱洗脳したとか(これ、知りませんでした)、媒体を持っているとか、芸能プロダクションを持っているとか、なんでも「持っている」人である。どんな人なんだろう?あまりに「なんでも」という感じで、「本業」が何であるのかつかめない。誰?

テレビは見てはいけない (PHP新書)

2010/12/04

納得!でも...

外国語を身につけるための日本語レッスン
発売日: 2003/09
posted with Socialtunes at 2010/12/04

『外国語を身につけるための日本語レッスン』三森ゆりか
[3/210]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

英単語を知っていても外国人と話しができない...それは「言語技術」の未熟さにあった!という著者の持論。外国では普通に思考回路にあるような順序だて、考え方といった「技術」が日本の教育におけるそれと異なるため、日本語の「曖昧さ」を残したままでは外国人との会話がつながっていかない。つまりは、外国人と話をするためには、まずは母国語(日本語)で外国語の「言語技術」を身につけるべし!という内容です。それには「主語の明確化」「対話するための『問答』」「説明の技術」これらを学びましょう...なんかすごくしっくりきます。自分は今現在外国語を習うとか外国人と話をする環境にはないのだが、ニュアンスとして言わんとされていることは分かる気がする。つまり文化、教育的な背景、環境の違いが「対話」のズレを生み出すといったこと。確かにここを理解すれば、いや理解しないと「文法が間違ったって伝わるのさ」という、よく言われているようなフレーズは成り立たないだろう。「伝わる」ためには、考え方や伝わり方、すなわち「技術」を習得せねばならんのだからね。
実際にトレーニングしたり、異なる背景を持つ外国人と「対話」をする機会はそうそう自分の周りには発生しないと思われるが、まずは「日本語」でその技術を習得する、という考え方には同意です。良くも悪くも「表面化しない一歩深いところ」を読み取ることが日本語における対話の特徴だと思うが、「言語技術」の習得(あるいはトレーニング過程において)によって、日本語の「よさ」というのも再認識できそうだ。「主語を必ずつける」というのは日本語の「会話」としては違和感だけれどもまずは「意識」が考え方を変える。逆のパターン「外国人が日本語の背景、環境を知ろうとする」ことがほとんどないように思えるのが不思議だしシャクではあるけれども、コミュニケーション手段としての「英語」にはかなわないもんなあ。
全体通して、書かれている内容は興味深い。けれども「言語」を専門にされている方の本は、理屈っぽくて読むのに疲れるんだよね。そもそもそんなことを行っていたら「言語技術」が身につかないんだろうけどさ。でも本1冊どこにも「エンターテイメント」が無いのも困りものですね。だって、英語って「ユーモア」が大事でしょ。


外国語を身につけるための日本語レッスン

2010/12/03

「古田」らしさが見られない...

「優柔決断」のすすめ (PHP新書)
発売日: 2009/10/16
posted with Socialtunes at 2010/12/03

『「優柔決断」のすすめ』古田敦也
[2/209]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

野球がうまいひとはアタマのよさも必要。=アタマがよいアスリートはかっこいい。そんなイメージを世に出した先駆者的な人。現役時代をほぼ全期間しっている自分にとっては、それまでの「一流」プロ野球選手の像を変えた人でもある。また「キャッチャー」というポジションに光を当てたことでもある。従来の「地味」なイメージを覆した...派手さはないかもしれないけれどもある意味「革新的」なパフォーマンスを見せてくれた著者だけに、その著書も相当...と思っていたけれども、内容として特に斬新な切り口はない。それはそれで「当たり前のことをいかに真剣にやれるか」ということがポイントなのかもしれないけれども、タイトルから伺いしれるような「広い視野を以て、柔軟に受け入れるインプット体制と、その場でアウトプットできる意識」というところからの広がりは、ない。もちろん、それが十分できる、継続的に成長できる人はそう多くはないので、著者が成功した証でもあるのだとは思う。
自分の勝手な見方ではあるけれども、選手として、野村監督、若松監督という指揮官の元でプレイしたときの古田選手時代と、かなりの話題を以て登場した「プレイングマネージャー」時代とを比較すると、やはり選手時代の方が魅力的であった。それはそれ「兼任」がいかにハードか、を示したものであるのかもしれないけれども、もしかしたら選手時代にはあまり感じなかったような「制約」が課されていたのかもしれない。与えられた環境の中でできることはすべて出し切る、というスタンスの著者であるからこそ、「監督」としてもう少し長くその姿をみたかった気もする。長い期間でみればおそらくなんらかの「結果」を出してくれただろうと思う。少し残念。
印象に残ったのは、選手時代に師事した二人の監督の「マネジメントの違い」の箇所。それぞれトップダウン型、コミュニケーション型、と違いはあれど、それぞれ「結果」を出された素晴らしいマネージャーであり、時代も環境も彼らを呼んでいたのだろうし、そのマネージャーの元、現場のリーダーとして支えた著者の功績ももちろん大きい。その経験があるだけに、もう一度球界に戻ってきてほしい。そんな一野球ファンとしての思いはある。この本はそこまでのもの。若干「遠目」から見る見方や、無理やりにビジネスに結び付けようとしている箇所もあり、そこが本来のフルタの魅力を減じている要因であるかとも思える。

「優柔決断」のすすめ (PHP新書)

2010/12/02

肩透かし...[>期待値]


『真実の瞬間』ヤン・カールソン
[1/208]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

読むのが遅い...と言われそうなほど「有名な」本だと思う。もう20年前か...経営危機状態だったスカンジナビア航空を救った若い社長、その考え方と実行力。そんな内容で、タイトルのスマートさも含めて期待値は高かったのだが、おそらく読む順番を間違えたのと、組織を活性化させるやりかたについて、結構(もしかしたらこの本をベースにして)書かれた本を読んできているので、あまり斬新なイメージは持てず、「真実の瞬間」に自分は出会うことができなかったようだ。
もちろん、「製品主義」から、「顧客主義」への視点変更、つまり機材を売った買ったではなくて、航空会社は、安全に快適に移動をサポートするサービス業である、ということを少なくないスタッフたちに浸透させていったこと、迅速な対応を求められる現場のスタッフが裁量、決定権をもつような仕組みを作り上げたこと、これらは非常に興味深い。その改革を推し進めた著者のリーダーシップを含め、まさに自分ができていないことである。そうなんだけど、今現在は、自分の方向性が「他人への貢献」という視点に移っていて、会社本位ではなくなりつつあることと、そういった思いと現実でどう対処すべきか、どう進むべきか、っていう深い悩みを抱えているので、この本のような「成功事例」を記載したもの、それ以上深くはないもの、というのはあまり響かない環境である。
なんとなく著者の実像、どんな人であるのか、というのもわかりにくく、もちろん「結果」がすべてを表しているのだとは思うけれども、人物が見えてこないと感情移入もしにくいなあ。自分を取り巻く環境が変わった時にもう一回読む...ことはないですねー。

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

2010/11/30

引き寄せたのか...


『会社が嫌になったら読む本』楠木新
[21/207]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★★

通常は「先入先出」で、買った順に読んでいるのだが、買ってすぐに読み始めた...タイトルに刺激されたこともあるけれど、理由は説明できないが「呼んでいる」気がして...通常の自分の「書斎」である電車内では若干読みにくい(カバーをして読んでいないので)のだけれど、タイトルから想像されるのは所謂「刺激的なハウツー」本、若しくは「後ろ向きな、病的な」本だろうと思う。...非常に「まじめな」内容です。この年代に「発症」しがちな「会社本位」の生き方でよいのかどうかというアンチテーゼ。これに対応する自分自身の軸をどのように考えるのか、どういう方向に持っていくのか。単純な「スキルアップ」の本ではない。あふれている「キャリアプラン」とも違う。もちろん「うつ」に対する何かのヒントが直接的に書かれているわけでもない。著者は会社という組織にいながら、一時「離脱」された経験をお持ちでその時に考えたことや、その後の「転身者」へのインタビューを繰り返す中から何かを見つけた。「転身」という言葉を使っているのも新しいし、気持ちがよい。前向きな感じがする。大手企業でのぼりつめた方々が中心ではあるが、従来の会社本位の流れから、個人を主役に置いた生き方、数字や経営指標を追い求める姿から、他社への役立っていることを求める姿へ。そのような「転身」をされた方々は、著者のインタビューにおいては皆さん、「いい顔」をされている、という言葉が何度も出てくる。これって抽象的に見えるけれども、人間として本質だったりする。思えば、20数年前。就職にあたり父親と神保町の喫茶店で話をしたことを思い出した。その時に自分が言った言葉は「いい顔になりたい」ということだった。20年の時間は流れて、自分は「いい顔」になっているのか?なってきているのか?自問する。もしも「まだ」であっても、これからの時間だって十分にある。人生80年と考えれば折り返し地点にたどり着いたに過ぎない。前半と後半、同じ走りをすることはないし、前半を振り返りすぎても時間はなくなるだけだ。そんな前向きな気持ちになれる。
今、そういう気持ちなんだろう。故にBookoffの本棚で引き寄せられて手にとって、すぐに読み始めたのだろう。これも何かのきっかけであるはず。著者が本書で繰り返し述べている、「行動すること」。転身して「いい顔」になっている方々は、その転身においては「行動」の中できっかけを得て、行動の中から「成長」する場所を見出している。もちろん従来のものを捨てるという挫折感や、思い描いていたイメージと異なる場面など、数え上げてたらきりがないくらいだろうと思われる。でも結果として「いい顔」になっているんだ。「いい顔」になるために自分はどうすべきなのか。行動しながら決めていこう。だって「いい顔」になりたい。20年を超えて実現すべき目標なのだから。

会社が嫌いになったら読む本(日経プレミアシリーズ)

2010/11/28

「もしドラ」よりも「いつデブ」だなあ



『いつまでもデブと思うなよ』岡田斗司夫
[20/206]BookOff
AMAZON ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

そう、ダイエット本です。でもおそらくはそのダイエット法以上にこの本が話題になってましたよね。自分もダイエットの手法はしりませんでした。基本的にはその手法を紹介した指導書ですが、でもそれだけではない。「ふとっている」よりも「やせている」方がよいのは、経済活動の中でのメリットもあるが、なにより「時代」がそういう流れであり、「やせている」方が圧倒的に有利な世の中において、それを目指すメリットから導入。確かに著者のいう「見た目第一」の流れは確かにあるわなあ。「ヒトは外見よりも中身」という言葉はもちろん生きているけれども、その「現実味」が薄れてきているように思われます。これは何かの指標というよりも実感値として。というか、実際にそう考えた方がしっくりくるような事例も多々あるしね。そんな中で不幸にも「やせていない」ヒトはどのように「やせる」のか。その手法は一つだけ=記録をつけることである、というのが本書の筋。これだけである。シンプルだけど実は深い。それゆえに「本が」話題になったんだろうけれども。つまり記録を「継続」することで意識が変わる。究極には意識が行動を規定する、つまり小食やカロリー意識、等が「あたりまえ」になる状態を「最終ゴール」としている。
つまり。「継続」と「意識」そして「習慣」なんだね。「無理をしない」をひとつのキーワードにしているけれども、やはりゴールを目標としての「努力」はあってしかるべきで、著者の成功例としては「努力」は前提なんだろうね。
自分はそれほど深刻に「ダイエット」を必要とはしていないけれども、この考え方には深く共鳴します。これって何かの目標達成(長期の)には理想的なフローなんじゃないかな。直接的に、ではないけれども、ヒントになる部分はあると思うなあ。「時間管理」なんてのにも使えそう。大原則としては「自分でコントロールできる状態」にあること、これである。著者が最後に書かれているように、「毎日」今日の気持ち、今日の問題、これを記録することから始めてみる。開始!



いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)

2010/11/25

ナポレオン、いいかも。

ナポレオンで仕事上達 (角川oneテーマ21 B 112)
価格: ¥ 740
発売日: 2008/09/10
posted with Socialtunes at 2010/11/25

『ナポレオンで仕事上達』齋藤孝③
[19/205]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

ナポレオン、あのナポレオン。もちろん名前は知っているけれども、世界史の教科書以降、その業績を見た覚えはない。イメージとしてはイケイケドンドン、攻めの姿勢の戦士のようなものを持っており、ビジネスやその考え方に結びつけることはなかったけれど...本書を読むと(多少無理やりかもしれないけれども)彼の考え方、戦隊を率いるリーダーシップ、アイデンティティの持ち方、役に立つねえ。現代にも通じるものがありますなあ。
ビジネスにおける環境と、ナポレオンが置かれた戦時のそれとの違いは大きい。大きいけれども、瞬時の判断が必要であるとか、自らの戦力で何をすべきか、どうすべきかという戦略の立て方、それらの前提になる情報の「インプット」など、シンプルに考えて置き換えられるものは少なくない。著者自身がナポレオンの信仰者であるとことで、多少の「持ち上げ」は否定できないけれども、それを差し引いても、チームを率いる者としての考え方、信念の持ちよう、時間の使い方などは参考にできる。
結構面白いと感じたのは、ナポレオンが「成長」していったという件。彼とても最初っから皇帝だったわけではなく、各ステージにおいて常に前を向いて進んでいく姿勢を貫いたことにより、考え方もそれに伴う発信力も、人間の器としても「成長」していったことが書かれている。これは大きい。今はこうでも、将来はああなる、という希望がもてないこともない。いつになっても「進化」していかねばならないことを改めて。
そしてなによりも(真実はどうかは不明)フランス革命を推進する場面において、皇帝は「自分のこと」ではなく「自分たちのこと」を念頭においていた、ということ。「公」の利益の概念。最近よく聞く、「はたらく=傍楽」という(自分が好きな)フレーズにも直結することだ。これを自分の中で消化するのはそれなりにパワーが必要(我慢も)だが、成功者たちに共通するのはこれであることは明らか。「わたくしたち」という考え方は根底に持ち続けるべきであるし、これを「あたりまえ」にしたい。これならばできる。ここから始める。

ナポレオンで仕事上達 (角川oneテーマ21 B 112)

2010/11/24

行けるかも。同時に困難であることの証明にも


『大器晩成!!成功のヒント』桜井光行
[18/204]Library
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

転職が当たり前の時代、空気になり、自分自身も何度か「新天地」に変化したことはあるが、それでも「35歳を過ぎたら「かなり」厳しい」ことにはかわりはないように思われる。とうにその「分岐点」を過ぎた自分としてもやはりそこに飛び込むにはかなりの勇気と勝算(打算、ではない)が必要なことは感じる。
この本には洋の東西を問わず、その分岐点を超えてから「新しい」ことにチャレンジし、且つ成功した人の話が満載。65歳で事業をおこしたカーネルサンダースや、48歳でインスタントラーメンを「発明」した安藤百福氏は知っていたが、ファンケル創業者の池森氏(42歳)や、日本地図を歩いて作った伊能忠敬など、でるわでるわ...「今」成功者として知られている方々が、苦労の末、その成功を勝ち取った「伝記」は読むだけで勇気がでる。もちろん著者も繰り返し強調しているように、彼らはただチャンスをつかんだだけではなく、それまでの蓄積を経験値に変えて、長年の間もぶれないビジョンを強く持ち続け、人知れぬ努力をし、挫折があってもそれに屈しない精神を持ち、その上でチャンスをつかんだ人たち。自分がもう少し若ければ「ヒトゴト」の話として、あまりにも自分とかけ離れた話としてウワッツラだけしか読むことはできなかっただろうけれども、多少なりとも「あせり」を感じている今、「響く」ものは多かった。
さて、若くして「成功」をつかんだ人ももちろん数多くいる。時代の流れの中で、「経験」が必ずしも「価値」に結びつかなくなってきているのは事実だろうと思う。けれど、この本を読んでいる中でなんとなく感じたのは、「周りの人ために」と「自分のために」というビジョンの違い。あきらかにこの本で紹介されている「成功」は、「公」に対する成功であり、彼らが持ち続けているビジョンも「公」に向けたものである。翻って、「現代の勝ち組」はどうなのか...これも、いわゆる「ゆがんだ世代論」である危険があるので、きめつけはしないけれども、「自分」中心の生き方が若干強くなってきているような感じはする。「成功」であることには間違いないし、仮に「自分のため」であっても、もちろん努力はされているだろうから、否定することではないけれども...
他にも合計28人の「大器晩成」の成功者譚が並ぶ。ただ、テーマ別の切り方のため、たとえば「ビジョン」というテーマで5人、「モチベーション」というテーマで5人、その中にかぶっている人がいる、といったように一人の「偉人」が、何度も登場する構成になっているため、一人ひとりに焦点を当てると若干読みにくい。この本を「入門」として、それぞれの人の「履歴書」を深読みすればいいだけの話ではあるけれども...
「大器晩成」の方々はここに紹介されているだけではなくまだまだいるはずだ。一方で、「努力」「考え」なしに「晩成」するはずがないことも事実で、それなりにこれまで培ったことをアウトプットする必要があるだろう。さあ、自分のこれからの人生、「大器晩成」になるために何ができるか、何をすべきか。真剣に考えて実行していこう。

大器晩成!!成功のヒント―有名人に学ぶ7つのキーワード

2010/11/23

伝えたいことは何だったのだろう


『乱世を生きる』橋本治②
[17/203]bk1
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

前著『上司は思いつきでものを言う』が(一般のレビューに比べて)結構面白かったので2冊目。そこそこの期待。「勝ち組」とはなんぞや?「負け組」っていったい誰なの?というテーマから。とにかくわかりにくい。言葉遊び的な書き方のせいあるけれども、はたして著者が何を言おうとしているのか、そこから何を見つけたらいいのか、書いている人の主張がわからないので何も見つけられなかった。確かに読者である自分の力量、理解力の不足はあるにしても、そーゆーレベルの人にも「わかる」ように伝えるのが本を書く人のツトメなのではないだろうか。
確かに飽和状態の環境で、変わるべきものが見つからない、変わらなくてもいいところが変わり始めている、そんな混沌とした「乱世」において、何を考えるべきなのか、どう生きるべきなのか、それに対する答えはそうそう見つからないとは思う。でも、それを「こうではないかな」という仮説、ヒントでも欲しいなあ、って思って本を選んで読み始めるわけで、「わからない」がテーマであるとモヤモヤしたものは増幅されることはあっても視界が開けるわけではないよね。
「世襲」の変化、をはじめとして、(自分が咀嚼できているわけではないけれども)「するどいなあ」って思わせるところはある。視点が自分とは異なる部分は著者の「目のよさ」に畏敬の念を持つし、こーゆー見方もあるんだなあって思う箇所もある。けれどイカンセン読みにくいです。疲れます。自分もそうだけど、「 」の乱用って、読みにくいんだね。それ、気付かされました。

乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

2010/11/21

言われるほどではない。


『不幸な生き方』勝間和代⑧
[16/202]BookOff
AMAZON ★★☆☆☆
K-amazon ★★★☆☆

どうもこのAMAZONでの評価をみていると、「勝間本」だから否定すればいいんじゃ?という発想があるんじゃないかと思ってしまう。本書の内容とは別のところで意見を述べたり...以前は私も否定めいた感想を述べたことはあるけれども、それはあくまでその本の内容に関することである。本書はやや逆接めいたタイトルで(なんとなくわかるけど)「不幸になる生き方を知り、それを避けることで幸せになりましょ」という内容。具体的な内容は目新しいものはないし、「幸せになる」ではなく「不幸を避ける」というアプローチがあまり好ましくない。「勝つ」のではなくて「負けない」というのは、それ自体を目指しているとどうも消極的になりがちだ。本書の内容ではけして消極的に堅実にいこう、というものではないけれども...
なんとなくは、「失敗を繰り返し、PDCAのスピードをあげ」という基本的な部分はもとより、「すべきこととすべきでないこと」を明確にする、というポイントがあるような気持ちになる。もちろん「不幸になる」ことはそれは避けるべきなんだけど、「(結果)不幸になるかもしれない。けれどやってみないと」というリスクもある程度は必要な場面はある。というかリスクを避けていたら「幸せ」にはなれないよね。これは絶対に。
多くのひとが「ツッコミ」を入れている部分(自分の著書を紹介しすぎ、とか)はあるにはあるけど、「わかりやすさ」は相変わらず、つまりこれは「伝わっている」ということであり、本を書くのに必要な技術(この技術が未熟なヒトは相当数いる)、所謂テクニック的な仕事論ではなく、マインド的な内容のこの本は、ある意味、これからも勝間本を読んでいこう、と思わせるものはありました。
ヒトの悪口を言わない。前向き生きるよう努力する。これだけでも意識できれば価値あり、そう思います。


不幸になる生き方 (集英社新書)

2010/11/19

「論理的」は大事。「非論理的」も。

13歳からの論理ノート
13歳からの論理ノート
  • 発売日: 2006/09/21

『13歳からの論理ノート』小野田博一
[15/201]bk1
AMAZON ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

「論理的に」考える、「論理的に」発進する(言う、書く)...ロジカル=論理的というフレーズを使った自己啓発本は非常に多い。何冊か読んだ内容としては、「言っていること(書かれていること)は理解できるけど、実際には...」というものが多い。本書はまずタイトルからイメージするところで、「中学生にも理解できるような(基本的な、容易に理解できる)」という先入観から入る。
結構個別の「重箱の隅をつつく」ポイント指摘が多いけれど、確かに、と思えるTIPも少なくない。
・「行動」の動詞を使う...「~と考える」ではなく「~をすべきだ」
・「議論の結論は、次の議論を始められるようにする」...「Aである」という結論であるべき(Aに賛成か否かという議論が次に発生する)で、「Aについて議論しよう」とか「Aであるべきかわからない」という結論ではダメ
・レトリックは使わない(相手に正しく伝わるように)
等々、テクニックだけではなく本質論もあり、薄っぺらなノウハウツール本ではない、という認識。書かれていることは正しいと思う。論理、筋道、今論じていることからそれてはいけない、違う文脈の例を持って反論すべきではない、正しい言葉を使う...そりゃそうなんです。
でも。
なんとなく違和感、イゴコチの悪さが。なんだろう。「論理的であるべし」という前提で話が進んでいるが(本テーマからすれば当然だけど)、論理的でなければならない理由がわからない。論理的であればすべてが正しい、ってわけではないだろうと思う。文脈を「読む」、行間を「読む」ような文書(=文学的表現)はよろしくない、というけど、それがよい場面も当然あるよね。あと、「正しい例」で記された「論理的」な文が、なんだか冷たい感じがする。読み手にストレートに伝わらない、読み手に考えさせてしまう、というのは論理的ではない、のかもしれないけれども、そこに「温度」が感じられない。躍動感がなくなる。クールと言えばいいんだけど、機械的な、遠い距離感みたいなものが生じてしまっている。
つまりは、場面、場所による、ということなんだろう。使い分ける技術を持っていればいい、ということ。あとは...タイトルにある「13歳からの」の意味が最後まで見つからず。読み手の想定?単なるキャッチコピー?この部分は論理的じゃないような...

13歳からの論理ノート

2010/11/17


『社長が変われば会社は変わる』石渡美奈
[14/200!!!]BookOff
AMAZON ★★★☆☆
K-amazon ★★★★☆

同世代の3代目経営者の著者の成功本、というか履歴書的な本。女性であるから、なのか、(ご本人が繰り返し言われているように)「お騒がせ看板娘」だからなのか、かなり現実的な等身大な目線で書かれている。そんなところが読後感のよさにつながっているようだ。「ホッピー」というと、正直自分にとっても「古い」イメージである。そんな明治から続く会社(ホッピー自体は戦後から)社長の一人娘は、腰かけレベルの意識で出た社会から、「3代目」を継ぐ決心をして会社に入ってくる。そこからの悪戦苦闘の日々。多少は苦労話がでてくるが、イメージは著者の「前向きな」姿勢を反映していて、暗さはまったくない。もちろん、書かれている以上に、いや想像以上に苦労はされているはずだ。「社長の娘」であることや、「たたきあげ」でないことなど、おそらくは悪いイメージで見られていた(いる)ことも少なくないだろうと思う。けれども本書に書かれていることを(表面的に)読む限りは、著者ミーナは、それを乗り越えて、ある意味それを利用して、会社を元気にする、お客様を元気にする、そんな姿勢が貫かれている。おそらく本書の上梓前後にあった「異物混入」事件については、あまり多くは触れられていないけれども、ともすれば人生を逆転(暗転)させるような事件についても、前向きに考えている様子は「理想形」に近い。
自分の会社の商品「ホッピー」を愛してすらいなかったスタッフたちを、途中から入ってきた同族経営者が変えていくことは容易ではないだろう。でも、最後(最後、ではないけど)には、「変化する体質」が身に付いた、と著者が感じるほどにまで変わってきている。著者が師事したメメンターの力も大きい。が、其れ以上に著者の「思い」や「夢」の強さ、これが今の状態をもたらしたことは間違いない。
途中に出てきたが(本来の主軸ではないかもしれないが)「ホッピーは何か?」という問いに対する、「プリン体が入っていない健康飲料」「焼酎との相性が抜群」といった答えに対する違和感。結果「夢を追いかけてる時にそばにある飲料」というテーマを見つけ出すに至るのだが、これって本質。もうひとつ。「営業が商品」と言っていた著者が、「(夢の実現に共にある)商品を作る企業」であることに気づく。これも本質。規模は違えど、なにか共通しうる、共感し得る部分がある。
「論理的」な本ではないかもしれない。ある意味「営業ツール」なのかもしれない。けれど著者の「本気」はうそではない。それだけで十分伝わってくるものは、ある。
同世代として、憧れるし、尊敬するし、応援したいし、追いつきたい。


社長が変われば会社は変わる! ホッピー三代目、跡取り娘の体当たり経営改革

2010/11/16


仕事の思想』田坂広志②
[13/199]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

もうかな り前になるけど、楽天市場の集いで田坂さんが講演されたのを聞いてかなりの衝撃をうけた。んで、その帰りに田坂さんの本を読んだ。実は、講演の印象ほど著 作には感動をもらえずに、その後は読まなかったんだけど...久々に手にとった本は、実にココロヨイ、素直に感動し得る本でした。
仕事をする、っ て何?もちろんご飯のため。それもひとつ。でもそれだけじゃないでしょ?そんな(軽い)疑問は、社会にでて20年もすると何度もめぐってくる。でも、それ を考え抜く暇もなく、次の日の朝、会社の席に座っている。そんなことの繰り返しだ。それでそのまま人生が「幸せに」終われるのならば悪くはないのかもしれ ないけど、やっぱり人生の大半の時間を費やし、神経を使い...ってことを考えると、もう一歩踏み出すには「思想」が必要なのかもしれない。この本にも出 てくる「夢を持つ」ということ。このフレーズは実は結構いろんな方々が行っていることだけれども、田坂さんは「夢を持って、それに向かって真剣に取り組む こと」が重要だと説く。夢想人になってはいけないと。ここがポイントだよね。自分にも「夢」はあるけれども、真剣にその実現に向けて歩んでいますか?とい う問いには下を向かざるを得ない状態かもしれない。それでは前に進まないよね。「夢が破れた時」が怖いから、ではけしてないつもりなんだけれども、前に進 まないということは、どこかにそんな思いがあるのかもしれないし、「夢」への執着が弱いのかもしれないね。
「思想」がテーマになっているが、仕事 の成果、報酬は、自分が成長することであり、仲間ができることだと説かれる。これって深い。すなわちマネジメントの本質ではないですか。知識や論理、操作 に重きを置いている状態ではけして実現できない、真剣な、熱い思いこそが夢に近づく道であること。なにかすがすがしい感じすらするね。
最近ちょっと「論理的」な本が続いた中で、シンプルなマインド思考の本に出会えて、気持ちがなごみます。前向きになれます。「夢」。真剣に考えてみよう。そして前に向かって進んで行こう。

仕事の思想―なぜ我々は働くのか (PHP文庫)

2010/11/03

小宮さんの本で一番だと...



『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』小宮一慶⑥
[2/188]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

小宮さんの本は、約1年ぶり。多少経済寄りではあるけれども、現場リーダーレベルの自己啓発系が多かったのだけれど、本書は「社長力」というタイトル。自分の今の(未来も...か)状況からは到底届かない、場違いな内容かもしれないけれども...会社経営も、部門経営もなんらか共通点はあるだろう...と。
冒頭から本書の最大のテーマが登場。すなわち
「お客様第一」
本書のすべての内容がそのテーマに間違いなく沿って貫かれている。見事なほど。タイトルから「もしかしたら」あるかもしれない、と予想された「経営テクニック」については一切ない。見事にない。「お客様第一」を一切曲げずにすべてのことが、「どうあるべきか」が決まってくる。ピースがはまっていく感じだ。自分としてもそのテーマは分かっているつもりでいた。しかしながら...「スタッフの意識改革」これが第一になっていていいのか?お客様は「スタッフの意識改革」を要望しているのだろうか、とか、「客観的一番と主観的一番、お客様はどちらを基準に選択するのか」とか、クレーム「処理」という言葉を使っていないか、とかとかとか...分かっていませんでしたね。分かっているフリをしているだけでした。甘い考えだったと言わざるを得ない...おりしも、わが「チーム」に欠けているもの、これから目指すべき方向、というのを試行錯誤している日々。もちろん答えがすぐにでるものではないけれど、根底に置くべき「お客様第一」これが不足していた、不十分だったんだ。無かったわけではないけど、そこへの「思い」が足りてない。
なんだかこのタイミングにあわせて出会った本のような。一部の「会計」についての章が唯一「特別」であるけれども(もちろん「社長力」には会計知識は不可欠だろう)、その他は、・戦略・市場・経営・人間力、すべてにおいてメインテーマ「お客様第一」がしっかりと気づかれた土台の上に組み立てられている。
タイトルの「社長力」がかえって邪魔してる感じが。むしろ現場のリーダー、マネージャーが読むべき書だと思う。チームビルディングやマネジメント、マーケティング、ストラテジー、あれもこれも悩む中間層には助けになるはず。直接的ではなく間接的にヒントを得よう、と考えて必死で読めば必ずなにか見えてくるだろう。数々読んできた「マーケティング」や「リーダーシップ」これらの本を超えるものがそこにある。なんか見つけた気が。


2010/11/02

変えられる、変われる!

スイッチ!
スイッチ!
  • 発売日: 2010/08/06
  • 売上ランキング: 2950

『スイッチ!』チップ・ハース&ダン・ハース
[1/187]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

久々に「分厚い」本を読む。360ページといったら新書の倍じゃないか...でもね、勢いに乗ってスイスイ読めました。タイトルからも容易に推察できるけれど、「変わりたいのに(変わらなきゃいけないのに)変われない」この状態を脱するためのヒント集。実例(もちろんすべてアメリカ産)をフンダンに使っての説明。なによりも実例に登場する「変化をもたらした人物が、「すごい」人ではなく、現場レベルであることに意識が高まる。本書を通して、「変える」ための要素として、象使い(理性)と象(感情)、そして道筋(環境)をあげていて、「変化」を起こすにあたってどうそれぞれを使っていくか、という説明に終始。「象」を例示しているところは正直わかりにくかったけど(むしろ「理性」「感情」と言ってもらった方がすんなり)、変化をもたらすためには、特に周りを変化たらしめるには、象=感情が大事だということを認識。象使い=理性だけで強制してもいけないし、変わらない原因は、必ずしも個人に帰属するものではなく道筋=環境かもしれない、という気づき。
・ダメな部分を解析するのではなく、うまくいっている部分をハイライトする
・感情を芽生えさせる
・環境を変える。習慣を生み出す
読む始める時は、自分自身を「変える」ことと同時に、周りを「変える」ヒントになれば、という思いがあった。あわよくば「お客さん」を変えるためには...なんて欲望も。けれど、まずは自分、そして周り。これまでも意識はしていたし、自分なりのやり方で「変化」を起こそうと試行錯誤はしてきたけれども、本質の部分(技術でなく)が多少誤りがあったのかも...って考えてしまう。この本に書かれていた事例がそのまま当てはまるとは思わない。けれども、なんらかの「気づき」は確実に得たように思う。確信する。
カリブ海セントルシア島だけに生息するイロマジリボウシインコを絶滅の危機から救ったのは大学を卒業したばかりの若者。彼は法律をつくるわけではなく、そのインコが島の財産であり、自分たちの財産は自分たちで守る、という意識を島の住民に意識付けすることでインコを救った。変化をもたらした。規則に縛られていた経理担当者に、現場で(その経理担当者が例外を認めなかったことによって)給与の支払いを受けられずに困窮している姿を見て考えが変わった(何のための「規則」であるのかを認識した)。これらはまさに求めるべき変化であり、変化の方法である。
読み終わってタイトルを見れば、「チェンジ」ではなくて「スイッチ」であることもいいですね。つまり「変化」に対してはそれぞれ(個人、組織、社会すべて)ポテンシャルはあるはず。それを起こすきっかけであったり、動機づけであったり、つまり「スイッチ」を押すことなんだな、と。

スイッチ!

2010/10/31

初「松下」は、可も不可も...

人生と仕事について知っておいてほしいこと
人生と仕事について知っておいてほしいこと
  • 発売日: 2009/12/22
  • 売上ランキング: 22600


『人生と仕事について知っておいてほしいこと』松下幸之助
[21/186]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

まだまだ「多読」とは言えないまでもそれなりに本を読んでいる自分が初めて手に取る「松下さんの本」である。もちろん、読んでいる中で引用とか、「影響を受けた人」という類で名前は出てくるし、興味がなかったわけではないけど、どうも「経営」というイメージがあって、今置かれている環境とは違うだろうなあ、という「思い込み」がアタマから離れず...
この本は、著した、というよりも、「若手」に向けての講話、講演からの記述なんだろうと思う。そんなに厚くない、ページ数にすれば薄いほんでだけど、すごい読むのに時間を要した...一点は(単純に)読みにくい、ということ。文字にされた関西弁ほど読みにくいものはない(個人的、レベルですね)。もう1点が、「敢えて」深くよんでみようと思って、興味があることころは2回読みしたから、というのが理由。
...といっても、まだまだ自分が未熟であるが故、この本から何か薫陶を受ける、というところを見出すことはできませんでした...情けないですが、それしきことを見つけられず。数点あげるとすれば、

・賢いだけではいかんわけやな。そこに熱意がないといけない。賢いだけの人間は...理屈ばっかり言うから。
・むずかしいことよりも平凡なことのほうが大事である...些細なことをおろそかにしない心がけ。

誰あろう、松下幸之助の言葉であることが「重い」よね。よく目にするフレーズだけど、多分そういう本を書いている人も、ここから引用してる、要は元は「松下さん」なのかもしれないね。本を読んでいる上体ですら、「そういわれたら、言い返せない」重み、深みを感じる。やっぱり「思い」なんだよね。松下さんも「テクニック」のことは振れず、さらには「賢い<熱意」とまで明言される。そうなんだよね。それは今でもちっとも変わっていないんだよ。

あとは...いまだからこそ違和感はないけれども、松下電器(現パナソニック)を「公器」として捉えている、そしてそこで働くものへ、社会貢献を望んでいる、これってすごい。おそらくある程度の規模からそういうのが前面にでてきたのかな、って思う。まだまだ自分の環境では「社会貢献」とは恥ずかしくて言い出せないけど、少なくともお金を出して買っていただいている「お客様」にとって、「幸せ」をつかむお手伝いをしたい。なんか「キレイゴト」なんだけれども、最近思っていることです。社会貢献ではないけれど、こちら側のことばかり考えているのは限界がある。これに(ちょっとだけ)気づくのに20年かかったけど。

所謂「自己啓発本」とかの類とはまたちょっと違う、間接的にヒントを見つけにいく、そんな本である印象。流してよんでいては何も残らないけど、なにか「探しにいけば」みつかる。見つける。


人生と仕事について知っておいてほしいこと

2010/10/28

さらさらっと...読書時間の短縮に

ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術 (角川oneテーマ21)
ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術 (角川oneテーマ21)
  • 発売日: 2007/10
  • 売上ランキング: 471719

『ひねり出す時間術』清水克彦②
[20/185]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

ラジオプロデューサー、作家、大学講師、コメンテーター...「4つのわらじ」をこなす著者(最後のは「?」だけどね)のタイムマネジメントテクニック。前に著者の本を読んだ時にも思ったけど、やっぱり「サラリーマン」である素地が、「現実的」な内容を作り出している感じがする。特に「ウロコ」はないものの、非常に読みやすく、自分でやってみようという感覚を持ちやすい「テクニック」が紹介されている。現実的には、「そうはいうけどそれぞれ置かれた環境があるんだぜ」という言い訳をしがちではあるが、著者も最後の締めくくりに書かれているように、「時間管理術の本は数多あれど、実行してみなければ価値はゼロ」というのはまさしく真実。「同意」ではなにも変わらない。副題にあるような「30分ジグザグ」(頭を使う仕事と、作業的な仕事を30分ごとに繰り返す)のがいいのかどうか、いや自分にあっているのかどうかはわからない。感覚的には「無理だな」と思ってしまうけど、やっぱり「やってみる」ことなんだよね。
当たり前だけどできていないこと、もっといえば知識としてもっているけれど実行していないこと、結構ある。肝に銘じたい。今日これからでも一つでもやってみようか。
・○時54分スタート...開始時間の徹底
・動きだしてから考える...実行が先
・「3分仕事」「10分仕事」のリスト作り...スキマ時間を無駄にしない
・やらないよりマシという考え方...たとえ数分でも「実行する」と「しない」では大きな差ができる
「4つのわらじ」を目指すつもりはないけれど、複数のことを同時に(なんらか各々関連性を持たせて)実行する、というのは興味深い。なんとなくそれがいい方向に向かうひとつのヒントになる期待は持てる。
1点だけ、「年長の意見は大事、若い人の意見も大切」のところで、その理由が「若い人が将来自分を追い抜いて自分の上司になる可能性もあるから」というのは、ちょっと...「若い人の意見を大切にする」のは大事だよね。けどその理由が「保身」になってるんじゃ?これでは自分を高めることとは矛盾するわね。ここだけ苦笑してしまった。
極端に短い(薄い)本ではないけれども、すごく早く読めます。これも読書時間の短縮、時間術でしょうかね...少なくとも、「忙しい」「時間がない」という言葉を発するのは止めようと、意識していわないようにしようと思う。これまでも意識していたけど、どっかで気持ちがでている可能性は否定できないので...

ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術 (角川oneテーマ21)

2010/10/27

「ラク」とかあまり関係ないんじゃ?

ラクをしないと成果は出ない
ラクをしないと成果は出ない
  • 発売日: 2008/05/23
  • 売上ランキング: 30706

『ラクをしないと成果は出ない』日垣隆
[19/184]Librarry
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

タイトルを額面通り受け取ったわけではない。おそらく「深い」意味で「ラク」をするということなのだろう、「ズルい」意味ではなくて...と思った。仕事を進める上でのTIPが、見開き単位で100個並ぶ。100個あれば自分に合うもの、合わないものは出てくるだろう、というレベルで読んだが...正直見つからず。タイトルの「ラクをしないと」云々というものに合致するようなものは(「深い」意味でも「ズルい」意味でも)見つからず、それだけならまだしも「あーいいね!これ」というものもなかった。見つけることができなかった。「どれも既にできてるもん」ということではけしてないけれど、よく言われてるよね、というものがほとんど。「あーゆー考え方、ヒントってよく目にするけど、こーゆー見方もあったんだ」ということは得られず。
過去をひきずらない
変化を求める
何をしないか考える
等々...見開き2ページで「深く」は追求できないのかもしれないけれど、各項目についての「本文」が浅い、薄い。表面的なことが目について、著者がホントに伝えたいのはこういう(別の)ことなんじゃないかな、っていうことを「深読み」してしまう(途中までは、ね。後半はそれすら面倒になって...)。
あと、各項目の最後に「まとめ」として「1行フレーズ」があるんだけど、これが本文の内容とマッチしていない箇所が多かった。それゆえ余計に、「著者が言いたいのはいったい...」という迷いを生じさせてしまう。文庫版も出ているようだから売れてるんだよね、きっと。「タイトル」勝ちかな。「ラク」したい人が多いってことか...「純粋に」ラクしたいと思っている人にはヒントは少ないかも。かといって「結果ラクになるように工夫しよう」と考えている層にも新たな気づきは乏しく...んんん

ラクをしないと成果は出ない

2010/10/26

「予言者」が存在しました。

情報の文明学 (中公文庫)
情報の文明学 (中公文庫)
  • 発売日: 1999/04
  • 売上ランキング: 13061

『情報の文明学』梅棹忠夫②
[18/183]bk1
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★☆

『知的生産の技術』を読んで、トリコになってしまい梅棹先生の2冊目。農業社会から工業社会、そして情報社会へ、という流れを著者の専門である「文明学」見地から説く。この「進化」は「前の時代」を必ずしも衰退させるものではなく、工業化によって農業の効率が急激に上昇したように、すべてを包括的に捉えるべき「進化」であるというところに特徴がある。そして「情報産業」の進展。主として「放送」産業が例示されているが、運輸やマスコミ、料理や教育、宗教までも、その「情報」的な見方をしている。すなわち、工業製品であってもその機能(=工業的な価値観)は既に「当たり前」の領域であり、それとは一線を画したデザイン、使いやすさといった「情報的な価値」がその比重をますます高めている、ということ。情報産業=コンピュータといった短絡的な結び付けにとどまらず、これからの社会を予言、しかも的確に予言しているといころが、「今書いているんじゃないか」って思えるほど、鋭い視点。
なによりも、著者が「情報産業論」を書かれたのは、1962年。もうすぐ50年になる。その時点で、工業的な考え方の限界、というか、そこに「情報的」付加価値の重要性を指摘しているところがなにより鋭い。怖いくらいするどい。そして「情報発信」についても。これから先「発信」ということが予想される、と説くが、「この前」に発生したブログ(当時はもちろん言葉も、概念すらないと思われる)等の登場、普及を予言されたということ。
さらには、コンピュータについても言及されており、この時代に「家庭内での情報機器としてのコンピュター」の普及を「予言」されている。そんなことはほんの一部の人の「夢」であったであろう時代に...この著者の「モノの見方」はどこから来るんだろう?おそらくは「微妙な変化」を肌感覚で捉えて、それを肉付けしていく過程があるのではないか。ただ単にアンテナをはっているだけでは「情報」は引っかからないと思われ、ベースとなる知識は常にブラッシュアップされていたのだろう(もちろん、このあたりには全く触れられておらず想像にすぎないけど)。
「今読んでも遜色ない」レベルではなく、「その時代でこういう考え方はすごいな」レベルでも、本書を読んだ価値は生まれてこないと思う。文字だけを読めばその範囲ではあるが、こういう「考え方」ができるような領域に少しでも近づくためにはどうしたらいいのか、どう行動すべきなのか。そこをじっくり「考えて」みるべきだと痛感。『知的生産~』に比べると、ひとつの論文が軸になってそれの周辺(評価、反響等)を寄せ集めた感じにはなっているが、十分読み応えのある内容。

情報の文明学 (中公文庫)

2010/10/25

基本的なことだけど、重い。深い。

ビジネスで失敗する人の10の法則
ビジネスで失敗する人の10の法則
  • 発売日: 2009/04/21
  • 売上ランキング: 64301

『ビジネスで失敗する人の10の法則』ドナルド・R・キーオ
[17/182]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「あの」コカコーラの社長が書いた「失敗の法則」。「成功する秘訣」を聞かれて、「失敗」する方法ならば思いつく、という発想で、逆説的な手法にてかかれた「アメリカっぽい」(個人的なイメージか)内容。
・リスクを取ることをしない
・自分を過信する
・官僚組織で運用する
・一貫性のないメッセージを送る
等々、これまでも目にしたことだが、「逆」にいわれると結構響く。これをやったら失敗する。さらにその「失敗」はすなわち経営層である「人」に起因するものだと、自らトップであった著者が説く。これほどの説得力はない。なかには、
・専門家、外部コンサルのいうことを全面的に受け入れる
といった、さらに皮肉が利いた「法則」も挙げられているが、基本的に、ここに掲げられた「法則」を集約すれば、
・「考える時間を持たない」
・「仕事への熱意を失う」
ことになるだろうと思う。これってつまり基本だったりする。字面だけをみてもこれをやったら成功しない、ということはすぐにわかる。でも、実はこれをしてしまっていないか。「考える」ことを放棄する、または考えないようにする、という行為を意図的に、あるいは無意識的にしていないだろうか。自分を振り返ってみるとちょっと怖い。これ(考えないこと)が「習慣」になってしまったら、(著者が「最も重要」という)リスクを取ることもしなくなる。官僚的な仕組みにする(考えなくてすむから)、熱意を失う....怖いねー。
じゃあ、「考える」ことを意識しよう。これって「意識」しないとできない。無理矢理でも意識すべし。だって、最も「考えなくてもいい」環境と思われる世界企業のトップがそう言っているんだから。「横綱がいちばん稽古する」的なことだよね。「幕下」がそうしなくてどうする。だから意識する。常に意識を持つ。
「逆」とはいえ、刺激をかなりもらえる内容。慢心していないね。すごいね。

ビジネスで失敗する人の10の法則

2010/10/22

やっぱり難しいんだね

『なぜ、あの会社だけが選ばれるのか?』宇都雅史
[16/181]Rental
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

EC事業を支援する会社の社長が著した、「あの通販会社が元気な理由」という内容。帯には、まさに同業界に足場を置くモノにとっては、「雲の上」の存在の名前が並ぶ。自分は(一応)この業界(EC)に6年存在しているが、著者の会社とは付き合いがない、というかお名前を存じ上げませんでした(ウチのレベルとは異なる世界に存在されているのではないかと)。また、そーゆー業界にいながら、そういう業界の本ってあまり読まないんですね。なぜか。どうも、特にネット通販のノウハウ(集客やシステム的なテクニック)と、「本」って相性が悪い気がします。もちろんEC業界で働いている人もレベルがいろいろあるんだけど、誰に焦点を当てて本を書くのがかなり難しい。本書に書かれている内容(テクニック面)も、正直ナガイコト「ここ」にいる自分にとっては、「いまさら」的なところが多い。というかすべてそう。かといってその道の専門的なことは本を読むよりは実践した方がよかったりする。もう一つの理由は、(本書は書かれたばかりなので「まだ」大丈夫だけど)そのテクニックとかメニューとかがすぐに陳腐化する、ってこと。特に動きの速い業界なので、書かれている時点では「最新」であっても、すぐに淘汰されるか「あたりまえ」になってしまう。つらいね、この手の本はそこがつらい。また自分がなぜ本を読むかというと、そこから何かしらのヒントを、ひとつでも見出す、ということのためであり、それは「ちょっと遠い」世界の本からのほうが見出せたりするんだけど、自分がいる業界の内容はあまりに身の回りに近すぎて「即物的な」ものを求めてしまったり、「それ、ちがうね」っていう曲がった意識をもってしまったりするんで、なかなか自分の読書スタイルと合わないんだね。
本書はテクニック的なことと同時に、通販を生業とする人が(ECだって通販です)どういうマインドを持って取り組むのか、どういう企業姿勢が必要なのか、成功している企業はこういう考え方だ、ってことが書かれています。ここに紹介されている企業さんは確かにすばらしい考えをお持ちで、「今日の売上よりも明日の売上」を考える土壌をおつくりになっている。そんな感じです。しかしながら業界にいるといろいろと聞こえてくるところもあり、当然ですが、そのような企業においても「今日の売上」に必死で取り組んでいる方々がいるわけで...一定規模はそういう方々が数字を作っていることもまた事実。ただ、それを超えて伸びている企業は「明日の」という考えが根付いていることは確かですね。
実はいくつか「やってみよっかなあ」っていうヒントはあったりした。あと、
「ネットは欲求喚起に対しては弱い」
という、自分がこれまでもやもやっと感じていたことをスッキリさせてくれるフレーズもあった(これは、「ネット販売」という特性を考えましょう、他のメディアとすべて一緒に考えたらだめ、ということ)。本書を読んで改めて、っていうわけじゃないけど、一回棚卸をする必要があるかなあって感じてます。

なぜ、あの会社だけが選ばれるのか?-成功し続ける会社がやっているたった3つの仕組み

2010/10/21

読み物プラス人生論。傑作かも

『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ漁船で学んだ』齊藤正明
[14/180]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

フツーの会社員(研究員)が突如40日以上にもわたって「マグロ漁船」に乗ることになり...その「航海」の中から数々のことを学び取った、というタイトルそのものの内容。著者の乗船「前」同様、自分のイメージも「マグロ漁船=劣悪な環境、荒ぶる漁師たち...」という印象がある。もちろんそれが否定できない側面はあるのだろうけれども、航海中船酔いや密閉された空間の中で戸惑いながらもいろいろと漁師たちから教えられた「教訓」の数々。
所謂「コンサル」的な読み物ではない。あくまで著者ご自身が体験された「非日常」で、どんな会話から何をつかんだか、という話。多くは下船後に振り返ってみた時に改めて想起されたものであろうけれど(そんな「人生論」を逐一感じ取っているような環境ではないだろう)、イメージしている漁師のキャラクターとはかけ離れて、「陸(おか)」の人間には感じ得ない、そこから「人間として」感じるべき教訓がたくさんでてくる。
・自分でどうしようもないことへの対処方法
・今できることをやること=ポジティブシンキング
・アドバイスの受け方
・愛情のある叱り方
・技術的に未熟な者の立ち位置
・共有の意識
・コミュニケーションの方法

コンビニも携帯も、病院もない世界で、極論ではなく「死」と向かい合った環境で、且つ同じ人間と狭い船内で何日も過ごす環境で、生きる術が身につくのはある意味生物学的に当然であるのかもしれないけれど、本書で触れられているような漁師たちの「人生訓」が実際にその言葉で語られていたら、これほどの「学び場」はないんではないかな、って思う。「本当?」と疑ってしまうほど、漁師たちの「生き方」は素敵で、魅力的だ。自分はそうはなれない(環境をそこまで変える勇気も若さもない)が、そういった人たちに触れたい。間違いなく自分にとってプラスになるだろう。本書を読むだけでもかなりの規模でプラスをいただいている。
おそらくは漁師でもなんでもなく、理由もわからずマグロ船に乗った著者は、「陸」で暮らす人間として「未熟」であったのだろうが、きっと「素直」だったのだろう(そうならざるを得なかったのかもしれないが)。漁師たちが、本書にあるような人生訓をそのままの言葉で語ったのではないのかもしれないが、その会話から、自分の環境に置き換えて考えたり、自分の言葉で考え直してみたり、そんなスキルを以ているように思える。それゆえ、余計に吸収するものが多かったのだろう。
処世術ではなくて、生きていく、よりよく生きていくために必要な本質。それを学んだ著者をうらやましくも思う。かといって自分がマグロ船に乗りたいとは思わないけれど...
タイトルにある「会社人生に必要な知恵」を学んだ著者が、その後会社を辞めている点は少しひっかかったけど、そのまんまのタイトルも本書を読んだ後で見直すと、改めて「深み」を感じる。苦痛な日々を過ごした著者には申し訳ないが、読後は「爽快」な気分にもなる。

会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ (マイコミ新書)

2010/10/20

軽い...「目のつけどころ」はあってますかね

『目のつけどころ』山田真哉②
[14/179]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★

『さおだけ屋』以来、約1年ぶりに著者の本を読む。実は新刊で紹介された時に買うか迷っていて、たまたまBookOffの棚で出会ったので...という経緯。前回が結構よかったので期待を持つ。タイトルの付け方はなんか「広告色」が強い感じがしたけれど、まあそれは気にしない。
著者がいう「目のつけどころ」は、①視点②アイデア③アウトプットと昇華していき、これが揃って初めて評価されるべしと。これらの掛け算で成り立っているので、どこかがゼロであっても結論ゼロになる。つまり「視点」がゼロ=つまり視点を持たないことはそもそもダメだし、アウトプット(「説得」という言葉を使用されているが)がゼロならそれもダメってこと。これらは明快であり、しかしながらよく言われていることでもある。視点を可能な限りタクサン持つようにして、本書に書かれたような「パターン」を用いれば、誰でも「目のつけどころ」はよくなる、という主張。これも真なり。しかしながら...「軽い」んですよね。全体的に。「薄い」と言ってしまっては失礼なのですが、なんかコラムとか読んでいるイメージで、どうも深みがありません。さらっと読めること自体は悪いことではないんだけど、何も残っていない感じがする。なんとなく...(著者の提唱している)「穿った見方」をしちゃうと、「ホントにこういった本を世の中に出したかったのだろうか?」ということまで「読んで」しまう。『さおだけ』に比べてしまうと余計に(多くの人は比べると思うけど)そう思ってしまいますね。
唯一、「知識を蓄えることが、相手との情報格差を生み、その格差が「権力」として説得力を増幅させる一因になりうる」という点は、それなりに一般的には本などで情報を得ている自分として、アウトプットさせていく上で役立ちそうなマインドである。けどなあ...これにしたって、「テクニック」にすぎないわけで、説得力を増すために本を読んでいるのか...ある面で正しくある面で誤っている、にすぎないんだろうなあ。
もしかしたら、最大限自分の「うぬぼれ」から見ると、「既にここに書かれていることは意識の中にあるさっ」ってことなのかしらん。それならば少し自信。けれども少なくともこの本から得たものは少ない、ということは事実であり、また会計士としての著者は、やっぱり「そっち」よりの本の方が面白いんではないかなっていうのも事実かも。若干「目のつけどころ」がずれているのではないかな...

