2010/11/17


『社長が変われば会社は変わる』石渡美奈
[14/200!!!]BookOff
AMAZON ★★★☆☆
K-amazon ★★★★☆

同世代の3代目経営者の著者の成功本、というか履歴書的な本。女性であるから、なのか、(ご本人が繰り返し言われているように)「お騒がせ看板娘」だからなのか、かなり現実的な等身大な目線で書かれている。そんなところが読後感のよさにつながっているようだ。「ホッピー」というと、正直自分にとっても「古い」イメージである。そんな明治から続く会社(ホッピー自体は戦後から)社長の一人娘は、腰かけレベルの意識で出た社会から、「3代目」を継ぐ決心をして会社に入ってくる。そこからの悪戦苦闘の日々。多少は苦労話がでてくるが、イメージは著者の「前向きな」姿勢を反映していて、暗さはまったくない。もちろん、書かれている以上に、いや想像以上に苦労はされているはずだ。「社長の娘」であることや、「たたきあげ」でないことなど、おそらくは悪いイメージで見られていた(いる)ことも少なくないだろうと思う。けれども本書に書かれていることを(表面的に)読む限りは、著者ミーナは、それを乗り越えて、ある意味それを利用して、会社を元気にする、お客様を元気にする、そんな姿勢が貫かれている。おそらく本書の上梓前後にあった「異物混入」事件については、あまり多くは触れられていないけれども、ともすれば人生を逆転(暗転)させるような事件についても、前向きに考えている様子は「理想形」に近い。
自分の会社の商品「ホッピー」を愛してすらいなかったスタッフたちを、途中から入ってきた同族経営者が変えていくことは容易ではないだろう。でも、最後(最後、ではないけど)には、「変化する体質」が身に付いた、と著者が感じるほどにまで変わってきている。著者が師事したメメンターの力も大きい。が、其れ以上に著者の「思い」や「夢」の強さ、これが今の状態をもたらしたことは間違いない。
途中に出てきたが(本来の主軸ではないかもしれないが)「ホッピーは何か?」という問いに対する、「プリン体が入っていない健康飲料」「焼酎との相性が抜群」といった答えに対する違和感。結果「夢を追いかけてる時にそばにある飲料」というテーマを見つけ出すに至るのだが、これって本質。もうひとつ。「営業が商品」と言っていた著者が、「(夢の実現に共にある)商品を作る企業」であることに気づく。これも本質。規模は違えど、なにか共通しうる、共感し得る部分がある。
「論理的」な本ではないかもしれない。ある意味「営業ツール」なのかもしれない。けれど著者の「本気」はうそではない。それだけで十分伝わってくるものは、ある。
同世代として、憧れるし、尊敬するし、応援したいし、追いつきたい。


社長が変われば会社は変わる! ホッピー三代目、跡取り娘の体当たり経営改革

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