2010/04/20


『フライを落とした野手はなぜ空を見上げるのか』保科充弘
[11/60]Library
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★

著者の本業である「企業防衛」「事業承継」等については自分の今の環境ではほぼ絡まない話題。でも読んでみようと手にとったのは、タイトルのインパクトによるもの。40項目全てにわたり、著者が愛してやまない野球の事例から企業の立ち居地に結びつける展開。
確かに「読みやすい」。本来は今読む必要がないかもしれない話題に対して、嫌気もささず最後まで読み通せたのは著者の文章力によるもの(と、私も野球が好きであるということ)が大きい。けども、実際に「企業防衛」や「事業承継」が身の回りにある環境の人が読んで果たして参考になるのだろうか...それらの問題に対してのソリューション提供、というよりは、「そーゆーことが充分にありうる世の中だから、早めに「気づく」ことに注意していきましょう」というレベルなんだろうなあ、という印象。
1983年の甲子園で、桑田、清原が属するPL学園が、水野擁する池田高校に完勝したことにふれ、「甲子園のスターというポストを承継した」と称し、これを企業の事業承継につなげていく...こんな「むりやり」感。個人的にはキライではないです。確かに野球はいろんなことを想起させてくれる。贔屓のマリーンズが悲願の優勝を成し遂げたときには、泣くことを抑えられなかった。「弱者のレッテルを貼られたチームがひたむきに優勝に向かって、『ダイノオトナ』がここまで一所懸命になる姿」に感動を禁じえなかった。けども、そういう感傷的な感情って、ある程度の年齢に達してから、なんだよね。他のいろんな場面でそれなりの経験をしてきたとき、ふっと安心できる野球を見て、そこで(自分の中で)感動にむりくり結びつけた、それは否めないなあ。
AMAZONで今上げられているレビューはちょっと偏っている感じがする。この内容だったら、賛否両論あったほうが本の価値は高まるんじゃないかな。なんて、偉そうなことを考えた。

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