2011/03/27

ビジネス書、というよりドキュメンタリーかな

『MBAでは教えない「創刊男」の仕事術』くらたまなぶ
[22/62]Wondergoo
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

リクルートの伝説の人、らしい。「じゃらん」「フロムエー」等々、我々の世代であれば、必ず知っている、必ず利用していた「情報誌」を作った人。そんな著者の「仕事術」をおしみなく披露てくれている内容。ここに書かれている以上に「時間」も「神経」も使ったのだろうと思われます。おそらくそれらは常識の範囲を超えているんだろうなあ...まさにそのタイミングで、学生から社会人、とタイミングがあっている自分は、著者が「生んだ」メディアの相当数を、その「誕生」の瞬間から知っている。誕生時のインパクトだけではなく、自ら買って読んで使って...という経験者である。それだけにこの本内容は、リアルにアタマに入ってくる。
そうとうな過激な誕生秘話だらけで、「体力」で乗り越えてきた感があるような話だけれども、もちろんそれだけではない。著者のいう話で一番印象に残るのは...すべての誕生について、その最初にあったのはコスト計算でも市場調査でもなく...「夢」であるということ。ここが起点にならないとカタチはできあがらない。すべての「新規」事業は「夢」から始まる、という点。一見、「夢」という言葉が持つイメージと体力系のイメージがかけ離れているが、見事にそれが合致する。夢を持って仕事を進める、というのがけしてキレイごとに聞こえない。
そして、「消費者」になりきる、という手法も素晴らしい。旅行情報誌を作るには自分で旅行者になること。テレビCMを最終チェックするには、大きなモニタではなくて(ふつうの家庭にあるような)サイズのもので確認すること、等々、ここが小さいけれど一番重要な点かと思う。こんな大事なことを書いていないマーケティングの本が大多数であることに気がつく。これはやはり「現場」でないと気付かないことなのだろうけれども、作り手と受け手が距離を持ってしまうことは、この時点で「マーケティング」ではなくなる。
「マーケティング=気持ちを知ること」という定義、その定義自体の素晴らしさ、そしてその定義をけして曲げずに貫いている姿勢、これが「伝説の人」たる所以だと思われる。真似できることは真似していきたい。すでに一つだけ、この本から学んだことをアウトプットに活かしてみた。いい感じです。

MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術

3 件のコメント:

  1. コメントは初めてさせていただきます
    勉強会でお世話になっている、山内です。

    この本、私も読みました!
    以前の発表でお話しさせていただいた、インタビューはこれに影響を受けてしまっています

    アウトプット、どんなことをされたんですか?
    よろしければ、またお会いしたときに教えてください!

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  2. 「市場調査」と「マーケティング」の違い。これの意識です、まず。そして、「マーケティング=気持ちを知る」これの意識。この二つだけでも、視点がガラっと変わりますね。

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  3. >鎌さま
    「マーケティング=気持ちを知る」、私もこの定義、すとんと腹落ちして入ってきました。
    まだまだ手探りですが、実践中です。

    ご返信ありがとうございました。

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