2011/03/10

むしろ「大人」が読むべき本かもしれない

『ピーター流生き方のすすめ』ピーター・フランクル
[9/49]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「岩波ジュニア文庫」ではあるが、ここに書かれている本は、「子供のままオトナになっている」「オトナになりきれない」大人が読んだ方がいい。初めから、「中高生向け」という意識で読み始めなかったけれど、十分に十二分にそれに耐えうる内容。
正直、あまり著者のパフォーマンス(数学者として、或いは大道芸人として)は存じ上げない。名前を知っているくらいなものだけれど、外国(ハンガリー)出身者故の視点で日本人を見ている点が、まさしく本質を言い当てることになっている。まあ、よく言われていることだけれども、
日本人は日本を知っているか?自分の国を好きか、愛を感じているか?
う~ん、自分に照らし合わせても、「合格点」が出せるかどうか。当たり前に「日本人」をやってきた(この先も)日常の中で、当たり前のことをやっぱり忘れている。でも忘れてるのは自分だけではないみたいで、著者は「日本が(アメリカのような)『結果主義』に傾向している」ことを強く懸念している。すなわち、そうではなかったとき(プロセスを大事にする)の「日本のよさ」が消えていることに対しての心配だ。ある意味「外から」日本を見ている人間の感じるところは大きい。シンプルだけど重い。
そして本書を通じて貫かれているのが「人生の主人公は自分」という考え方。自分のあった、そして時代にあった生き方をして、幸せに生きること。他人或いは物や事象に合わせて自分の人生の方向性を変えていっていいんですか?っていうテーマ。「カーナビを絶対に使わない」的な、日常のアクションはともかく、自分ではないところに基準を持って生きる、これの「不幸」は考えてみるべきだろう。自己中心にならない範囲で、やはり自分の人生は自分でコントロールできて、そして振り返ってみたときに幸せを感じる、そんな歩き方をしたい。
むしろ、「迷い」が生じる40代、40歳前後の人が読むべき本かもしれない。読んでみて何も感じなければそれはそれで、その人の生き方が正しいのかもしれないし。中高生には、ちょっと概念的なイメージが先行してしまうかもしれない。

ピーター流生き方のすすめ (岩波ジュニア新書)

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