2010/04/30

シンプル。でもちょっとネガティブかな


『ゴールデンルールとブラックルール』舛田光洋
[16/65]AMAZON
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

最近(無意識なんだけど)良く出てくる「引き寄せの法則」本。「愛される人」と「愛されたい人」の違い。愛が欲しければ愛すればいい。認められたかったら認めてあげればいい。シンプルです。この本で説いているのはこの部分だけ。それはそれでわかりやすい。ブレてない。けど広がりもない。それから「うまくいっていないのは(著者の経験も含めて)「ブラックルール」に乗っかっているからで、それを自覚しつつ「ゴールデンルール」に乗り換える、といった、「ブラックルール」が最初に来るあたりが、「ヨウモノ」の100%ポジティブな書き方と異なっていて、どちらかといえば「ブラックルール」から抜け出す方法、に偏りがある感じ。それに対して、「ゴールデンルール」に乗り続ける方法、に対しては相対的に記述が少ない気がする...
読む順番を誤った感はあって、この本の内容に対して否定するものは何もないけれども、直近でわりとこの類を読んで(特に「陽気なヨウモノ」を)きているので、これ自体のインパクトが少ない。商売でいえば、お客さまが楽しむ、それにはそれに携わる従業員が楽しむ、それには自分が楽しまなければならない。この「逆引き」は確かにそうだと考えているんだけど、それを改めて最初っから読んだ、それ以上でもそれ以下でもない、という感じがするなあ。
あっさり読めるのは悪いことではないし、特別響かなかったのは私の「順番」のせいだと思うので、この手の本に染まっていない人には響くんだろう、と思う。個人的にはむしろ著者の本業である「そうじ力」を読んで見たいと思ったりした。

2010/04/28

難しかったわ...


『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』マーカス・バッキンガム/ドナルド・O・クリフトン
[15/64]Bookoff
Amazon ★★★★
K-amazon ★

「強み」(=才能)に焦点を絞って、そこを最大化する-これってどこかで聞いた話。そうそう、今の事業で「既存の顧客層を強化するのか、新規の顧客層を狙っていくのか」という問いに対して某コンサルの答えがまさにこれだった。すごくシンプルだけど「はっきり」していること。それ以降はこの考え方はブラさずにいるんだけど、つまりこれは仕事の進め方だけではなく当然に「個人」にもあてはまるってこと。
才能とは?「無意識に繰り返される思考・感情・行動パターンであり、何かを生み出す力」、まずはこれを見出すことから始まる。というかこれを見出すところまで、というのが本書の内容。実際にはWEB上の「strength finder」なるツールを使用して、自分の「才能」を5つピックアップする。それを自覚した上で、どうやって仕事を進めていくのか...ツールありき、の内容なので、これがないとつらい。実際にはこの本を中古で購入したこともあり、そのツールは使えず。さらに英語Verなのでかなりハードルが高く...
で、34に分かれたタイプごとの「内容」と「(その才能の)使い方」が解説されているんだけど、ツールが使えないので、とりあえず34タイプ全部読むしかない...「自分はこれじゃないかな」というタイプ解説は「うんうん」と読めるけど、実際にそれが「才能」なのかわからん。34タイプも読んでいると、なんだか単なる「心理テスト」みたいに思えてきてしまう...で、今度は「他者」がどういう才能をもっているかということに対してその人をどう使っていくか、という「解説」がまた34。
「解説書」的な読み方をした(せざるを得なかった)けれども、「強みを活かす」というポイントは自分の中で強化された。それが「才能」であろうとなかろうと、これは進むべき道であると確信。「弱み」を克服することは必要ではあるけれども、「強み」を活かすことで解決できることもあるし、そもそも「補填」の域を超えない、という可能性もあるし。なにより「強み」をベースに話をすすめていくと、ネガティブな表現がでてこない、このことが大事なのかも。読んでいて(仮に内容を100%理解しなくても)気持ちのよいものである。

古本の限界値を見た気がする。実際に自分の「才能」が(ツールを使って)見出せれば、めちゃ面白いのかもしれない。つまりは自分には「計画性」という才能は無い、ということか...

2010/04/25

「きっかけ」になるかなあ


『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海
[14/63]Rental
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

話題の本。今どこの書店でも「売れてます」系には顔をだしているよね。昨日紀伊国屋でもたくさん並んでいたなあ。基本は天邪鬼なので「そーゆー」本はあまり読まないんだけど...「ドラッカー」については、もちろん名前はよく見かけるけど、これまで一冊も読んだことはない。「ヨウモノ」を読むようになったのが最近から、ということもあるけれど...なんだか難しそうで、二の足を踏んでいた。
本書については、(引用されている『マネジメント』を読んでいないのでなんともいえないけれど...)その「原書」をうまく引用しながらダメ野球部が甲子園を目指すレベルまであがっていく、という話で。話の展開自体は、ぶっちゃけシンプルで、ひねりもなく、100円ショップで売っている小説みたい。けれどもそこに「ドラッカー」が入ってくると違うねえ。その「結びつけ方」はわりとスムースに感じられ、以前読んだ「フライを落とした...」に書かれていたような「むりやりなこじつけ」ということはない。「小説部」にアタマを使うことがない分、どんどん読みすすめることはできるし(ある意味残りページ数が減っている感覚、って読書には必要、でしょ?)、あいまあいまに登場する「ドラッカー」の間(ま)もよく、読み物としては「あり」だと思う。これで「経営」が理解できるか、というのは別物。これでわかるほど簡単ではないし、それをこの本に求めること自体誤っているかと思う。次に「ドラッカー」を読むきっかけになれば...と自分では位置づけていたけれども、正直今のところあまりそーゆー欲求は芽生えてこないんだなあ...もちろん興味はあるけれども、なんとなく「乗せられる」ことに拒否反応を示しているのかも。紀伊国屋には当然のように「特集コーナー」が設けられていたしね。ま、いつか、ね。
ある意味「マーケティング」視点で考えれば、こーゆー本の「企画」がすばらしいと思う。これまでも「ビジネス書」を読んできている「マネージャー層」がターゲットなんだろうけど、その「目新しさ」には惹かれるね。しばらくは同じような趣向の本がでてきて、すぐに飽きてしまうんだろうから、「最初」にだけ意味があるんだろうね。話題についていく、という意味でも読めてよかったかも。

2010/04/23

多分忘れちゃう...


『コーヒーとサンドイッチの法則』竹内正浩
[13/62]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★

魅力的なタイトル、「忙しいのに儲からない。その理由は...」これまた魅力的な書き出し。AMAZONのレビューの高さが感じられる...期待大!っていう感じで始まり、あれ?終わりか...で終わった。
ヒルトン、帝国ホテルが実は我々がイメージしている客室貸し、だけで儲けているわけではない、とか、BMW、ベンツはじめとして、商品ラインナップがなぜ設定されているのか、とか、他にも事例を含めてわかりやすく読みやすく書かれている。けど、何か物足りなさを感じていたが...書かれているのは「それはこういう理論であるから」ということどまりで、そこから何をヒントとして得られるか、自分の環境にどう置き換えられるのか、というところが想起しにくい。前述の商品構成とかその辺はある程度「知ってる」という中で、この本によって始めて知った、理解できた、ということが少ないから、この本を読むことで得たものではないから、なのだろうと思う。それをどう考えたらよいのか...まあ、後は自分で考えなさい、というのが本来であるとは思うんだけど、仮に自分と違う考え方であったとしても、著者なりの「見方」というものがあると「気づき」も多くなったりするんだけどね。
全体の流れとして、強烈に印象に残ったものがなく、全編にわたり前述のような「こういう理論なんです」という空気。けして読んでいて気分は悪くないんだけど、気持ちよくもない。
ただひとつ「キャッシュフロー」については、結構クリアな感じがした。以前簿記系の勉強をしていた際に、この「キャッシュフロー」という考え方が非常に苦手だった。その点がクリアになったことは、この本を読んだ価値。本筋とは違う部分かもしれないけど、「休眠しているリソースを活かす『範囲の経済戦略』」ってところでしょうか...


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2010/04/22

レビュー評価が高すぎでは?


『あなたの「人格」以上は売れない』黒木安馬
[12/61]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

「接客のプロ」-JAL国際線チーフパーサーであった著者が、例えばファーストクラスのお客さまに対して、またはCA(スッチー)に対しての教育の場で、どのような「接客の心得」を実施し、浸透させていったのか...という話。(おそらく)実際にあったエピソードを、現場であったように「会話・対話」形式で紹介している。
ある意味、「現場」が近くて、現実感がある。著者の「知識」も相当なものだと感じる。お客さまに対する姿勢は「すべてYES」であり、Noを口にしてはいけない、というスタンスをとる。ある意味「何いってるんだ、こいつは」という理不尽なことに対しても、「相手を思ってウソをつく」「百を知ってそのそぶりをみせず、相手を立てる」という対応、これが接客の極意なのかもしれない。いいことばかり、概念的なことばかり書いてあるような「接客マニュアル」よりはずーっといい。
けども...このような接客本に評価が集まる、ってことは、あらゆる接客業において「優れている」と見える人がこーゆー気持ち、つまり丁寧に接してくれているけれども、ハラではどう思っているかしれたもんじゃない、っていう勘ぐりにもつながってしまった。それは自分がひねくれているのかもしれないけれど、(私はしらないけれども)サービスという面で素晴らしい!といわれている国際線チーフパーサーが、実は「田舎の山売っぱらってファーストクラスに乗っている田舎もんが何を言ってんだい」って思っている、ということがなんとなく見えてしまい少し意気消沈ではある。これが現実なんだろうけれども知らなければ知らないでよかったことだろうと思う。サービスを提供する側は、個人に戻ればサービスを受ける側である、という視点があまりないような...(敢えて、なんだろうけども)
ひとつ読めたのは、「従業員満足」と「引き寄せの法則」。お客さまに楽しんでもらう、快適に過ごしてもらうためには接客「する側」が前向きで楽しく仕事をしなければならない、ということ。この点は最近読むどの本にも出てくる。これが今の自分のキーワードだと確信できる。また著者はその言葉を使っていないけれども「引き寄せの法則」、つまり、自分がそう思っていればそうなれる。ネガティブなイメージはネガティブな世界へ導かれる、これも最近耳に入ってくる。宇宙だとか法則だとか、100%信じているわけではないけれども、ポジティブイメージをもつことは(結果「引き寄せ」られるかどうかは別としても)マイナス要素はまったくないからね。気持ちはいつもそう思っていたいと思う。

世の中的には、JALの破綻というニュースの後なので、「だからJALのサービスは素晴らしい!」と主張されることがなんだか空々しい感じも。これはこの本が書かれたときとは色々な面で環境が違うのだろうけどね。あと、当然に「本」用に会話・対話の内容が書かれていると思うのだけれど、ここに書かれているお客さま或いはCAとの会話が仮にこのまま、だったら、なんだか薀蓄ばっかり、自分がしゃべってばっかりの人、という感じも。「聞く」ということが会話では一番大切、というニュアンスはなかった。
ただ、よくも悪くも、最近読んだ本で最も「集中」できた本であることは間違いない。引き込まれた...そんな感じ。



2010/04/20


『フライを落とした野手はなぜ空を見上げるのか』保科充弘
[11/60]Library
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★

著者の本業である「企業防衛」「事業承継」等については自分の今の環境ではほぼ絡まない話題。でも読んでみようと手にとったのは、タイトルのインパクトによるもの。40項目全てにわたり、著者が愛してやまない野球の事例から企業の立ち居地に結びつける展開。
確かに「読みやすい」。本来は今読む必要がないかもしれない話題に対して、嫌気もささず最後まで読み通せたのは著者の文章力によるもの(と、私も野球が好きであるということ)が大きい。けども、実際に「企業防衛」や「事業承継」が身の回りにある環境の人が読んで果たして参考になるのだろうか...それらの問題に対してのソリューション提供、というよりは、「そーゆーことが充分にありうる世の中だから、早めに「気づく」ことに注意していきましょう」というレベルなんだろうなあ、という印象。
1983年の甲子園で、桑田、清原が属するPL学園が、水野擁する池田高校に完勝したことにふれ、「甲子園のスターというポストを承継した」と称し、これを企業の事業承継につなげていく...こんな「むりやり」感。個人的にはキライではないです。確かに野球はいろんなことを想起させてくれる。贔屓のマリーンズが悲願の優勝を成し遂げたときには、泣くことを抑えられなかった。「弱者のレッテルを貼られたチームがひたむきに優勝に向かって、『ダイノオトナ』がここまで一所懸命になる姿」に感動を禁じえなかった。けども、そういう感傷的な感情って、ある程度の年齢に達してから、なんだよね。他のいろんな場面でそれなりの経験をしてきたとき、ふっと安心できる野球を見て、そこで(自分の中で)感動にむりくり結びつけた、それは否めないなあ。
AMAZONで今上げられているレビューはちょっと偏っている感じがする。この内容だったら、賛否両論あったほうが本の価値は高まるんじゃないかな。なんて、偉そうなことを考えた。

2010/04/19

もう少し「ウラ」を知りたい...


『星野リゾートの事件簿』中沢康彦
[10/59]AMAZON
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

幼い頃、両親によく軽井沢に連れて行ってもらった。「別荘持ち」ではないけれども、毎年「貸別荘」で夏休みを過ごした(軽井沢ではないけれども、今自分の子供たちに同じことをしている自分がいたりする)。そんなこともあり、軽井沢という地域、そしてそこで毎年目にしていた「星野温泉」はアタマに刷り込まれている「キーワード」でもある。
最近ビジネスの面から名前を見るようになって、いつか読んで見たい、触れてみたい、という気持ちは高ぶっていた。読み進めるにつれ、幼少の自分が目にした「温泉の看板」とはスケールが一回りもふた回りも異なり、一箇所のみならず、全国の「下向き」のリゾートを再生する事業、その根幹としての「星野リゾート」を運営されている、ということを、恥ずかしながらこれを読んで初めて知ることに。アルファトマムも手がけているなんて...(でもトマムが経営危機になり、事業主体が変わり、そして再生された、っていう流れのひとつも知らなかったけれども)。
軽井沢の地元、アルファトマム、それから「よなよなエール」(地ビール。かつて「酒業界」にも数ヶ月いたことがあるので名前は知っていたが、「星野リゾート」発信だとは知らなかった。)等々、苦しんでいた事業を再生した「失敗→成功」の物語。「事件簿」というフレーズがあっているかは不明だが、(その言葉を使っている理由は最語にでてくる)、現場はもちろん苦労されているが、その再生のフローは、「派手」ではないけども、「地道」に確実に土台になっている、という感じ。「顧客満足度」がキーになっている、という話で統一されているが、これはなかなかできることではない。実感がある。社長は「トップダウン」型を改め、あくまで「現場が自分たちで苦しんで考えて考え抜いて道を見つける」スタンスを取り続けている。これが「成功」に結びついている、という全体の流れ。
これってこの「ウラ」にはいくつもの「葛藤」「我慢」「再考」等があったはず。さらっと書いてあるような流れで「再生」できるわけはないもの。この手の「成功事例」を束ねた本を読むたびに、「それでも成功しなかった」例がひとつでもあるとすっごく共感できるんだけどなあ、って思う。それでは本にならないのかもしれないけれどね。
自分にとって、同じように「再生」をせねばならない環境にある自分にとって、なにかしらの「ヒント」が得られえれば...異業界という点を差し引いて考えても、正直「ヒント」を見出しにくい、というのが感想。「お客さま満足」「従業員のやる気」が最重要なのはわかる。わかるけれど、この本で初めてわかったわけではない。そこからもう一段階上にいくヒントを...そんなムシのいい話はないか。そうだわね。

2010/04/16

「常識」って...


『ビジネスの”常識”を疑え』遠藤功
[9/57]Bookoff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

自分がビジネス本を読んでいく中で何を見出すのか。それは「ビジネスの常識」を知る、それから小さくても何か「ヒント」を見出してそれを自分の環境にアレンジする、ということだと考えている。まずは「知る」ことから始まる、というのは間違いないだろう。本書もそこは一致している。タイトルは「疑え」だけれど、まずは「知る」ことをしないと始まらない、ということは充分に説いているし、そもそも「知らない」とこの本の内容は咀嚼できないだろうね。
「IT化が進むと紙がなくなる」「中国が世界の工場になる」「よい商品なら売れる」...
そんな常識をアタマっから信じることはしないように、という「逆側から見る」ことの大事さが書かれている。読み始めてからは、最初は「痛快」だった。中頃で「飽き」が...
なぜなんだろう。「このセオリーは本当にそうなの?違うでしょ?こうでしょ」という各項目の進展に対して、
「A=Bではなく、A=Cである。」という内容に、「A=C」というのを「疑う」ことはしなくていいの?という反発が最初にあった。でも著者は「A=Cという見方もできるので、A=Bしかない、とはけして思わないように」という書き方。う~ん、どうも「先生」口調に抵抗があるのかも...
いや、多分ね。「常識を疑う。A=Cという考えもあるでしょ」という内容が、ある意味「常識」の枠内なんだね。残念ながら「A=B」だけを盲目的に信じるほど、自分は若くないので、ある意味「違った見方」をするようになっている。だから書かれている「常識ではない見方」が既に自分の中ではある程度「常識」なのかもしれない。つまり「あーそんな見方もあるんだねー」が少ないんだね。
ま、でも、「常識を疑う」=「自分で考える」というこが著者の考えの根底にあるので、そこは自分の考えとブレていないし、すーっと入ってくるものはあった。「気づき」がなかっただけで「確認」はできたかな。

2010/04/15

興味あり...でも手ごわいなあ


『ペルソナ手法の教科書』Steve Mulder,ZivYaar
[8/57]Rental
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

