2012/02/23

前向きに進んでいくことを、「負けん気」という。

負けん気
負けん気
  • 発売日: 2010/02/16

『負けん気』立浪和義
[15/33]LIbrary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

高校時代から知っている野球選手がプロ野球を現役引退していくと、時の流れと自分の加齢を感じる...立浪選手もそうです。特にファンだった、ということはありませんが、プロ野球選手としての野球センスが抜群に高い選手だなあ、と思っておりました。

本書では、プロ野球に入る前段階から、入団、ケガ、レギュラーはく奪、引退、と彼の野球人生を順を追って紹介されてます。それを見る限りでは、イメージとは異なり、必ずしも幼いころからの「英才教育」ではなく、むしろ「体が小さい」ハンデを克服してプロにたどり着いた、そして、周りの人たちに恵まれてプロとして花開いた、という経緯です。
正直、立浪=ケガというイメージはあまりないのですが、中学高校と、厳しい指導のもとで野球に取り組んでいる時点で、一生背負わなければならないケガにも悩まされていたようで、それであそこまでの大選手に!ってのは素直に驚きです。

入団当時の星野監督や、引退まで一緒に過ごした裏方のスタッフ、確かに「いい人にめぐりあう運」があったのかもしれませんが、当然に実力、努力、野球の技術だけではなく人としての成長が、そんな運を呼び寄せたのでしょう。
本書の中でも、「人を大事にする」「感謝の気持ちを持つ」という立浪選手の心意気は随所に伝わってきます。

後年の「代打」専門というのは本人にとっては屈辱だったようですが、そんなときでも、声援を送ってくれるファンに目が向いています。不本意ではあるけれども、応援してくれる人たちのために、最高のパフォーマンスを見せるべく、努力を重ねる姿は、野球だけではなく、一般社会にも通ずるものがあります。

彼は「プロ」ですね。今引退後に初めて本書で表すことって多いのではないでしょうか。ケガとの戦い、レギュラーから代打専門になった時の苦闘。でも、それって現役時代には表に出しませんでしたよね。一生懸命に応援してくれるファンがある限り、最高のパフォーマンスを出すべし、という「プロ」に徹していたと。

文章自体はシンプルで、プロの書き手が書くものとは一味違います。以前読んだ(PLの先輩)桑田真澄さんの本(『心の野球』)とも違います。「野球少年」が自分の半生を、その周りで支えてくれた人たちを中心に書かれている、シンプル故に、立浪さんの素直さ、まっすぐさ、前を向いている姿が鮮明に伝わってきます。

近いうちにまたユニフォーム姿を見ることと思います。まだ今の時点では、「外野に飛ばして一塁を蹴って二塁に走る姿」のイメージが強いですが...いい人たちに恵まれた人は、きっといい人になれる。そんな気がします。待ってますねー

【ことば】人に逆らうことが負けん気ではない。協調する心、調和する心、素直に受け入れる姿勢があってこそ、負けん気は自分の運命を前向きに進めるエネルギーになる。

タイトルにはそういう想いが込められていました。「素直に受け入れる」ことが難しいのは承知ですが、これを避けていては成長はありません。前に進めない。他人を出し抜いてナンボ、の世界であるプロ野球に身を置きながら、このような考え方ができる立浪さんは、やっぱりすごいよ。

負けん気


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