2010/12/03

「古田」らしさが見られない...

「優柔決断」のすすめ (PHP新書)
発売日: 2009/10/16
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『「優柔決断」のすすめ』古田敦也
[2/209]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

野球がうまいひとはアタマのよさも必要。=アタマがよいアスリートはかっこいい。そんなイメージを世に出した先駆者的な人。現役時代をほぼ全期間しっている自分にとっては、それまでの「一流」プロ野球選手の像を変えた人でもある。また「キャッチャー」というポジションに光を当てたことでもある。従来の「地味」なイメージを覆した...派手さはないかもしれないけれどもある意味「革新的」なパフォーマンスを見せてくれた著者だけに、その著書も相当...と思っていたけれども、内容として特に斬新な切り口はない。それはそれで「当たり前のことをいかに真剣にやれるか」ということがポイントなのかもしれないけれども、タイトルから伺いしれるような「広い視野を以て、柔軟に受け入れるインプット体制と、その場でアウトプットできる意識」というところからの広がりは、ない。もちろん、それが十分できる、継続的に成長できる人はそう多くはないので、著者が成功した証でもあるのだとは思う。
自分の勝手な見方ではあるけれども、選手として、野村監督、若松監督という指揮官の元でプレイしたときの古田選手時代と、かなりの話題を以て登場した「プレイングマネージャー」時代とを比較すると、やはり選手時代の方が魅力的であった。それはそれ「兼任」がいかにハードか、を示したものであるのかもしれないけれども、もしかしたら選手時代にはあまり感じなかったような「制約」が課されていたのかもしれない。与えられた環境の中でできることはすべて出し切る、というスタンスの著者であるからこそ、「監督」としてもう少し長くその姿をみたかった気もする。長い期間でみればおそらくなんらかの「結果」を出してくれただろうと思う。少し残念。
印象に残ったのは、選手時代に師事した二人の監督の「マネジメントの違い」の箇所。それぞれトップダウン型、コミュニケーション型、と違いはあれど、それぞれ「結果」を出された素晴らしいマネージャーであり、時代も環境も彼らを呼んでいたのだろうし、そのマネージャーの元、現場のリーダーとして支えた著者の功績ももちろん大きい。その経験があるだけに、もう一度球界に戻ってきてほしい。そんな一野球ファンとしての思いはある。この本はそこまでのもの。若干「遠目」から見る見方や、無理やりにビジネスに結び付けようとしている箇所もあり、そこが本来のフルタの魅力を減じている要因であるかとも思える。

「優柔決断」のすすめ (PHP新書)

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