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2010/10/19

「賢い」アスリートは必要


『「言語技術」が日本のサッカーを変える』田嶋幸三
[13/178]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

日本のサッカーが抱える、世界との「壁」は何であるのか。超えるためには何をしなければならないのか。協会の立場、日本のサッカーを支える立場にある著者が説くのは「言語教育」である。常日頃から「論理的な思考」を持ち、それを「言葉」を以て伝えることができて初めて、組織としての力が結集される...という内容。留学或いは赴任していたドイツでの体験を元に、その差は「言語技術」であると説く。確かに。著者は「賢い」プレイヤーであるべし、と書いているが、なんとなく(自分はアスリートではないが)わかる気がする。より身近なプロ野球においても、数年前の、特に甲子園で見られた「とにかく打ち勝つ」スタイルから、野村監督の「ID」に象徴されるデータ系に、流れは変わってきているようだし。特に局面が、事前に想定していたものとは全く同一になることはないサッカーにおいては、その瞬時に「判断」が求められるであろう。その判断がただしくできるか否かは、事前学習よりは経験が大きく影響するとは思うが、ある程度の想定をすることに加え、「こうなったらこうする」的な発想を持つこと自体が必要なのだと思う。それが「言語技術」かどうかは別として、突出した能力を持つ選手が出てこない限りは、「1+1=2以上」を求める組織競技では、「賢い」ことが必須のように思える。
サッカー或いは団体競技だけか?いや、チームでひとつの目標に向かって仕事をしているサラリーマンだって同じことなのかもしれない。相手が何を考えてそれをやっているか、それを知るにはまずは、自分が「こう思ってやっている」ことを「言語」を以て伝えることから始めるべきなのだろう。アウトプットですね。背中を見て、とか、阿吽の呼吸が通じなくなっている...それを嘆く前にやること、やれることはあるんだ。そういう気持ちになったよ。サッカーは見るだけで、特に深い興味はないんだけど、読んでいておもしろかったですね。サッカーにおいても(特に若い、幼い時期に)「失敗」をして、そこから何を学んでいくか、学ぼうとするか、それが大事であると。これもどの世界でも共通。そして指導者には「伝える」能力を高めるためにディベートも学ぶカリキュラムがある。これも指導者たるモノはどうあるべきか、ということを考えたなかでの手法であり、ディベート自体がどうこうではなくて、そういう「目的と手段」という考え方が鋭いし、先を考えて、指導者育成→子供たちのレベルアップ→日本サッカーの活性化、という図式を強く信念を持って取り組んでいる姿勢にまず感銘。
自分の周りの組織に足りないもの。それがなんとなく浮かび上がりました。

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2010/10/18

難解。役に立つのか?


『リフレクティブ・マネージャー』中原淳・金井壽宏②
[12/177]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★

タイトルがかっこいい。金井さんの本は以前に「資生堂」絡みで読んだことがある。選書の理由はそれ。が、この本は、「学者」が「論」を難しく書いてある、それ以上でも以下でもない内容。社会人のための「教育」という概念がこれまで非常に薄く、「教育学」と「経営学」のセンセが、持論を披露している。
難しいよ。「~論」をいくら読んでも、アメリカで○○教授が提唱しているように、っていくら言われても、実際に「それ」が発生しているのは現場であって、その展開されている「論」の対象が、日々変化するものであり、またそもそも相手が「人間である」ことが、どこか抜け落ちているような感じが最後まで抜けず。著者自身も説いているように、「学者が研究するセオリー」と「実際に起こっている現象」とのバランスが大事なことはわかる。が、学者センセが提唱する「セオリー」は、もっと「実情に近づこう」とする意志をもたなければいけないのではないでしょうかね...「異業種交流」のヒントを大学主催で実施したことについて自画自賛されているけれども、これって「学者側」が絶賛しているのははたして本当のところどうなんでしょ?って穿った見方もしてしまいがち。このふたつ(論と現場)の共存、バランスが悪い、という以上、自ら近づきましょう。難しく書かれてしまうと、近づこうとするこちら側の気持ちが萎えます。こういう類の本に限っては、持論である「本は1冊全部通して読むことで全体像をつかむことが大事」を曲げざるを得ない。
考え方は同じであっても、「現場」発信で考えたモノのほうが数倍いいだろうね。人事担当者だって、著者の言うような「限りなく理想に近いプロフェッショナル」になりえないですよ、現実的にはね。ベンダーが提供するセミナーだって、それ自体が悪いものばかりではなく、要は捉え方でしょ。捉えるのは「現場」の人間であるので、それを除外して、提供する、選択する側の理論を期待するだけでは進まないよね。
ここから得たものってなんだろう。そういう研究をしている方々っているんだなあ、ってことかな。それを知るために時間をかけたのって、どうも...なんとも...

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2010/10/15

ドラッカーとは無関係


『ドラッカー流 最強の勉強法』中野明
[11/176]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

『もしドラ』が引き続き話題で、何かと目にする「ドラッカー」。『もしドラ』は読んだけど、本人の著書は実は読んだことがない。どうも敷居が高いイメージがあるのと、「マネジメント」は理論ではヒントが見つからない、という先入観もあって...しかしながら興味はあって、その名を冠した本書を読んでみる。どちらかといえば「勉強法」よりも「ドラッカー」の方に惹かれて購入した経緯。
そもそもの勉強テーマの選び方(社会人としての)から、時間の使い方や、読書の手法まで、「ドラッカーはこうしていた(だろう)」をベースに構成されているが、そのあたりの方法をドラッカー自身があまり直接的に残していないこともあり、本書の大筋はあまり「ドラッカー」とは関係ない。著者自身が説く「勉強法」であり、名前を戴いているだけ、という見方もできてしまう。しかしながらその内容は薄いものではなく、参考になるものも少なくない(実際に何か「勉強」を始めてみようかという気になった)。ドラッカーの名を被せなくてもいいのかもしれない。十分通用すると思う。著者自身があとがきで触れているように、「(著した本が)売れる困難」を克服するための手法のひとつか?と本筋ではないところで疑ってしまいがち...
「読書」法についての、「必要なところだけ読むべし」というのは、これまでもあったけれども自分の主旨とは異なる(梅棹さんの言う、「全体構成をつかむことが大事」ということは曲げない)けれども、テーマの見つけ方、継続するための手法(時間管理を含む)、アウトプットの重要性、等、実際に社会に出てから、著作を生業とするようになった著者の実体験も含めて、自分に突き刺さることはある。「アウトプット」これが(個人レベルにおいても)必要だという主張は、(正直出来ていない自分には)耳が痛いことではあるが、本を著さないまでも、なんらかの「アウトプット」は、「インプット」の前提として必須だろう。この「感想文」がそのひとつではあるのだが、なればこのクリエイティブを高める必要がある。そんな思いを強くした。1日時間が経つたびに「勉強」の重要性が増していく、そんな実感が日に日に強くなっていく。も1回自分を棚卸、洗い直すことをしてみよう。
ドラッカーの著書を読むのは...もう少し先かな...

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