2010/12/17

興味深い話だが、「かゆいところに」手が...


『ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術』並木裕太
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Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

商品開発、マーケティング...これらのヒントにするために実施するアンケート、インタビュー。「調査」と言われているモノにどれくらいの価値が見出せるか、そこに本当の意味での「ヒント」はあるのか?見いだせているのか?つまりはその調査結果が「ホンネ」なのか「建前」なのか、それを見抜くことが必要になってくる。回答から、その前提となった心理を見いだせるのかどうか。そもそも「表面的な」調査をする意味を吟味する必要に迫られる。
勢いが鈍ってきたとき、数字が想定と乖離してきたとき、どうしても「市場調査」に頼りがちだ。そこになんらかの糸口を見つけたくなる。例えば「この年代の女性はこういう傾向にある」。その結果がどう自分の目の前の課題に役立つのか、どう活かすのか。結果を活用することが本質であり、そこには「目」が必要になってくる。その結果に全面的に頼ってしまっては、何も変わらない。
そんな「問題意識」は既に頭にこびりついている。「鵜呑み」するほどに短絡ではないつもりだ。そこでこの本に書かれているような、「建前」と「ホンネ」という考え方には非常に共鳴する部分がある。つまりはヒントにすべきは「ホンネ」であって、その「ホンネ」を引き出せる、或いは「ホンネ」を手繰り寄せることができるような調査でなければならない。ヒット商品がその「ホンネ」からヒントを得てそこから考え抜かれている(単に「考えられてる」ではない)ことの事例がいくつか。それはそれ、「ヒット」を生み出すのは当然に「抜く」ことが大事なんだろう。そんな簡単なことではないからこそ、「ヒット」商品であるわけで。
著者は「心のレントゲン」という表現を使って、その「ホンネ」を見抜くマーケティング手法を活用している。それは本質であることには間違いない。けれども、本の冒頭部分で「心のレントゲン」の使い方を教えます、っていう件であったにも関わらず、書かれている内容は、「レントゲンの結果」のみであって、タイトルにある「技術」についてはまったく触れられていない。つまりそれらが本当に「ホンネ」であるのか、それが疑わしくもなってしまう。というのは書かれていることが「結果」しかないから。
すべて、ではなくとも、「レントゲン」を使うための「技術」にあたるもの、もしくはその「ヒント」があれば、と思う。結局、結果だけの記載では、「技術」ではないわけで、そういう「考え方」を指南してくれているにすぎない。「考え方」は既に持っている自分としては消化不良、なんだな。1000円前後でそんなヒントが得られる、と思ってしまうのが間違いなのかもしれないけれど、さ。

ヒット商品が教えてくれる 人の「ホンネ」をつかむ技術 (講談社プラスアルファ新書)

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