UCD=ユーザー中心設計、というKWは最近特に気になっているポイント。さらに「ペルソナ」というKWも1年前くらいから「興味」レベルで持っている。ただ、あまり業界関係者との話に登場しないし、書籍等で目にする機会もなく、「実際に自分で」という段階までは到達していない。
ペルソナ=対象となるWebサイトの典型的なユーザー像を作る。活用する。その「ペルソナ」だったらどう考えるのか、その「人」に使って欲しいと思えるツールであるのか、デザインであるのか。確かに不特定多数を対象に「最大公約数」を狙って成功するレベルではなく、また実は「最大公約数」っていうのも感覚値にすぎない。明確なユーザー像を「生み出す」ことでなにか明確な「戦略」が見出せる気も...
けども、当然ながら「ペルソナ」誕生にむけて集約するフローがなかなか難しい。「アメリカ」とはいえ、ここまで細かくそのプロセスについて記述された「教科書」はそうそうないと思う。
逆にみれば、(翻訳されているもの、ということもあるが)結構回りくどくて、なかなかその内容が進展しない、という「読みにくさ」は正直あった。また、ペルソナの作り方、生かし方という「手法」に偏っている(「教科書」だから仕方ないかもしれないけど)傾向があり、本の最後のセンテンス『ユーザーは常にペルソナ手法のお手本となるのだ』というのは、若干本末転倒な気もする。
本来はこれはあくまで「手法」であるので、根幹にあるのはUCDであるはず。テクニックのフローが多いことにより、多少途中で「ん?今何について読んでるんだっけ...」という気になりかねない。イッキに読むべし。一番よいのは、UCDなり「ユーザーオリエンテッド」なり、そこをハラに落とした上で、この「教科書」を読んだらよかったんだろうな、と思う。自分にはその「本質」がまだ充分に備わっていないので、手法の教科書が上滑りしてしまったのかもしれない。
ただ...いずれにしても「供給者視点」は限界にあるかと実感している今、この手法を使ってみるかどうかは別にして、「そちら側」に視点を移さなければいけないことは確か。まあ、「供給者視点」で成功しているところもあるけれどもね。
「お客さまを知る」これは対面販売だろうと通信販売だろうと、変わらないこと。アプローチが違うだけ。できない、のではなくて、やらない。そこにつきる。やる。それだけ。

2010/04/14

おなかいっぱいです


『人生が全部うまくいく話』斎藤一人
[7/56]Rental
Amazon ★★★★
K-amazon ★

ずーっと気になる著者のひとりであった。書評を見る限りでは両極端に分かれているが、「はまる」可能性もなくはないのでいつかは読んでみようと...
結論、私には合わないようです。著者の「熱さ」は感じられました。仕事に対する姿勢、人、モノに対する姿勢は、(宗教的、という表現があっているかと思うほど)ユニークで、ササル人にはササルんだろうなあ、って思う。けど、「現実的に」著者の感覚で進んでいけるようなキャラでもないし、環境でもない。遠い存在がもっと遠くなってしまった感じ。
昔見た「スプーン曲げ」について、「それでいったい何の役にたつの?」っていう見方をしているんだけど、これって「痛快」であると同時に、そーゆーのを「面白い」って感じられない余裕感覚とか、興味とか、そういう側面もあっていいと思ったりする。著者のいうように最初から「除外する」ことがいいのか、一旦受け入れてから除外するほうがいいのか。少なくとも自分は一瞬であっても「受け入れ」ないと幅が広がらない気がしているので、後者の考え方ですね。これがいいのかどうかはわからないけど。そこから何か見つかるかもしれない、って目をこらす。つまり「貧乏性」なのかも。高額納税者の著者との差がここにあるのかもしれないね。でも曲げるつもりはない。
最新書とか、読んでみようという興味は今のところ持てていない。「勢い」をつけるためにはある意味「必要なツール」なのかもしれないけれど...しばらく寝かせてみよう。

2010/04/12

「見方」が変わるかもしれない。


『モリー先生との火曜日』ミッチ・アルボム
[6/55]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★

