2011/11/09

暗澹たる気に...抜け出さねばっ


『警告<目覚めよ!日本>』大前研一
[7/194](ReviewPlusさんからの献本)
Amazon
K-amazon ★★★★☆

かなりストレートな著者の日本再生論。震災、原発事故、円高、不況、財政赤字...閉そく感漂う日本を救う著者の提言です。大部分は、通貨問題や政治の混迷、国家財政の債務超過などについての「現実」に警告を発していて、正直なところ、「わかっちゃいるけど身の回りの問題ではないなあ」って、軽くみていた自分には、かなり刺激的。「よくない」とは分かっているけれども、「どうよくない」のか、って知ろうとはしていなかった。貿易に関する仕事でもないし、TPP問題にも直接は関係ない。「対岸の火事」というところまではいっていないけれども、むしろ目の前の「自分の」問題の方が大事...わりとこういうひとって多いんじゃないかっていう気もする。
著者が10年以上も言い続けてきたこと、10年以上前に提言したこと、これらが現実に目の前に突き付けられた感じになってきている。震災や事故は想定していなかったとは思うけれども、著者の言うように、時の政治家、官僚が何か手を打ってきたのかどうか、かなり怪しい。震災後のゴタゴタをメディアで垣間見るだけでもなんとなくわかる。もちろん、首尾よく手を打った策もあるとは思うし(そういうのってメディアには上がらないだろうし)、手を打ってきたからこそなんとか今まで「維持」できているのかもしれないけれど...
事態はけして楽観的ではないようだ。まずはこういう意見、見解を知る、ってことも大事。メディアは「視聴率の取れる」報道を優先し、日本の将来を考えているわけではなさそうだ。でもそんなメディアに影響を受けるのも事実。本質的なところをはっきりと言えるような環境はないものなのか...それがひとつは2年前の政権交代だったのだろうけれど、著者の指摘するように、現政権は「過去を引きずる」状態がいまだに続いているようです。「人材不足」と著者は指摘するが、政治家でも官僚でも「なりたて」の頃は、著者のように意欲を持っていたはずなのにね...
先行きが不明、将来が見えにくいのが、最も「不安」を煽るんだと思う。増税は嫌だけれども、それが未来にむけてどうつながってくか、必ずしも成就しなくたって、未来図、もっと言えば「夢」を見ることができれば、一定期間の我慢をすることはできるはずだ(文句は言うと思うけれど)。
被災地の復興や増税、TPP参加など、まさに「今」の問題を取り上げているので、「リアルタイム」に、ビビットに感じるものはある。いずれの施策も「あちらを立てればこちらが...」というのは当たり前なんだと思う。それを「グレー」のままに先送りにするのは、最も危険なことだと、改めて知らされる。マクロ=国全体の(将来的な)利益とミクロ=個別に損を被ることになるかもしれない人たち。どちらを優先するか、ではなくて、どちらも優先する。それが政治、行政なんだよね。
たっぷりと「今の状況」を知らされたが、個人レベルでいえば、「自分の価値をあげること」がこれからは一番大事ということ。「会社員としての価値」ではなくて、ね。著者の提唱するような「国際的な」人間にならずとも、できることはあると思う。それを「グレー」のままに先送りしている場合ではない。もう、まったなし、だ。

【ことば】大切なことは...「自分はどのような人生を送りたいのか」を決定し、そこから...「自分への投資はどの分野にどれだけ必要なのか」...プランを作っていくことである。

自分への投資。お金もそうだし時間もそう。これがポイントだと思う。「今から」何ができるか、何をしたいか、ということ。まだ遅くはないはず。どんなものでも「リターン」のある投資は、自分(そして自分の大切な人)への投資だ。 投資に「時間」という概念も常に持ちたい。今だからこそできることがあるはずだから。

警告<目覚めよ!日本> (大前研一通信 特別保存版 Part.Ⅴ)

本書の書評、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね

モクモク羊のブログ
せのび道

0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter