2010/12/09

各論はよくわかった。全体像が...

なぜ勉強するのか? [ソフトバンク新書]
なぜ勉強するのか? [ソフトバンク新書]
  • 発売日: 2006/12/16

『なぜ勉強するのか?』鈴木光司
[6/213]Libary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

そう、あの『リング』の著者である。読み始めるまでは「その人」であることに気づかなかったけれど...もうどれくらい前になるか、(映画化の前に)『リング』を読んで、印象的で面白かったイメージが残る(「コワイ」という印象よりも強い)。著者が「子育て」「教育」に造詣が深いことはこれを読むまで知らなかった。
「勉強」について、いまさらながら関心が高い自分としては(実行力が高いかどうかは置いておく)、「なぜ」というテーマは非常に興味深い。自分本位な考え方ですが。この本の内容としては、「こども」が対象になっており直接的には、その「自分本位」のワタクシ向きではないけれども、まさにその対象「こども」を持つ親としてのワタクシには興味深い内容である。要は「手段と目的」論がここでも出てくる、という感じ。勉強する先にあるものは何であるのか。よく持ち出される例として「微分積分」や、「年表のゴロ合わせ」など、実生活で役に立つのかどうか。断片的に公式を覚える、年号を覚える、これは「テクニック」であって目的ではない。全体をグリップするなかで公式、年号は必要になってくる。それがあるかないかで「広がり」が違うんだよね。なんとなくだけどそんな感覚はある。あるんだけれど、その感覚が身に着いたのはやはり大人になってからであって、「現場」時代にはそんなことを考える環境ではなくテクニックを身につけるのでせいいっぱい。「せいいっぱい」だったのか、教えてくれるひとがいなかったのか、それは今さら「解析」するつもりはないけれども。故に、次世代に「意味」を伝えていくことはやはり重要なんだと気づかされる。
なにより「昔はよかった」発言の全面否定は興味深い。これが「こども」たちの厭世感を醸成してしまっている可能性が高い、という説。たしかに「よくはなかった」昔を改善するために社会は変わってきているはずで、昔のいい面と今の悪い(悪く思ってしまう)面を断片的に比べるのは、前記した「年表のゴロ合わせ」と一緒で本質的な意味ではないし、前向きな環境ではないね。確かにそうだ。
そして「競争社会を煽る」ことの意味についてもいいことを言っている。「世の中にでれば競争なんだから」というのも事実かどうか。そう、社会人として生きるためには、著者のいうように「協力社会」であるべきなんだよね。競争ももちろんあるけれども、競争に打ち勝つには「協力」が必要。絶対に必要なんだ。
さすが「モノカキ」のプロ、要所は非常に分かりやすく響くモノはある。けれどもなんとなく全体として「薄い」感じを持ってしまうのはどうしてなんだろう...わかりやすくする「テクニック」として使用している事例があまりに広範囲にわたっていて散漫な感じがするから、かなあ。

なぜ勉強するのか? [ソフトバンク新書]

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