難病ALSに犯され、死を覚悟した恩師との再会。そして「最後の授業」。そのテーマは「人生の意味」という追求しても追及しきれないテーマ。まもなく訪れる死を「受け入れた」教授は、かつての教え子(著者)に、いわば「愛」を語る。スポーツ記者としてそれなりに成功し、それでも充実感を感じていない「教え子」は、先生の授業で何かが変わってくる。そんなストーリー。
死を目の前にして「自分は幸せ」と言い切れる先生。それは今の自分には「想像」でしかなく、現実感を持って読めるようなストーリーでは正直ない。しかしながらそこに出てくるいくつかの「教訓」、
「いかに死ぬかを学ぶことは、いかに生きるかを学ぶこと」
「人生に意味を与える道は、人を愛すること、社会のために尽くすこと」
「若返りたいと思うのは人生に満足していないから。年齢は勝ち負けの問題じゃない。ありのままの自分を受け入れ、それを大いに楽しむことが大切」
は何か言葉で表現できない「形」をもって自分の中に入ってくる。
この手の「泣き系」は結構弱い。なので最初の頃から「最後は泣けるな、きっと」と思って、電車で中での読了は避けようと思っていた。
けど。読み進めるにしたがって、この本から読むところは「悲しみ」ではない、と自然に感じられるようになり、思ったほどの「泣き」がなかったのは自分でも不思議なほど。とはいえ「死」について何かわかったわけではない。「いかに生きるか」というテーマについて達観したわけでもない。けれども、30代の頃に読んだとしたらおそらくこの感じは得られなかっただろうな、というのはほんの少し感じる。それなりに年齢を重ねてきているわけだね。
あとがきにもあったけれど、ここまで徹底して「愛」を語り、「愛」を貫いている姿勢に、何かを感じたのだと思う(直接的な表現ができない。そこまで「できて」いないんだろう)。
数年後にまた読んだら、違う感覚を得ることができるだろう。きっと。ある意味「楽しみ」だったりする。
「生と死」という重いテーマではあるけれども、「重さ」に押しつぶされることはない。読める。



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2010/04/08

人に薦められる良書!


『佐藤可士和の超整理術』佐藤可士和
[5/54]Library
Amazon ★★★
K-amazon ★★★★

以前から気になっていた本。けど「時間系」のハウツー本と同じくらい「整理系」のハウツーがキライで、且つ著者が「アートディレクター」という肩書き故の(自分との)距離感も感じて躊躇っていた。
たまたま著者の名前が会社同僚の口から出たことがきっかけで読んでみようと思い立ち...よかったです!仕事は自分とは無縁の世界で、書名は「整理術」であっても、今の仕事のヒントに充分になりうる。ここで「整理」する対象は、実際のブツに限らず、「情報の整理」そして「思考の整理」にまで及んでいる。
「思考の整理」。これって今の仕事上の課題に重なる部分が多い。どうやって今の閉塞感を打破していくのか。どうしたら「変化」を起こせるのか。ツールではなくてアイデア。この概念まではたどり着いたんだけど、そこから先の具体策に落とし込めない。そんなもどかしさでいっぱいの「今」、まさにうってつけの内容。もちろんそのままスライドして今日から使えるものではないけれども、そこからは自分次第。必ずヒントになりうる、と思い込んでいる。
著者が何度も説いているのは「視点」というキーワード。
・マイナスのイメージを、「視点」を逆から見ることによってプラスに変える(「ビールの廉価版」という発泡酒のイメージを変える等)
・1歩「ひいて」俯瞰することの重要性
・「整理」することで本質を見抜く視点。ビジョンを見出すための「整理」
デザイナーという範疇で語られた「整理術」ではない。逆にデザイナーとして求められる「視点の高さ」を継続して持ち続けるために必要な「整理術」について書かれている。これはデザインに限らない。自分の今の仕事も含め、全てに応用できる「考え方」。
そしてなによりも、その「視点」を持つためには「トレーニング」が必要であると書かれている。これつまり本質だったりするんだよね。本を読んで「術」が手に入ることはない。そこから自分なりの方法で探していくきっかけにするかしないか。「術」系の本の読み方はそれであるべきだと思う。
先鋭のアートディレクターであり、取り上げている事例も、「え?あれってこの人なんだ!」というものばかり。そういうのが単なる「自慢」には感じられない。考えている、考え抜いているなあ、という尊敬の念に近い。本からも「一流」を感じることができた。
さて自分に置き換える。もっともっと真剣に深く「考える」ことをしないといけない。考え抜かないアイデアは「あたる」確率は少ないし、「あたり」であっても、他のひとも簡単に出せるものである可能性が高い。他の人が簡単には出せないアイデアを具現化する。ここに自分の価値が出てくる。はず。

2010/04/07

「時代」感覚が...


