- おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ
- 発売日: 2011/07/21
『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』正垣泰彦
[13/200]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
最近目立つなあ、と思っていた「サイゼリア」。駅前、駅ビルを中心に見かける機会が多い。千葉の市川が第一号店らしいけど、そのせいか、千葉のお店が多いような(109件。東京の180についで多い)。急激に目立つようになったけれど、社長とか創業者とか、そういった話に触れる機会はなく、いつか読んでみたいと思っていた本です。
タイトルが示す通りで、非常にシンプルな経営指標として、「お客様の数」をあげています。価格、味、すべての提示される「サービス」が、お客様の要望と、用途と、満足度の基準に達することによって、再び足を運ぶ、あるいは初めて立ち寄ってみる。「来店するお客様の人数」が統一した、明確な基準であることは、非常に分かりやすいですね。経営層は各店長や、エリアマネージャーに対しては「売り上げ」の目標設定をしないそうです。徹底しています。
もともと、創業当初はかなり苦戦をされていたようで、「イタリアの味を多くの人に提供したい」という「ミッション」に忠実に行動する、すなわち多くの人に受け入れていただけるであろう価格設定をすることで(つまりは値下げ)集客が軌道に乗った。受け入れられる価格でも、利益がでるような体制を作るために行動を決める、素材の仕入れ、人員、業務管理等々。言われてみれば正しい「順序」だけれども、往々にして「逆」の場合が少なくないと思われる。「これくらい粗利益がでるからこれくらいで売る」という順序になりがちな...もちろん「受け入れられる(低)価格」で販売する、というのも、そもそものミッションである「イタリアの味を多くの人に」という前提が徹底されていることがある。その場その場で短期的に「値下げ」しているわけではない。実際、著者は短期的な(戦略的な)値下げ(キャンペーン)を否定している。一時的なものは求めていないわけだ。
店長の目標設定は、売り上げ額ではなく、「コスト管理」という側面が強いようだ。そのミッションに基づいた提供価格に対応するコストを管理すること。売り上げ額が目標でない、というのはある意味、うらやましい側面もあるけれども、「コスト管理」がメインであることもなんとなく辛そうな...
非常に明確な、そして実行力を持った経営哲学を持ったリーダーであると思われるけれど、なんとなく読んでいて感じた違和感は、「人間」を感じる場面が少なかったから、なのかもしれない。「どこの店でも同じ味であること」を達成するためにスタッフたちは努力されていると思うのだが、その努力の描写が少ない(経営者からは「見えない」のかも)ので、悪く言えば「機械」の一部のように思えてしまうのだ。もちろんそうではないと思うが、経営者である著者までが「機械」と考えているんじゃないのか?ってそんなうがった感覚も...同一の味、同一のサービス、これをクリアするのは大変なことだ。その徹底が多店舗展開の軸であろう。ただなあ、実際利用者として見るとサイゼリアのサービスが満点か?といったら...不満が代わりに満足も高くない。リピートするとしたら「価格」が第一ってところか
【ことば】「種をまいて実るのは50歳を過ぎてから。今やっていることを続ければ、必ず花が咲く。」
43歳のときに著者が、尊敬する師から励まされた言葉。「続けること」の大切さを自覚し、そして実際に「続ける」ことを成し遂げた先に何かをつかんだ、そんな人の言葉は重い。信じて続けること、本気で続けること、その先に咲く花を見つけに行くために。「種」をまいて育てること。心をこめて。自分の信念に基づいて。
おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ
>> 本書の書評、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<
起業家”たけ”の航海日誌
これ、気にいってます
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