2010/04/19

もう少し「ウラ」を知りたい...


『星野リゾートの事件簿』中沢康彦
[10/59]AMAZON
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

幼い頃、両親によく軽井沢に連れて行ってもらった。「別荘持ち」ではないけれども、毎年「貸別荘」で夏休みを過ごした(軽井沢ではないけれども、今自分の子供たちに同じことをしている自分がいたりする)。そんなこともあり、軽井沢という地域、そしてそこで毎年目にしていた「星野温泉」はアタマに刷り込まれている「キーワード」でもある。
最近ビジネスの面から名前を見るようになって、いつか読んで見たい、触れてみたい、という気持ちは高ぶっていた。読み進めるにつれ、幼少の自分が目にした「温泉の看板」とはスケールが一回りもふた回りも異なり、一箇所のみならず、全国の「下向き」のリゾートを再生する事業、その根幹としての「星野リゾート」を運営されている、ということを、恥ずかしながらこれを読んで初めて知ることに。アルファトマムも手がけているなんて...(でもトマムが経営危機になり、事業主体が変わり、そして再生された、っていう流れのひとつも知らなかったけれども)。
軽井沢の地元、アルファトマム、それから「よなよなエール」(地ビール。かつて「酒業界」にも数ヶ月いたことがあるので名前は知っていたが、「星野リゾート」発信だとは知らなかった。)等々、苦しんでいた事業を再生した「失敗→成功」の物語。「事件簿」というフレーズがあっているかは不明だが、(その言葉を使っている理由は最語にでてくる)、現場はもちろん苦労されているが、その再生のフローは、「派手」ではないけども、「地道」に確実に土台になっている、という感じ。「顧客満足度」がキーになっている、という話で統一されているが、これはなかなかできることではない。実感がある。社長は「トップダウン」型を改め、あくまで「現場が自分たちで苦しんで考えて考え抜いて道を見つける」スタンスを取り続けている。これが「成功」に結びついている、という全体の流れ。
これってこの「ウラ」にはいくつもの「葛藤」「我慢」「再考」等があったはず。さらっと書いてあるような流れで「再生」できるわけはないもの。この手の「成功事例」を束ねた本を読むたびに、「それでも成功しなかった」例がひとつでもあるとすっごく共感できるんだけどなあ、って思う。それでは本にならないのかもしれないけれどね。
自分にとって、同じように「再生」をせねばならない環境にある自分にとって、なにかしらの「ヒント」が得られえれば...異業界という点を差し引いて考えても、正直「ヒント」を見出しにくい、というのが感想。「お客さま満足」「従業員のやる気」が最重要なのはわかる。わかるけれど、この本で初めてわかったわけではない。そこからもう一段階上にいくヒントを...そんなムシのいい話はないか。そうだわね。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter