2011/03/29

素晴らしいタイトルですが、論点絞れず...

『大局観』羽生善治②
[24/64]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

1年半ぶりに羽生さんの本を読む。『決断力』は、読む前にけしてポジティブではない先入観があったためか、「プロ」をヒシヒシと感じた。2冊目、はたして...
タイトルはひきつけられる。個別の案件についての評価はすなわち全体視点で見たときにどよ?っていうのは、やっと最近になって意識が向くようになった、というレベルではあるが、非常に大事なポイントだと思う。特に長時間にわたる「対局」での一手一手ももちろん大事だが、「大局」視点も大事なんだろう、その視点を著者はどのように考えているのか...非常に広い範囲で話題は進みます。リスク、ツキ、検索、...あまりに広すぎて途中からタイトルがどこかへ飛んで行ってしまいました。それこそこの本の全体を俯瞰すべきなのかもしれませんが、「大局観」という概念はあまり伝わってこなかった...散漫してしまった印象です。プロの世界、しかも頭脳戦の世界なので、言葉にして表現するものを超えたものがそこには存在しているのだとは認識していますが、そして複雑な世界、知らない人は知らないフィールドをわかりやすく説明してくれているとは思いますが、前著に比べると「包括的」であって、前著ほど「プロ」を感じることができなかった...
ひとつ言えるのは、著者が非常に冷静である、ということ。前著の時代と異なり、今は「七冠」とか、所謂「向かうところ敵なし」状態ではないし、「負ける」ことも、或いは「下の世代の台頭」も目立ってきていると思う。ご自身のことのみならず、将棋界のことも含め、広く考えて、表現していることは伝わってくる...ああ、これが「大局観」なのか。なるほどねー。冷静に「大局」を見られる目、それは著者がそのフィールドの第一人者として突き抜けたから、なのか、人間として熟成されてきたから、なのか。「同世代」として意識せざるを得ないけれども、年齢的なところも含めておそらく「後者」なのだろうと思う。
個人的には残念ですが、新刊で買って読むほどではなかった、という印象ですが、「あの」羽生さんってどういう考えを持っているのか、っていうのを知るには十分な内容です。『決断力』を既に読んで、プロの勝負士でありながら非常にオープンな考え方をお持ちである、ということを知っている自分には、あまり斬新さが見つけられなかった、それだけのこと。

大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)

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