『究極のマーケティングプラン』ダン・ケネディ
[4/53]Liberary
Amazon ★★★★
K-amazon ★★

久々に「売る」ことを全面に打ち出した内容の本。なんとなく最近は目線を変える、という目的もあって、「周辺」の本を読むようにしてきたが...これはこれで「あり」なんだと思う。
前半で、「タダで広める」箇所で、「慈善団体に寄付する」とかあったのはなんとなくイヤな感じがしたし、「今はそれ広告代理店の(有料の)メニューになっちゃってるよ」とかあったし、コールセンターのアウトバウンドがいかに効率的か、を説いていたり。「前書き」で監訳の”あの”神田さんが書かれていたけれど、
「1991年の刊行であるけれども、今の日本で通用することがヤマほどある」という感覚には最後までなれなかった。どうも「手法」に偏りすぎていて(そういう手法も必要な場面はあるけれども、それらがあまりに「現実的」ではない)、且つ、いかにも「アメリカ的」であったりして...
「マーケティングはアメリカに学べ」というのがなんとなくセオリーっぽく言われているけれども、自分としてはどうも消化できないでいる。「アメリカで流行ったから」っていうのが通用しない例がいくらでもあるし。いいものはマネする、そこにも本質を見極める「目」が必要、という基本原則は確実にあるかと思う。特にメールオーダー、通販は土壌自体が異なるので、「本国」と同調することがベースという考え方には懐疑的。
あくまで「参考」レベルで読み進めていたけれども、自分の信条と合致することはあった。曰く。
「お客さまを、1件とか1社とかそういう言葉を使っていたら、その感覚が広がる、伝わってしまう」という点。本書では「トータルカスタマーバリュー」という言葉で説明されている。これは「通販」とくにリピート型で実施するにあたっては基本、かもしれないけれども、意外にハラに落ちていない人も多いのかも。
そして、「広告代理店の選択」。これは「現在でも通用する」部分。逆に考えてみれば、20年も前から「広告代理店」の体質は変わっていないんだなあ、ってシミジミ。プロとして任せるに値する会社、人物を選ぶこと。これはいつの時代も「課題」なんだね。

2010/04/05

ゆるい。けどヒントはある。


『なぜあの人は楽しそうに働くのか』中越裕史
[3/52]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★

「本当に自分が好きなことを仕事にする」「やりがいのある仕事を見つける」
理想ですね。これをあきらめるのか、あくまでも求めていくのか、ある領域の中で見出していくのか...結構難しいポイントだと思う。「本当に自分の好きなこと」であれば、それに打ち込むことは楽しいし、楽しければ「結果」がついてくる、という流れは作れる。もちろんそう簡単にはいかないけども、それを求めていく流れの中で壁に当たったときに読むとすごく勇気をくれる、そんな感じ。幸か不幸か、今自分にはそれほど強い思いはないので、若干「他人事」のように客観的に読んでしまった。どちらかといえば、「壁」に当たったときに、あきらめるんじゃなくて、無理しなくていいからがんばろう!みたいなニュアンスに感じる。
自分はどちらかといえば、もがき苦しんでいく中で今の環境にたどり着いた、というイメージ。それが良かったのかどうかわからないけど、今この場で方向変換をする強い意志は正直ない。それよりも、今の環境の中で、(自分の思い描く)最高値をどうだしていくのか、それを「目標」にしている。
傍目から見て、(書名にあるような)「楽しそうに」見えるかどうかはわからない。楽しそうに「見える」ようになりたいとは思う。いくら「厳し」くても。それが「プロ」という自意識、固定観念があるんだけどね。
大きく俯瞰してみてみると、多少なりとも「満点」から欠ける部分がある場合は、それを埋めるべく「変化」を作る、ということが大事だよー、と説いている、という読み方をした。それでよいのかどうか著者の伝えたかったメッセージを適切に受け止めているのかは不明だけど、自分にとってはそういう見方が「今」一番響くし、「変化」を求めていることは紛れもない事実だ。そして「楽しく」仕事をすること。これの重要性も今まで以上、強く感じている。そのためには自分が「楽しく」なくちゃ。そうつながるわけで...
心理カウンセラーという立場から、読んでいて「気持ちの良い」本であったことは間違いない。私にとっては「刺激」は強くなかったけれど、自分を見直してみる気持ちにはなった。棚卸し。どこかで必要になるんだろうね。
AMAZONの書評で誰かが書いていた「読んだ後、じわじわ効いてくる」。そんな感じです。

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2010/04/03

「なぜ?」の答えは...


『なぜ、人は「餃子の王将」の行列に並ぶのか』野地秩嘉②
[2/51]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

昔から知っている「餃子の王将」という名前を最近いろいろな方面から耳にすることが多くなっている。「行列」ができていることは知らなかったけれど、その好調な業績ということも、また味の評判ということも。
店の名前は知っているけれども個人的にはファンでもないし、正直行ったことは少ない。おそらく何度か行った...という曖昧な記憶だけしかなく、この5年は少なくとも行っていないかも。
大東社長のインタビューから、この店が徹底して顧客視点の考えだったりするのは「さすが」と思いつつも、これって他の企業もそう変わらないと思う(どこまで徹底しているか、というのはあるけど)。「気づき」としては店長が店で料理をすること、そして彼らは徹底して「数字」(P/L)を身につけていること、これらをもって「現場力」と著者が表現しているものがあるんだなあ、というところ。これは想像しなかった。飲食チェーンの現場店長って、高いレベルをそれほど厳しく求められているわけではないのだろうと...勝手な想像なんだけどね。
さて本のタイトルにもある「なぜ?」なんだけど、自分があまり行っていない身分なので臨場感はないけれど、おそらく、「安定感」「バランス」なんではないかと思う。値段、味。これらが飛びぬけている、というわけではないけど(これ主観。あくまでも)、店に入って「失敗する」「後悔する」心配が無いんじゃないかなあ。ファミリーレストランよりは多少「マニア」っぽいのでそこに刺激されることもあるかも。本の中でも誰かタレントが発言していたけど、店に入る「ハードルの低さ」が一因だよね。でもそれって結構考え抜かれた結果であって、単に「チープ感」ではない。このあたりの「奥ゆかしさ」つまり「がんばってる感の押し付け」がない、というのもポイントかも。
本を読み進めていくうちに、その手法も気になっていたが、それよりも定番メニューの「焼き飯」が気になってきた。炒飯のおいしい店は実はあまりなくって...近所の「王将」に行ってみたい。そんな気になった。
今日行こうかな...

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2010/04/01

「今」必要なものがあった。


『売上1億円を引き寄せる感謝の法則』成田直人
[1/50]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★

学生アルバイトで「日本一」売上げ、知識も興味すらなかったパソコン店で1億円売り、今は販売コンサルタント...いったいどんな人物なんだろう?という興味もあった。が、それよりも商いをしている自分が今一番関心を持っている「感謝」そして「売上」というキーフレーズがタイトルにあったことで...
所謂「慣れ」ているコンサルが、若干の「上から目線」で「指導」している内容ではない。自らが、実践し、結果を出してきたこと、その根底に何があったのか、それをテクニックではなく、「感謝」をベースに書かれている。以前の私だったら...「売れていた」時期の私だったら、「若造に言われたかないわい」っていう感じだっただろう。でも今は...結構素直に受け止められた。おそらくこの本に書かれてはいない「努力」を著者がしてきたであろうことは容易に想像できたから。
多少自らが作り上げた実績、それがハナにつくような場面もあるにはあったが、「販売」として、誰よりも努力したから、「目標」を追い続けていたから、お客さまに接する=笑顔を見ることが好きだったから達することができたのだろうと思う。
自分はそこまで徹底できているのか?いや、できていない。これから徹底していけるのか?していかなければならない。そんな思いを再認識させてもらった。
表面的には、対面販売での経験から、現場で成功したヒントなどが書かれているので、通販を生業とする自分には「直接」効果は見えない部分はあるけれども、いやいやお客さまがなんらかのきっかけで接していただいて、そのお客さまが気持ちよくサイフを開いていただいて、商品を使っていただいたことによって生じる「笑顔」を見たい。そこは変わらない。ただ道筋が異なるだけ。
目標設定=何のために働いているのか。という点についてページを多く割いている。この「目標」に関しては自分自身「今」結構揺らいでいるのだが...自分自身の「目標」は定まっていてブレることはないんだけど、メンバーの「目標設定」をサポートする立場になったときに、「そもそも目標って今決めなきゃいけないことなのか...」って悩んでたりする...これは「チームビルディング」の分野か。それをこの本に求めるのは筋違いだね。
あと、「目標」に対しての、「今の自分の位置」という意識は強く共感。そうなんだよね。目標だけあってもこの「位置」という意識がないとうまくいかない。それはなんとなく体感できている。そうそう。
著者は「親の喜ぶ顔が見たい」という目標を掲げているが、これは素敵なことだと思う。これを堂々といえる著者が素晴らしい。多くの人がそう思っているけど口に出さない、そんなことだから。
一回り以上も若い著者に、素直に「尊敬」できる、そんな気持ちになった。そういう気持ちになれるようになったのは、少しだけ自分の成長かな...

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