- 感動する!数学 (PHP文庫)
- 発売日: 2009/11/02
『感動する!数学』桜井進
[12/30]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆
数学が苦手でも大丈夫、数字が嫌いでも全く問題ありません。算数、数学がどうこう、ではなく、数学そのものの「美しさ」、スケールの大きさ、そんなものを教えてくれます。現実の数学或いは数学者に対する目線を十分受け入れた上で、「それでも数学は奥深い。それでも数学者は純粋だ」と伝わってきます。
どこかで聞いた話、ですが、「素数」あるいは「黄金比」の話については、完全に引き込まれます。科学館などで紹介されていて、それを目にしたこともありますが、正直この本を読んだ方が「美しさ」が伝わってきます。著者が本心から「数学の面白さを伝えたい」という気持ちを持っているから、でしょうね。極めて「数学的」ではないけれども、そんな精神論的な思いさえ浮かびます。
数学はロマン=神秘、無限、永遠=である。現実の社会に「直接に」役立つものではないけれども...そんなことを「真剣に」言ってのける著者である。その熱さ、純粋さが伝わらないわけがない。
そして、まさに数学は「美しい」のである。
π(円周率)って、すごい数字ですよ。これ知ると心から「感動」しますけど、この数字は「世界の全てを内包してる」んです。たとえば、自分の生年月日を[19670406]で表すとして、この順番の8ケタの数字が必ずπの中に出てくるんだって。たとえば源氏物語を一字一句数字変換しても、その数字グループは必ずこの中にあるんだって。すごすぎませんか?それを証明した人もすごいよね。
「すごい」というチープな表現しかできないくらい感動します。数学者が、「実社会では役に立たない」数学にのめり込む気持ちも分かります。かといって、自分がこれから数学に立ち向かう気持ちにはなりませんけどね。でも、数学や数学者に対する見方は、かなり変わります。まったく違う世界の住人で無関係、というイメージが少なからずありましたが、むしろ「人間的」であると、思えるように。
算数から数学に変わる、小学生から中学生。ここで「壁」がひとつ来る。それは「抽象化」が始まることもひとつの原因だと著者は言う。確かに算数の方が「身近」だし、算数を家で教える時は、可能な限り「実生活」に例える。
それが抽象的になっていく。理由ではなく「覚える」ことも大切になっていく。だけど、むしろ、こういう「数学は本当に感動する」という話を、真正面から伝えていった方が、むしろ「数学嫌い」は増えないんじゃないかな。
まさに「数学嫌い」の1人である自分が、もしこのような本にメッセージに「その時」出会っていたら...今言ってもしょうがないことですけれどね。でも、「次の世代」の算数、数学を教える時の、大事なヒントにもなりそうです。
数字が苦手な人でも、まったく問題なく読めます。自分でも最後まで一気に読めたんだから。保証。
【ことば】お父さん、お母さんが算数を楽しみ、おもしろがっていく様子ほど、どんなに教えるのが上手な教師よりも、これに勝るものはありえない...
ポイントです。けしてそういう目的で読み始めたわけではないけれど、その「美しさ」「感動」を伝えることが最も大事なんだなあ、って心から思う。公式だって、それを組み立てようという必要性がどこかにあって、先人たちが努力してできたものである、そう「ストーリー」があるはず。
感動する!数学 (PHP文庫)
>> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<
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