2012/02/07

つまりは...「自分」を強く持つこと。

困った時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)
困った時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)
  • 発売日: 2010/09

『困った時のアドラー心理学』岸見一郎
[5/23]Library
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

社会に出て、困難にぶち当たる。その要因って、つまりは「人間関係」だと思う。仕事や学業そのものへの抵抗感もさることながら、いっしょの空間にいる人、パートナー、彼らと自分の間にあるものをどうとらえていくか、ここに集約されると思う。
こういった感覚にまったく無意識に対応できる人は素晴らしい才能だ。でも、やはりどこかでは「壁」が生じる。悩み解決系の本は数多あれど、
「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」
と考えた、「個人心理学」者のアドラーの主張は非常に興味深い。

本書は、そのアドラー心理学についての第一人者である著者が、事例を基に「お悩み相談」を提供する。職場、家庭、親子関係...そうなんだよね、「人間関係」ってどこにでもある。それゆえに「人間」「人生」である、ともいえる。

基本的な概念としては、「自分は変われる。他人は変えられない」というポイント。「他人を変える」ためには、まず自分が変わるように努力することが必要だが、その結果として他人が変わるかどうかは、また別の問題である。
そして「楽観主義」であろうとするところ。現実をありのまま受け入れる。そしてそこからできることをする。「そこから」何もしない「楽天主義」とは異なり、また当然に「悲観主義」でもない。これらとの相違点は、「できることをする」という点だ。

何が起こっても、何らかの意味があることだと考える。

まあ、分かっちゃいるけれど、「何かが起こった」時に、そういう心理状態を保てるかどうか...
それも「人間」だけれども。


アドラー本人の言葉を借りれば、

「今、ここに生きよう。するべきことやしたいことがあっても、できることから始めよう」

ということになる。シンプルだけど本質的な言葉だよね。

人間関係をどうこうするのは、もちろん「自分」次第。相手から受けるものと、相手に与えるものがあるけれども、自分が携わるべきことを、自分ができることをやっていくしかないのだ。

一番身近な「子育て」について、本書では、著者自身のことに多くページが割かれている。自らが子どもである立場と、親である立場とに分かれて。子どもも親も、一人の人間である。もちろんある程度の「教育」は必要ではあるけれども、子どもだっていずれは大人になる。だから、「自分で考える」ように教育するのがよい、そんなことを学びとった。

自分に置き換えても、親として、子として、社会人として、そこで関わる人たちとどう付き合っていくのか、考え直す必要に駆られる。いろんな環境の人はいるわけで、自分を合わせることが重要なのではなく、自分を強く持っていること、これにつきるんじゃないか。そういうレベルまで自分を高める。そのために「できることから始め」なければならない。

【ことば】この世で強制できないことが二つあります。一つは尊敬、一つは愛です。

私を尊敬しなさい、私を愛しなさい、って言って、相手がそうしてくれることはありません。自分の方に気持ちを向けようとすると、時に攻撃的になったり、威圧的になったり...本末転倒ですね。やはり、そう思われるような「生き方」をする以外に道はない。結果的に尊敬、愛をいただければ...でもそれを目的にしては「下心」丸出しになってしまうわね。

困った時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)


  >> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<
 
世にも気弱なブックレビュー
ぶうにゃん

0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter