2011/03/31

...さらっと読むだけなら。難しい本の後にどうぞ

『勝間・藤巻に聞け!「仕事学のすすめ」』勝間和代⑨藤巻幸夫
[25/65]BookOff
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

NHK番組で進行役の著者二人が、その仕事哲学的なものも含めてぶつけ合う、という内容。勝間さんは前に何度も読んでいるし、その読みやすさを熟知、そしてその内容の「表面的」であることも。一方、藤巻さんはそのお名前はもちろん存じ上げていたけれども、著作を読むのは初めて。期待あり。お互いの仕事観、経歴、メッセージを伝えるコーナーと、最後は二人の対談、という極めてセオリー展開だが、その内容も、「極めてセオリー」であった。この本だけでは(初めて読んだ)藤巻さんの仕事観や、どれくらいすごい人なのか、というのは全く伝わってきません。勝間さんは、若干もはや言いつくされているフレームワーク的なものを相変わらず話している...という内容では盛り上がりも感じられず、いつのまにか読み終わってしまった、そんなレベルでした。
非常に残念。お二人がこの日本の若者、日本の女性をもっと「元気に」なるような活動を行っていることは素晴らしいと思うし、自分も年齢的には、そういう立場にならなくてはいけない、というところに差し掛かっている、という意識はある。それだけに、自分たちの世代の代表として著者たちのアクティブティ、パフォーマンスはもっと理解されるべきだと思う。その「認知拡大、ブランド拡大」は大事だと思うので、この本のような啓蒙活動ではなく、もっと違う方法が取られるべきだと思う。この本ではそれに寄与する度合いが少ないですよ、もったいないです。
おそらくは、若い人たち、管理職候補の人たちだけではなく、その上の世代にもメッセージを出している本であるべきで、そして番組であるべきなのだろうと思うけれども、その番組を見ようとはまったく動機づけされなかった。 う~ん、企画の問題なのかな...

勝間・藤巻に聞け!「仕事学のすすめ」~自分ブランドで課題克服(NHK出版生活人新書)

2011/03/29

素晴らしいタイトルですが、論点絞れず...

『大局観』羽生善治②
[24/64]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

1年半ぶりに羽生さんの本を読む。『決断力』は、読む前にけしてポジティブではない先入観があったためか、「プロ」をヒシヒシと感じた。2冊目、はたして...
タイトルはひきつけられる。個別の案件についての評価はすなわち全体視点で見たときにどよ?っていうのは、やっと最近になって意識が向くようになった、というレベルではあるが、非常に大事なポイントだと思う。特に長時間にわたる「対局」での一手一手ももちろん大事だが、「大局」視点も大事なんだろう、その視点を著者はどのように考えているのか...非常に広い範囲で話題は進みます。リスク、ツキ、検索、...あまりに広すぎて途中からタイトルがどこかへ飛んで行ってしまいました。それこそこの本の全体を俯瞰すべきなのかもしれませんが、「大局観」という概念はあまり伝わってこなかった...散漫してしまった印象です。プロの世界、しかも頭脳戦の世界なので、言葉にして表現するものを超えたものがそこには存在しているのだとは認識していますが、そして複雑な世界、知らない人は知らないフィールドをわかりやすく説明してくれているとは思いますが、前著に比べると「包括的」であって、前著ほど「プロ」を感じることができなかった...
ひとつ言えるのは、著者が非常に冷静である、ということ。前著の時代と異なり、今は「七冠」とか、所謂「向かうところ敵なし」状態ではないし、「負ける」ことも、或いは「下の世代の台頭」も目立ってきていると思う。ご自身のことのみならず、将棋界のことも含め、広く考えて、表現していることは伝わってくる...ああ、これが「大局観」なのか。なるほどねー。冷静に「大局」を見られる目、それは著者がそのフィールドの第一人者として突き抜けたから、なのか、人間として熟成されてきたから、なのか。「同世代」として意識せざるを得ないけれども、年齢的なところも含めておそらく「後者」なのだろうと思う。
個人的には残念ですが、新刊で買って読むほどではなかった、という印象ですが、「あの」羽生さんってどういう考えを持っているのか、っていうのを知るには十分な内容です。『決断力』を既に読んで、プロの勝負士でありながら非常にオープンな考え方をお持ちである、ということを知っている自分には、あまり斬新さが見つけられなかった、それだけのこと。

大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)

2011/03/28

今、これから必要とされるモノがそこに

アイディアのレッスン (ちくま文庫)
アイディアのレッスン (ちくま文庫)
  • 発売日: 2010/02/09
『アイデアのレッスン』外山滋比古④
[23/63]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

知識を習得する行動=利子型、に対し、新しいことを創造していく行動=投機型に求められるもの。その行動を取り巻く環境の現状。それらのキーワードとなる「アイディア」を創出するには?というテーマ。これまでの学校教育(大学も含め)は「利子型」であり、環境もこちらの「型」を重視する傾向にあった。これは不要というわけではないが、それを以てどう活かすか、それをベースにして何を生み出していくか、という「投機型」については、これが重要性を増していることは明らかではあるが、環境的にはそれを「低価値」に見る傾向も根強い。すなわち、「カタチ」が見えるかどうか、という価値基準に依存している、ということ。「情報」が入手しやすくなる環境、「量」がこれまでになく蓄積される環境になったことで、「人」の価値はやはり「創出」に向かっていく。
さて、その創出されるべき「アイディア」はどうやったら生み出すことができるのか。著者が繰り返し述べているが、これに正解はない。正解に近づくようなスキームが存在するだけだ。そのスキームも「可能性が高い、んじゃないか」レベルでこれが正しいわけではない。依存する場所がないようなフィールドは、「利子型」には慣れていないんだよね。指摘されればそのとおり、です。
この環境や考え方、この本にあるアドバイスを自分なりに理解すると(こーやって「型」にすること自体が誤りかもしれませんが)、前提条件として知識は入れておく、引き出しのバリエーションを増やしておく(直接的に関連のない分野も含めて)、必要な時に引き出せるように引き出しの鍵は緩めに。「必要な時」は、向こうからやってくるので、その時に「必要な時」であることを認識するような感覚を身につけておく。アイディアを(或いはアイディアになりそうな思いつきを)生み出した、と感じたらそれをカタチにできるような肉付けを行う。これらの一連の流れは期限を区切ることはしない(できない)。
これは「感覚」として捉えておくと「自分の」役に立つかもしれない。きっと、後から振り返ってみたときに「役に立った」と感じることができる、そんな流れなんだと思うけれど。この感覚を、キレイに整理できる著者はやっぱり素晴らしいです。これは「才能」か「創造性」かはわかりませんが、多分に後者の比率が高いような気もしますね。

アイディアのレッスン (ちくま文庫)

2011/03/27

ビジネス書、というよりドキュメンタリーかな

『MBAでは教えない「創刊男」の仕事術』くらたまなぶ
[22/62]Wondergoo
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

リクルートの伝説の人、らしい。「じゃらん」「フロムエー」等々、我々の世代であれば、必ず知っている、必ず利用していた「情報誌」を作った人。そんな著者の「仕事術」をおしみなく披露てくれている内容。ここに書かれている以上に「時間」も「神経」も使ったのだろうと思われます。おそらくそれらは常識の範囲を超えているんだろうなあ...まさにそのタイミングで、学生から社会人、とタイミングがあっている自分は、著者が「生んだ」メディアの相当数を、その「誕生」の瞬間から知っている。誕生時のインパクトだけではなく、自ら買って読んで使って...という経験者である。それだけにこの本内容は、リアルにアタマに入ってくる。
そうとうな過激な誕生秘話だらけで、「体力」で乗り越えてきた感があるような話だけれども、もちろんそれだけではない。著者のいう話で一番印象に残るのは...すべての誕生について、その最初にあったのはコスト計算でも市場調査でもなく...「夢」であるということ。ここが起点にならないとカタチはできあがらない。すべての「新規」事業は「夢」から始まる、という点。一見、「夢」という言葉が持つイメージと体力系のイメージがかけ離れているが、見事にそれが合致する。夢を持って仕事を進める、というのがけしてキレイごとに聞こえない。
そして、「消費者」になりきる、という手法も素晴らしい。旅行情報誌を作るには自分で旅行者になること。テレビCMを最終チェックするには、大きなモニタではなくて(ふつうの家庭にあるような)サイズのもので確認すること、等々、ここが小さいけれど一番重要な点かと思う。こんな大事なことを書いていないマーケティングの本が大多数であることに気がつく。これはやはり「現場」でないと気付かないことなのだろうけれども、作り手と受け手が距離を持ってしまうことは、この時点で「マーケティング」ではなくなる。
「マーケティング=気持ちを知ること」という定義、その定義自体の素晴らしさ、そしてその定義をけして曲げずに貫いている姿勢、これが「伝説の人」たる所以だと思われる。真似できることは真似していきたい。すでに一つだけ、この本から学んだことをアウトプットに活かしてみた。いい感じです。

MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術

2011/03/26

ホンモノですね。強く意識が変わりました。

リストラなしの「年輪経営」
リストラなしの「年輪経営」
  • 発売日: 2009/02/24
『リストラなしの「年輪経営」』塚越寛
[21/61]Library
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★☆


48年連続の増収増益...「伊那食」は有名な会社ではあるが、その詳しい内容までは知らなかったし、その偉業を成し遂げた人がどんなタイプなのか、シンプルに興味はあった。知り合いの通販事業者が「よい」と言っていた本で、いつか読みたいと思っていた。
なんとなくイメージとしては、
「増収増益」といっても「一般的な」大企業とは一味違うだろう
→なんとなく「いいこと」は言っているとしても、でもどっかでガツガツしてるんじゃないかなあ
→でも、「良い会社」とかに選ばれてるんだから、やっぱり違うんじゃ...
...って、自分勝手に混乱しておりました...
どうも著者(会長)は、「増収増益」を以て「どや」と言っているわけではない。いや「48年連続」を誇っています。そして「幸せ、地域貢献」といった、「きれいごと」をさらりと、本音で語る。こんなこと、できませんぜ。経営者として、ましてや増収増益企業の経営者として、嫌味なくこんなこと、言えませんよ、ふつうは。でも、著者の言う(書く)ことは、ほんとーに「哲学」として、「いい会社」、つまり働く人、関係者(仕入先もお客様も)、地域の方、すべてが幸せになることを第一に念頭に置いている、そんな会社。たとえブームが来ようと、それに乗った急激な売り上げを目指すわけではない。目指すのは、去年よりも成長していること、すなわち「年輪」である。年輪は着実に幹を太くする。去年より今年、今年より来年。会社として「年輪経営」を実行する、そこには自分の代だけのこと、今だけのことを考えている姿はない。
これを実行している会社...こんな会社が、というよりはこんな考え方を貫く方が率いる会社があるんだね...「公」機関だって出来ていないことだよ、それを営利企業が実現しているんだよ...なによりも、その信念を曲げず、人を信じて...かっこいいですよねー。もちろん、口に出さないご苦労や、もしかしたら信じたことに対しての裏切り行為を受けたこともあるだろうけれど、やっぱり「信念を貫く、継続する」ことは何よりも強い、美しい。
自分は「経営者」ではないが、ヒトとして、こうありたい。
ちなみに、もっともっと読みたかったんで、そういう意味での「不満」で★x4です。


リストラなしの「年輪経営」

※千葉市中央図書館で借りて読んだ。でもね、トップクラスレベルの経営書だと思うんですが、図書館では(タイトルだけを頼りにしたんでしょうね...)「林業」の区分にありました。ある意味、図書館の方、最高です!

2011/03/24

「偏り」はあるけれど、真実もある

『「自分の世界」をしっかり持ちなさい』渡部昇一
[20/60]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

この本自体は2009年の発行も、「元本」は1977年ということ。それゆえの「時間軸」的なぎくしゃくは多少あるものの、やはり「ほんもの」はスタンダード足りうる、けして古くない、むしろ現代「今」に通じる考え方指南の内容。「自分の価値」というものが、これまでにも増してその意味を高めている中で、まさに「今」読む本なのかもしれない。著者の知識の広さから、あらゆる分野からの事例が紹介されるけれども、根本的なところはタイトルに集約される考え方。すなわち、価値の物差しを「外」に求める(=外に振り回される)のではなくて、自分の心の内側に持つべし、ということだ。
偶然ではあるけれども、最近はその手の本によく「出会う」。自分の人生の主人公は自分であること、外の価値尺度に併せていたら自分を見失う、「生き方」はこうあるべきだ、という論調の本に。価値の物差しを心の内側に置くことができれば、「外」がどうあろうと心の平静を失うこともない。本当の意味での「自己実現」の道を選択しうる、ということであろう。この境地に達するには、もちろんベースが必要となる。それは「知識」であったり、その前提となる「関心」であったり、自分を取り巻く環境であったりするだろう。「手法」として著者は、「師」の存在をあげている。ご自身の経験に照らして、のことではあるが、これを自分の「今」に当てはめるとよくわかる。「師」の存在が大きいことを実感する。そして次は自らが「師」になるべく自己を高めていくことの重要性を強く感じる。
「時代的な違和感」は、著者の「女性観」に見られるが、これは特にこの場では触れる必要はない、いろいろな考え方をする人がいる、っていうレベルにとどめて、そこも「本質」を考えてみれば、人間のそもそも持っている力を、そもそも発揮しうる場所で発揮する、という極めて「当たり前」のことを、正しく実行する、ということだと思う。「変化の時代」であり、いろいろ新しい場面に多く出食わすけれども、変えていくべきところと変えてはいけないところ、この見極めがより重要になっていく、ということであろう。この目を持つのも、「自分の世界を持つ」ことであり、「心の内側に基準をおくこと」なのだ。多少読みにくさは感じるが、本質は正しいし、実行していなかなくてはならないことが多い。「賞味期限付き」の人生の時間、この価値を感じて、考えて、充実したものにしていかねばっ

「自分の世界」をしっかり持ちなさい!―「強い自分」に脱皮するために (East Press Business)

2011/03/22

読みやすいしアタマに入る。けど「小説」の域をでているかは...

『チーム・ダーウィン』熊平美香
[19/59]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「寄せ集め」チームが、当初の「バラバラ」から「チーム」を作り上げるストーリー。リーダー格たる主人公及び、「コーチ」役、「真の」マネージャーが登場し、最後には「形」を作り上げていく...このストーリーを小説という形で表している。小説スタイル故のわかりやすさ、とっつきやすさ、は十分に機能を果たしていると思う。おそらくフツーに言葉にしたら、「一般的な」ハウツー本にすぎなくなって、正直面白くないだろうなあ、何も残らないだろうなあっていう印象はある。逆に、このスタイルをとることによって、「小説だから」ハッピーエンドの結末、残りページから見た展開が読めてしまう、という、「乾いた」印象もある。
要は、全体のチームの意義、進む方向、その中での自分の立位置、もっといえば存在意義、これらを考え直すにはいいテキストだと思う。そこからいかに深堀りするかは、本を離れて自分自身が、その環境の中で解を見出すしかないので、そのきっかけをつかむにはいい内容かとは思う。
もっと大きく出てしまえば、「仕事」だけじゃない。自分に何ができるんだろう、自分は何をするためにここにいるんだろう、っていう「考えること」を考える、そんなきっかけにすべき。
副題にある「学習する組織だけが生き残る」というのが非常に響く。学習、という単語の範囲は自分で決めていいと思うけれども、「変化」「進化」しないとチームは回らない。「変化」「進化」するチームにするためには、リーダーの存在は重要だ。直接に間接に、チームに対して何を植え付けていくのか、辛抱も必要、知識も必要、経験も必要、そして思い切りも必要だと思う。
「チームビルディグ」の本として読むよりは、自己啓発として、の方が、(間接的だけど)いいような気がする。この感覚は、ある程度の「経験」を経た者しか直接的に得られないかもしれないけれども、メンバーに伝えていくこと、これが重要だね。

チーム・ダーウィン 「学習する組織」だけが生き残る

2011/03/21

挫折を乗り越える意味は高い。たとえ若くなくたって。

『挫折力』冨山和彦
[18/58]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

挫折をしらずに生きてきた「優等生」よりも、「挫折」を知り、それを乗り越えた経験を持つ方が「リーダー」たりうる...要約すればそんな内容、つまりはタイトルを見た瞬間に想像可能な範囲内であったりする。また、「若いうちの苦労は買ってでも云々」というのも、むかーしから言われていること。だからこのテーマに特別の新しさはないんだよね。
ただ、著者のいうように、「いざというときに勝負ができない」優等生=挫折知らずがリーダーである場合は悲劇を招く可能性が高まるだろう。そして今あるいはこれからの時勢は、まちがいなくこの「いざというとき」が増えるんだろう。だからこそ「挫折(乗り越え)経験」を持つリーダーが待望される、ということだ。
本書はかなりの範囲で「同じことを繰り返し」説いている内容である。すなわち「とことんやりぬくこと」と「捨てる、見切る」ことの2点である。どうも後半は著者自身が「熱く」なっていてしまっているようで、
タイトルの「挫折」という言葉がほとんどみられなくなって、「捨てる」という点、リーダー論、組織論に集中しており、それはそれで身になる部分もある。挫折力、というフレーズと必ずしも一緒の本でなくともいいけれどね。
本人のご経験(司法試験の不合格や、入社1年目で転職など)を例に出されているが、これが「挫折」なのかどうかは、当人の意識次第。ただ、これをなんらかのエネルギーに転換するかどうかが肝。だからその基の物理的な大きさは無関係で、そこから生み出せるエネルギー量、これがポイントなのだろう。ただ、「挫折」のさなかにいる人間は、(それが将来に生み出すエネルギーが大きいほど)一時的にはつらい状態で、これを「ばねにしたるわい!」という意識はなかなか作り出せないだろうなあ。だから(著者が嫌う)「後付け論」で、「あの時あーゆー挫折があったから」的な話は多いんだろうけども。故に、「見切る、捨てる」ことの大事さ、山火事を、木を伐ることで広げない選択、これが現実的にはポイントになろうかと思う。リーダーは大変やねえ...

挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)

2011/03/20

自分(たち)だけの世界、ならば、そこにいて出てこないで。

父として考える (生活人新書)
父として考える (生活人新書)
  • 発売日: 2010/07/10
『父として考える』東浩紀、宮台真司
[17/57]BookOff
Amazon★★★☆☆
K-amazon ★☆☆☆☆

タイトルに響いて読み始める人も多いと思う(自分がそうであった)けれど、著者自身が前書き部分で言っているように、「父と子」とか、その場面をイメージできるような箇所はありません。陳腐な言い方かもしれませんが、「親子のあたたかさ」とか家族のぬくもり、っていうことは書いてないです、一切ね。まずこれで「だまされた感」満載のまま、読み始めることになり、早い段階で、「こいつら何を言ってるんだ?」になります。そして「誰に読んでもらおうという想定なのか」がまったくわからない対談を読まされ、最後まで「目を通す」ことだけが目標になります。
自ら「言論人」という言い方をされてますが、言論人ならば、一般人にわからないような本を出して、身内の対談を身内に向けて掲載して、一般人からおかねを徴収して、いいんでしょうかね?この手の「言論人」の方々は是非、そちらの世界の中だけで完結していただきたい。一般の本屋さんに並ぶような本を書いては駄目です。迷惑ですね。もし「一般」の目に触れるようであれば、それなりの書き方をしていただければ。何も難しい言葉を羅列して「その世界っぽく」する必要はありません。むしろ、「そんな父親の娘」さんがかわいそうに思えてきちゃいます。
どこかの大学の教授か、なんかの分野の研究者か、それは知りませんが、何のために「学問」「研究」をされているのか、さっぱりわかりません。自分たちの満足のため、ですかね?社会をよくする、という名目だけでもあるんでしょうか?この手の方々の書いた本は、外の人にとっては苦痛以外の何物でもなく、正直読み終わったときの解放感だけですね、この本の感想としては。
まあ、「教授」とか「研究者」とか、ましてや「言論人」ってのが書いた本には近づかない、っていう教訓は得ましたね。タイトルに惑わされない、っていうことも学びました。
そもそも「言論人」って、何?必要なんですかね?

父として考える (生活人新書)

2011/03/18

「読み方」がポイントになりますねー

『40代を後悔しない50のリスト』大塚寿
[16/56]楽天books
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「不惑」なんてとんでもない!ということを日々「実感」しています。さすがに、自分が40代である、という自覚はできていますが、自分が、そして自分を取り巻く環境が、これまでとあきらかに違う、違って見えてくるんですね。この感覚は、当然ですが、30代にはなかったことです。社会的な環境もあります。身体的な感覚もあります。それらは30代後半にも多少なりとも感じていたことですが、それらに加えて、「考え方」が変わった、という感覚があるんですね。これは、まさにこの年代に入ってからの感覚です。
んで、この手の「40」という年齢数字が入っているタイトルには弱いんですね。特にこの本は、書評ブログにも掲載があって、まさに「どまんなか」のタイトルです、自分にとって。冒頭に、「40代は不惑ではない」「20,30代とは環境=求められるもの、周りの見る目、が異なる」「50代になって考えるよりも今できること」等々の、非常に「つきささる」文章から始まります。「これだ!」と思いましたね。しかも、著者が多くの50、60代の「先輩」から聞いた「後悔」を元に書かれた内容であるとのこと。嫌が負うにも夢中になります。
...が、「本編」になると、(これもタイトル通りなんですけど)ひとつあたり数ページの「コラム」が並ぶ。そこにあらわれてくるのは、著者自身の「実績」と、「別に『40代』という限定はいらないよなあ」的な内容が延々と。途中から「惰性」になってしまいがちな感覚にとらわれる。50の「ヒント」も、どれがどう、という「ささる」トピックスがあまりでてきません。どれも近しい内容で、50に細分化する必要は?と思ってしまう...
同じ事象に対しても、「折り返し地点」を境に、その見方、見え方がこれまでとは違うものであることは間違いないし、そこでなされるべきアクティビティも当然異なってくるだろう。経験のしようがない「50代、60代、すなわち40代を経験「済み」の人からのアドバイス」という貴重な体験も必要だし、彼らがもし「後悔」しているのならば、それを糧にすることは重要である。
その「考え方」自体は非常に価値が高い。それを「テクニック」的な「ハウツー」ものにしようとすると無理があるんだろうなあ。「後悔しないために、今、40代をこう考えて過ごそう」というキーワードがもっとも重要で、これ以上でも以下でもない。でも、50代になってから考えたんでは、何も意味がないから、こういう意識付けだけでも十分価値はある。本の内容云々ではないかもね。

40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則

2011/03/17

淡々と...「総集編」はやはり盛り上がりに欠けるね

『「数式思考」の技術』中島孝司②
[15/55]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

あまりタイトルにこだわる必要はありません。「数式」=フレームワーク的な「考え方」のみを意識すれば内容は興味深いものになります。名だたる「成功」企業の、その軌道に乗せるまでの軌跡や、創業者や勃興にかかわった方の考え方、それが並びます。半分くらいは松下幸之助さん、ですけれど。
現在から振り返る形で「成功譚」を語ればこうなるだろうなあ、っていう感じもする。コラム的に書かれている以外のこと、そこまで語れるようになった「前」の土台作りが、それこそ「血と汗と涙」なんだろうなあ、って思うし、その渦中にいる方々においては、それこそ「数式」なんていう意識はまったくなかっただろうと思う。故、曲がった性格から見れば「後付け」にすぎないんだけど...でも、やっぱり「名前を知っている方」は、本質的な考え方をする、というのがよくわかる。一見、「他人と違う視点で、他人と違うことを」したことによって成功しているような印象もあるけれども、実は「他人と違う視点で、当たり前のことを」したことによるんだよね。そこに「長期的」「本質的」「公共的」という考え方がしっかり曲がることなくベースになっている、そんな(それこそ「あたりまえな」)ことを考えさせられた。
この本自体が、どこか(日経ウェブ?)で連載されたものの総集編なので、全体に抑揚がなく、コラム集を超えることがないけれども、「偉人」の話は、けして古くならない。スタンダードなんだよね。「伝説」にはならなくても、けして色あせない。まじめに前向きに取り組めば、なんらか形になるのかも。そんな勇気に似た気持ちも起こる。
「数式思考」は身に付かなかったけれど、いい話を聞いた、そんな気持ちです。

「数式思考」の技術──「知的生産力」を10倍アップさせるフレームワーク (講談社プラスアルファ新書)

2011/03/16

「運」は大事、でも「土台」は必要だろうなあ

『ダメなときほど運はたまる』萩本欽一
[14/54]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

欽ちゃんである。「視聴率100%男」-見てたなあ、欽ドン、欽どこ、欽曜日...今の感覚からいえば、「前時代的な」笑い、ということになるんだろう。あまり素性、というかテレビ以外の「素顔」って知らないし、そう、その時代は知る必要も、知ろうという感覚すら起きなかったんだよね。この本を読んで、自分のことはもちろん、奥さんや息子さん、「一般人」的なことが書かれていて、なんとなく違和感を感じたのはそこなんだね。でも、少しだけ近づいたような親近感、これまでテレビの彼との間で感じていた親近感とは別物だけど、それを感じることができたかもだ。
この本は、「運」と「言葉」について一貫して書かれている。「運」をためる、つかむ、使う。そのツールとしての「言葉」の大切さ。タイトルにあるように「ダメなときほど運はたまる」と考えれば、「次」のための助走であるという意識で乗り切れる。ただ、そこでヨコシマな考えを持つとその瞬間に(使わないうちに)運は逃げる。単に「たまる」だけじゃない、ってところが深みなんだよね。欽ちゃんのこれまでの活動を見てればわかるけど、「運」をためて使ってはいるけれど、その裏には「逃がさない」ような行動だったり、もっといえば運をつかむための行動を意識をもってしている、たとえば人にやさしくするとか、そういう「人間として」当たり前のことだ。この土台すらできていなくて(やろうとしないで)「運」はつかめるものではない。
本筋とは違うだろうけど、「石の上にも3年+運の活用2年」の計5年を一区切りとして行動する著者の意識は高い。「55号」もそう、「ゴールデンゴールズ」もそう。潔い、というかかっこいいです。ここにも「期間をきって」ということが読みとれますが、すべて行動で示している分、コンサル系ビジネス書とは厚みが何倍も違う。
...この本を買ってから読み始めるまでの間に、著者の相棒でありライバルでもあった坂上二郎さんが逝去されました。そして監督を務めた球団の本拠地がある茨城県も震災の被害にあって...「運」とは何ぞや、って気もするけれど、こんな時こそ「基本」の行動をすべきなんだと思う。運が「あそこにいきたい」と思ってくれるような人物になりたい。なろう。

ダメなときほど運はたまる ~だれでも「運のいい人」になれる50のヒント~ (廣済堂新書)

2011/03/15

一瞬で消えてしまう...

『シンプルに生きる』ドミニック・ローホー
[13/53]BookOff
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★☆☆☆☆

新聞広告、出てましたねー。タイトルも興味深いし、期待値は高まってました。が、得てしてこの類は、「狙った」ものが多い、「薄い」ものが多いのも事実。『チーズはどこへ~』の流れで、この手の「薄本」は結構あるけれど、当たり外れが大きい(という個人的な印象)。
読み始める段階で、目次の段階で、「女性向け」であることが判明。化粧の仕方等々は個人的にはまったく不要...が、何か他に得るものはあるはずだ...という意気込みは、読み進めるにつれ見事に消え去っていきましたね。
タイトル通り、ですが、「シンプルに生きる」には、「モノを捨てる」「余計な人間関係は整理する」等々テクニック的な(テクニックにもならない)ことが続きます。「自分の人生の主人公になるべし」というテーマは、つい最近読んだ他の本(ピーターフランクル著)にもあったように、かなりの熱さで同意できるんだけど、「主人公になる」ことがどういうことなのか、そうなればどんなにいいことがあるのか、そんな「深み」がこの本にはなくて、単に「シンプルに~」という表面的な文章に終始します。
敢えてこの本を読む必要もない、と言えるくらい...普段まったく本を読まない人にとっては、とっつきやすい内容なのかもしれませんが、少なくとも世界各国でのベストセラー、というセールスコピーは自分としては消化しきれないなあ。
もしかしたら、読んだことすら忘れてしまって、もう一回買ってしまうかもしれない、そんな危険もあります。新聞広告には要注意、ですね...

シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう

2011/03/14

権藤さんですか?「あの」権藤さん?

教えない教え (集英社新書)
教えない教え (集英社新書)
  • 発売日: 2010/11/17
『教えない教え』権藤博
[12/52]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆


当時ベイスターズのファンでした。田代、松原時代から「アンチ巨人」として大洋、横浜を選んだ私としては、前年大矢監督の元、2位に躍進した翌シーズン、権藤新監督にめちゃ期待をして...結果としては、絶頂期を迎えた大魔神佐々木、巨人からFA移籍の駒田、そして「無名」ながらも力を持った選手たちの躍動により、悲願の優勝を遂げるわけで...クールな、見ようによっては「放任」的な権藤「さん」(本人が「監督」と呼ばせなかったのは有名な話)は、そのタクトで頂点を極めることに。日本シリーズの初戦、一番石井拓朗のセーフティバント、これは「逸話」ですよね...
そんな記憶も古くない自分にとって、権藤さんの著書が出るのは、非常にうれしい。きっと、その「マネジメント」について、ユニークな、他にはないような話が読めるのでは...と期待は膨らむ一方でした。
「個性を引き出す」「Don't Over Teach(=「コーチング」の基本ですね)」出だしは、「それ」をますます膨らませてくれるようなキーワードも出てきます....が、途中から(しかも早い段階から)途端に話がつまらなくなり...終盤に至っては、「ホントに権藤さんが書いているのかしら」と思ってしまうほど、話が「ふつーのビジネス本」になってしまいます。ひとたびそう思ってしまうと、もうダメですね。「あの」権藤さんが、こんな(ありきたりのことを)言うはずがない、とか、どんどんモチベーションはさがってしまいます。「ビジネス書」として読むのは間違っていると思うのですが、それにしたら、「プロ野球の優勝監督、その人がそこにいた現場」という温度がほぼ感じられなくなって...
結構「好きな部類」の方で、尊敬する人物だと思っていますが、ちょっとこの本の内容はいただけない...というのが正直な感想です。野球関係者は、松井秀喜選手、清原さん、いずれも「臨場感」を感じられてそれなりに面白かったし、人にも勧めたのだけれど、これは「おすすめ」はできない...

教えない教え (集英社新書)

2011/03/13

勢い、は感じるけれども...

『欲しがらない生き方』岬龍一郎
[11/51]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★☆☆☆

お金持ちより時間持ち、モノ持ちよりココロ持ち。理想と憧れをもつ生き方だねえ。本書はまさに「お金持ち、モノ持ち」を目指して、それ以外には目もくれなかった著者が、神の啓示か、40歳に患った病気、入院を機に、それ以降どんなふうに考えるようになったか...という話ですね。出だしは、多少読者層が50代以降であることを前提に書かれているような気がしたものの、ソロー『森の生活』の引用や、本当の人生の楽しさ、という「大枠のテーマ」には、十部共感できるし、自分の理想形のひとつの型でもあるわけで。年齢ギャップといえども、そうそう「先」の話でもなかったりして、「これは面白い」。と思っていたが...その後は東洋、西洋の哲学の話が続き、盛り上がりに欠けるような内容でした。
儒教的な思想、そして道教的な思想、ひとつの事象、ひとつの真実ではあるけれども、違う視点から両面から見ることの着眼点、良寛和尚はじめ、「天真」の生き方、「人間の原型」そのものの現れ方等、(簡単な)哲学論はでてくるけれども、されに心酔されているわりには、現実社会で著者が実行されていることの説明はあまり深くない。勉強会や講演活動等、以前の「金もうけ主義」的な仕事の仕方とは異なるんだろうけれども、それらを始めたいきさつ、その時の考え方、等々の話の部分が「薄い」ので、「引退後の出来事」を語っているような気すら感じてしまう...
ひとつ、モノをいくらもっていようと、それがすなわち「幸せ」ではない。これは実感として、強く思う。だから「モノ持ちよりは云々」という主張になるが、これはある一定の「金持ち」「モノ持ち」であることが前提だと思う。一定レベルを超えたモノは不要、それが著者のいう「バランス」であるのだろう。古典に学ぶ、という姿勢は多くの人に見られるけれども、「何を学ぶ」かというのも大事だね。「考え方」のヒントを得て、自分の環境にアレンジする。アレンジするということは「本質」が理解できていないと、ということなのだ。だから(古典を学ぶことは)大事だが、そればかりではない。
ということで、序盤の期待値が後半に向かい、失速する、という「後味」があまりよろしくない展開でございました。

欲しがらない生き方 -高等遊民のすすめ- (角川oneテーマ21 B 121)

2011/03/11

知識が増えた実感を得られます。

歴史の中の『新約聖書』 (ちくま新書)
歴史の中の『新約聖書』 (ちくま新書)
  • 発売日: 2010/09/08
『歴史の中の新約聖書』加藤隆
[10/50]bk1
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★★

このところ「宗教」関係を集中的に読んでいます。特に深い理由はないのですが、人生の折り返し地点を実感する日常の中で泳いでいると、「前」よりは「後」が気になり始めます。時間の価値が上がってくるんですね。そんな中、迷いも生じる。「不惑」なんてとんでもない。この時期は、より「惑う」ようになりますね。それで何かにすがるつもりで...ではなくて、自分以外の人(たち)の「考え方」を知りたい、そんな欲がでてきた、それが理由のひとつ。そして、所謂「ビジネス書」のテクニック的なハウツーに、少々飽きてきた、というのがもうひとつの理由。何かに帰依する、ではなくて、知識としての、その世界を知りたい、そんな気持ちからです。
なんだけど、直接的に宗教を知る、っていうのは、かなりハードルが高い。難しい。「入門書」であっても、その前に知っておくべきことがある、というのがよくわかった。が、そもそも「専門家」と呼ばれるような人でもやはり「難しい」のは変わらないようだ。特にこの本は「聖書」に関してであり、紀元後1世紀のものを理解するのは到底困難、というか「正解」がない分野なのだろう。ひとつの「解」を求め続ける科学と異なり、「解釈」の世界である。そしてそれには必ず「別の視点」があるから、フラットな立場で「解釈」することは、相当困難な道であろうと想像がつく。
自分は、キリスト教については、まったく知識がない。カトリックとプロテスタント、というのも「単語」を知っているだけである。まして「聖書」なぞ目にしたこともないし、その気もない。けれども、やはり歴史的に圧倒的な人が「見ている」(読んでいる、ではない)書物、これに関する最低限の知識を身につけることは、プラスになるはずだ。その内容をどう解釈するか、ではなくて、「最低限の知識」である。信者ではないから内容を理解する、ということは必須ではないと考える。
著者は「聖書」の専門家である。聖書はキリスト教信者にとって威厳、象徴であるが、おそらく「読んで」いる人はそう多くはないだろう、と著者はいう。そんなもんなんだね。この本では、キリスト教の創世時期の話、誕生から、ユダヤ教からの分離、キリスト教内でのいろいろな考え方...かなり難しいです。でも、事前知識がほとんど皆無である自分にも読める。理解できる。これ、すごいことだと思う。「専門家でも理解しきれていない」課題について、素人が理解できる(或いは、できたような気がする)レベルで、しかも文字、本で説明をする。これって著者の力、ですね。尊敬に値します。「難しいことを簡単に言う」これが出来る人が、本当の「できる人」なんだなあ、って改めて思う。
もちろん、これですべてが理解できたわけでもないし、ほんの「さわり」(にもならないかもしれない)レベル。 でもね、読み始める直前まで何も知らなかった自分が、読んだ後には、少しだけでも知識を持っている。この事実に感動します。それが実感できる本です。読書はこういう「感動」を味わえるのが素敵な世界ですね。自分だけの小さな「感動」だけれども、昨日とは違う自分になっている、そんな自覚を持てるのは、結構幸せです。

歴史の中の『新約聖書』 (ちくま新書)

2011/03/10

むしろ「大人」が読むべき本かもしれない

『ピーター流生き方のすすめ』ピーター・フランクル
[9/49]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「岩波ジュニア文庫」ではあるが、ここに書かれている本は、「子供のままオトナになっている」「オトナになりきれない」大人が読んだ方がいい。初めから、「中高生向け」という意識で読み始めなかったけれど、十分に十二分にそれに耐えうる内容。
正直、あまり著者のパフォーマンス(数学者として、或いは大道芸人として)は存じ上げない。名前を知っているくらいなものだけれど、外国(ハンガリー)出身者故の視点で日本人を見ている点が、まさしく本質を言い当てることになっている。まあ、よく言われていることだけれども、
日本人は日本を知っているか?自分の国を好きか、愛を感じているか?
う~ん、自分に照らし合わせても、「合格点」が出せるかどうか。当たり前に「日本人」をやってきた(この先も)日常の中で、当たり前のことをやっぱり忘れている。でも忘れてるのは自分だけではないみたいで、著者は「日本が(アメリカのような)『結果主義』に傾向している」ことを強く懸念している。すなわち、そうではなかったとき(プロセスを大事にする)の「日本のよさ」が消えていることに対しての心配だ。ある意味「外から」日本を見ている人間の感じるところは大きい。シンプルだけど重い。
そして本書を通じて貫かれているのが「人生の主人公は自分」という考え方。自分のあった、そして時代にあった生き方をして、幸せに生きること。他人或いは物や事象に合わせて自分の人生の方向性を変えていっていいんですか?っていうテーマ。「カーナビを絶対に使わない」的な、日常のアクションはともかく、自分ではないところに基準を持って生きる、これの「不幸」は考えてみるべきだろう。自己中心にならない範囲で、やはり自分の人生は自分でコントロールできて、そして振り返ってみたときに幸せを感じる、そんな歩き方をしたい。
むしろ、「迷い」が生じる40代、40歳前後の人が読むべき本かもしれない。読んでみて何も感じなければそれはそれで、その人の生き方が正しいのかもしれないし。中高生には、ちょっと概念的なイメージが先行してしまうかもしれない。

ピーター流生き方のすすめ (岩波ジュニア新書)

2011/03/09

読後にすがすがしい。直接的な参考には...

天才たちの流儀
天才たちの流儀
  • 発売日: 2009/07/24
『天才たちの流儀』テリー伊藤②
[8/48]Library
Amazon ★☆☆☆☆
K-amazon ★★★☆☆

天才と凡人の違いは何か。凡人は突き抜けることが不可能なのか...「天才」たちと交流のある著者が、そのヒントを開示してくれる本です。芸能界はもちろん、アスリートも含めて、「突き抜けた」人たちに、そこに存在する「何か」を、22人の事例をもって紹介。
もちろん、冒頭にあるような、そして本書の中で繰り返し主張されていたような、
「そこからヒントをつかんでマネすれば、『その他大勢』の中から抜け出せる」
的な、そこまで深いものはありません(そんなんがあったら「天才」だらけになる。そうなったら天才が天才でなくなるし)。が、その世界で「一流」といわれている、この本に挙げられている方々が、何故に「一流」なのか、わかる気がするし、取り入れらえるものは取り入れられたらいいなあ、って感じます。言葉では触れられていなかったけれど、ここに登場している22人は、「スポット」ではなくて、一定のステージを「継続」されている方々です。まさしくそれが一流たる所以なのだろうと、そう思った。そしてここに書かれている「天才である理由」は、(もちろん)簡単にマネできるものではなく、そこも(それこそ)「継続」して気づいた土台があるからこそ、なのだろうと思う。アスリートだけではなく、アナウンサーも、ピアニストも、芸人も。それを感じさせないから「突き抜けている」んだろう。
なにより、著者の(元々「毒」を持っている人ではあるが)暖かい視点が気持ちいい。事例ひとりめの原辰徳さんのコラムに(はからずも)あったように、「他人を否定しない」視点がいいですね。参考になるかならないかは別として(少なくとも直接的には参考にはできない)、読んだ後の気分はいいです。ヒントを得るには遠い存在ではありますが、素直に応援したくなる人たちが集まっていますね。

天才たちの流儀

2011/03/08

堅い...けど「なんとなく」良い本です。

何のために働くのか
何のために働くのか
  • 発売日: 2007/03
『何のために働くのか』北尾吉孝
[7/47]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「ライブドアvsフジテレビ」の舞台に登場したホワイトナイト北尾さん。もう5年以上前のことになるんですねえ...前々から気になっていた本ですが、図書館の棚で出会って読み始める。本文は、タイトルの通りです。ご自身の「生き方」を説きつつ、大きなテーマについて語っています。父親の影響を受け、中国の古典に造詣が深い著者は、そのバックボーンを惜しみなく本書に紹介しています。勉強してるなあって感じ。トップに立つ人がこれだけ勉強するんだから、ましてや「したっぱ」の自分たちは...という印象を持ちます(これだけの人だからトップに立てる、のかもしれないけれど)。
「公」のため、世のため人のためにどれだけ仕事に打ち込めるか、私利私欲を優先せずに、どれだけ意識を高められるのか、それを終始一貫して説いている、最初から最後までそれだけ、といってもいいかもしれません。途中に、著者の「若者論」が出てくるけれども、そこは飛ばしてもよいかも。その部分だけは、ちょっと偏っている感じがしますんで。
「世のため人のため」というのはキレイゴトに聞こえるかもしれないけれども、「何か」を悟った著者はまさに実行をしているのだろうと思う。こういう上司に仕える社員はいいだろうなあって思うね。とはいえ、慈善事業ではないので、「今日の売上」というのも一方ではあるはず。著者の会社の実情はしりませんが、現場レベルはそのバランスの上に成り立っているんだろうなあって気がします。ただ、自分の仕事でSBIさん関係の人と話したことはあるのですが、あまり「私利私欲」を感じさせず、「公」の空気を醸し出していましたね、そういえば(それは一流の営業マンである証かもしれませんが)。
中国の古典を勉強することはもちろん大事だとは思いますが、この本を読んで著者のその部分をマネしてもあまり意味がありません。「生きる」「働く」そのホントの意味を考えるきっかけにすればいいのだと思う。与えられた生をいかに生きるか。著者のいう「天に従って」というのもひとつ。それも自分流に考えればいいこと。ポイントは「いかに生きるか」ということに尽きるのでは。「残り時間」を考える年代になってくると、それが重みを増すんだよねー、実感。

何のために働くのか

2011/03/07

家族って...「現実」から近いような遠いような世界観堪能

卵の緒 (新潮文庫)
卵の緒 (新潮文庫)
  • 発売日: 2007/06
『卵の緒』瀬尾まいこ②
[6/46]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

自分は「捨て子」だと思っている小学生が主役。母親との対話の中で、本当の「つながり」って何であるのか、何であるべきなのか、ってのを探していきます。冒頭から「捨て子」なる、けして軽くない単語が出てきますが、著者独自の「洗練された」会話が続く中では、一般的にその言葉からイメージするような「暗い」ものは一切ありません。そこが現実離れ、と捉えるか、受け入れるか、で「読後の感想」は決まってしまうと思われますが、自分にとっては、この距離感、すなわち「非現実的でありながら、現実の世界と少しだけ接点があるようなないような」という感じが心地よいんですね。必ずしも自分の環境に当てはめる必要はない。けれども気づいたら重ね合わせているパートもあって...引き込まれてしまいます。「世界観」とまでは言えないけれども、独自の「何か」を持っている作家さんのような気がします。この「心地よい距離感」は男性だから、なのかもしれないけれど...あまりに「ドラマ」的な会話、ただ主人公の「心の動き」はまさしく「現実的」であったりする。世間的に「一般的ではない」環境の「家族」であるのだが(そうでなければ小説の題材にはなるまい)、本質的な「家族」を考える上では、その「一般的ではない」ことが何ら支障にはならない。やっぱり「家族」っていいよね、って、教訓めいたものではなく、優しい気持ちになって、ココロカラそう思える読後感が待っている、そんなイメージです。
表題作よりも併記されたものの方が長いのですが、同じ「テーマ」であるので、そこに違和感はありません。登場人物と設定された「環境」が異なるだけで、向かっているところは一緒です。こんな「関係」になりたいとは思うけど、こんな関係に(無理やり)しようとは思わない。肯定も否定もなく、素直に「楽しめる」内容で、著者の別作品も、やっぱり読んでみたい。「あたたかい」気持ちになれるのは、とてもいいことだと思う。

卵の緒 (新潮文庫)

2011/03/05

「一粒で二度...」なのか、1+1<...なのか...

『スティーブ・ジョブズ 失敗を成功に変える底力』竹内一正
[5/45]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

世界でもっとも有名な人のひとりにあげられるアップルCEOのジョブズについて、実をいうとほとんど知らない。顔もわからない。けして避けているわけではなく、iphoneやiPad、想定を超えるCMなど、常人の枠を超えた発想の商品を常に世に送り出す企業のCEOとして、尊敬の念は持っているけれども、正直、関心興味があんまりわかないんだよなあ、なぜだかわからんが。
とりあえず「入門書」として読んでみたのだが、本書はジョブズその人を書いた本ではないし、アップルの本でもない。「あの」ジョブズでさえこんな失敗をしてきているのだから、もっと頑張っていこー!っていうビジネス書です。だからジョブズの経歴や業績というよりも(多少それらも頭に入ります)、彼がどのようなアクティビティをなしてきて、その結果どのようになったか、そして我々はそこから何を学んでいこうか...という「名を借りた」ハウツー本ですね。なのでジョブズの「偉大さ」はここからは得られませんでした。それは別の本で仕入れるしかなさそうですね。
ジョブズの失敗事例を元に、著者が「そこから何を学ぶか」ということを解説してくれる、というセットで進んでいくのですが、どちらかといえば、「事例」そのものが興味深く、その「事例を基にした教訓」は、ちょっとずれているような(個人的な感覚です)ものがあったり、「それはこの失敗事例とは関係ないんでないか」的なものがあったりするので、むしろ「解説」箇所はサラッと読むほうが、全体の流れを考えるとよいかと。そこから何を学ぶか、得るか、というのは読者個々人の考えに寄ったほうがいいのかもなあって思ったり。
ちょっと薄め(ページ数も内容も)の感があり、さらっと読めますが残ったものがあまり多くないねー。まあ「入門」なので。

スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力 (PHPビジネス新書)

2011/03/04

うわっ...きびしいな...

『はじめての宗教論 右巻』佐藤優
[4/44]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

うまく表現できないけれど、「考え方」のベースとして「宗教」の基本的なところを知りたい欲求が最近ありまして。この本は話題にもなってるし、「はじめての」という点で「入門書」的なイメージだったので、全く事前に知識がなくても、なんとかいけるかも的な考えをもって。
出だしの「見える世界と見えない世界」という件から多少の「壁」を感じつつ、「見えないもの」の捉え方、考え方、価値の置き方、にわかったような気も(なんとなく)した。が...やはり「事前学習無し」は甘かったですね...キリスト教のなんとか派とか、そのあたりで、神学と聖書学で、もはや息切れ。いったい何を言っているのかわからなくなり、そのうちに、いったい何を言いたいのかわからなくなり、少なくとも「今の自分」レベルは対象ではないんだろうなあ、という終着を迎えた。
「実用書である」と著者がいうこの本は、自分には「実用」できる範囲は極めて少なく、最低限のなかの最低限の知識は備えてから取り組まないと、やはりつらい。それがわかったことを「成果」とするべきか。そうしないと何も残らない結果となってしまうからなあ。まずは図書館で中学生向け、くらいのものを借りてみるか。
でもね、何かの宗教に頼るつもりはないんだけど、そういう考え方をする人がいる、ということを「理解」することは大事なんだろうなあ、というのは変わらないし、無宗教という宗教にある意味傾いている自分がいるわけで、人生の残り時間が「見えて」くるとなんとなくそういう世界に目が向くことも事実。やっぱりこの分野は「基礎」から考えてみる、つもりです。なんとなくこれまで避けてきた話題でもあるんだよね。でも避けてばかりではもったいないし、避けるなら避ける理由づけ、みたいなものも自分の中に持っていたいんだ。

はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲 (生活人新書) (生活人新書 308)

2011/03/03

あたたかい、ですよ。いいですねー。

佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)
佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)
  • 発売日: 2004/01
『佐賀のがばいばあちゃん』島田洋七
[3/43]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

話題になりましたよねー。多少「お笑いの人の書く本だから...」と敬遠していましたが、さにあらず。読んでみれば、著者がだれであろうと関係なくなります。著者の幼少時代、広島から佐賀に移り住んで、そこでばあちゃんと暮らすことになる。その辺りの経緯は別として、当時、その時の衝撃は相当なものだったと思います。それゆえに親を思う気持ちが強くなっているような...そこのばあちゃんがまさに「がばい」人です。時代背景も含め、「貧乏」であったその環境で、力強く、たくましく、そして前向きに生きているのが伝わってきます。本書の内容とは別のところ、そして一緒に暮らしていた孫にも直接は言わなかったかもしれない苦労は、相当もものだったんだろうと思う。それでも、貧乏と向き合って生きている。物質的なものではなくて、そこには「あたたかい」ものを感じます。モノを大切にする気持ち、人を大切にする気持ち。何よりも大事なことを教えてくれるような気がします。
少年期の多感な時を、そんな環境、けして恵まれているとはいえない環境の中で過ごして、少年は何かをつかんだはずですね。テレビ出見る著者の本当のところはもちろん知りませんが、ばあちゃんからは必ず「大事なもの」をもらっているはず。
さて自分はどうなのか。この本に書かれている環境と比べれば、時代も違うし、圧倒的に恵まれた環境で育ってきた。その中で大事なものを自分で見つけられているのかどうか。「もらった」ものは必ずあるはず。大切な心、それを与えてもらった親への感謝の気持ち。時に忘れてしまうこともあるけれども、必ずそこに帰るようなあたたかいもの。本書を読んでいてそんな気持ちにさせてもらいました。
「お笑い芸人」が書いた本、脚色された、事実か物語か...等々いろんな見方があるかとは思うけれども、純粋にこの本の世界に浸ればいい。そんな余計なことは本筋ではないですね。笑って涙して。あたたかさを感じて。それだけのものがこの本の中にはあります。

佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)

2011/03/02

ある種「きもちのいい」本です

40歳からの知的生産術 (ちくま新書)
40歳からの知的生産術 (ちくま新書)
  • 発売日: 2011/01/07
『40歳からの知的生産術』谷岡一郎
[2/42]bk1

Amazon ★★☆☆☆
K-amazon ★★★☆☆

「40歳から」「知的生産」、気になる二つのキーワードにつられた...所謂「時間管理法」の本については、過去に何冊か読んで得たものはほとんどない状態なので、あまり手がでないのだが、この本はタイトルにやられて...内容としては、他とそう変わらない。ただ「書き方」でこんなに印象が違うんだなあ、って思うほど、著者の文書は面白い。どこかの大学の学長先生、ということだが、「強い」口調であって「言い切り」「断定」的ではあるんだけど、それが苦にならず、意外なほど素直に受け入れられた。情報の洪水の中で、「どれをしないか」がより重要である。氾濫する「ゴミ」を見分けるテクニックを身につける、そのためには「土台」の知識は当然に必要...等々、ごく「一般的」ではあるんだけど、説得力がある、というのか、イヤミのない先輩がまた何か言ってるよ、くらいの感覚で読める。逆にいえばそういうちょっと距離感を持って(何かテクニックを得ようと考えないで)読むくらいのスタンスがよいかと思います。
ファイルの方法とか、そのあたりの「生産術」は、気にいったらやってみればよい、レベルです。本書に引用されていた『知的生産の技術』とはまったく異次元な内容なので、比較対象にはなりません。どちらも受け入れられる、そんな姿勢でよいと思いますね。 なにか「知的」なことを始めてみようか...その「きっかけ」くらいにはなると思われます。
 「40歳すぎてこんな本を読んでいるようではあなたは...」というレビューも見られましたが、これを持って何か「生産術」を得よう、とか、目からうろこが...というレベルでなければ、読み物として時間を割くのは無駄ではないと思いますよ。なにかにすがりたい「年頃」ですので...どうも最近「知的生産」という言葉に弱い。そういう「術」を未だ持っていない証拠でもあるのかなあ。

40歳からの知的生産術 (ちくま新書)

2011/03/01

異次元の世界、世界観...ハードルが高いわあ

蹴りたい背中
蹴りたい背中
  • 発売日: 2003/08/26
『蹴りたい背中』綿矢りさ
[1/41]Wondergoo
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

芥川賞。史上最年少。19歳だって!多少の困難は予想されていたが、読んでみないことには何を言う資格もないし。...クラスで孤立する二人が、共通の話題で距離を縮めていく過程、10代女性の微妙な心理、「変わっている」と思われているティーンエイジャーの、おそらく自分でも気付かないような気持ちの揺れ、を描いた(と思われる)。40をとうに過ぎた自分には、当然ながら感情移入はできないけれども、なんとなくこの「世界観」は嫌いではない。主人公が「仲間」を嫌い、自分から「孤立」を選んでいるところも個人的に分からないでもない。同じ年代を主人公にした本を最近読んだけれども(『幸福な食卓』瀬尾まいこ)、まったく異なる世界観。どちらも拒むものではない(完全に消化しきれないところがあるのはいたしかたあるまいね)。数多ある書評を見るに、「芥川賞にして云々」とか見受けられますが、それは選考した方も話であって、「賞狙い」で書かれたものではないと思う。むしろ選考した人たちがこのテイストをわかる、というのがすごいと思う。「最年少で芥川賞、だからすごいんだろう」という先入観は、読む前に視界がせまくなっているよね。
同年代の「本を読む」人たちからはもっと違った共感が得られるんだろうなあ、っていう(勝手な)感想です。小説を読む「コツ」みたいなものを自分はまだつかめていない。なので、単純に「読後感」がいいかどうか、世界に入れるかどうか、それだけを基準にしています。なので極めて「個人的な」感想になりますが、何かを求めるわけでなければ、「楽しめる」本ではないかと思う。「今の若い人ってこういうのなんだねー」って、すこし距離を持って受け入れるのも「あり」でしょう。「蹴りたい」というのがどういう感情なのか、その深層心理は...とか考えてはいけないのだね、多分。

蹴りたい背中

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