2010/08/30
「メッセージ」があります。
『若き友人たちへ』筑紫哲也
[24/146]BookStore
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2008年亡くなった筑紫さん。「若き」ではない自分の世代は、彼のついては「テレビ」が最も印象強く、「朝日ジャーナル」は「経歴」で知っているにすぎない。けれど、なんとなく「同じ学部の先輩」として、憧れていたところも多い(多分両親はもっと憧れていたのだろう。進路の相談の際に著者の名前が出てきたような記憶がある)。テレビでは、たとえば「ニュースステーション」と比べると、「大人」「大人しい」という印象があり、かの番組ほど、センセーショナルでもエンターテイメントでもない。「ジャーナリスト」時代を知らない世代としてはやや物足りない印象が残っているのも事実である。
著者の「最終原稿」(2話分で絶筆)と、社会人講座で持っていた講義録を元に構成した本。そんな、「できた」経緯はどうでもよくなってくるほど、「熱い」し、「正面」だし、筑紫さんの「ジャーナリスト魂」を今更ながらに知ることになる。「今」の日本が抱えている問題とか、小泉政権がもたらした課題、それを著者の考えを持って「斬る」形。当然ながら「それは一方的な見方では?」と感じる箇所もある。が、自分のつたない情報・知識の中で、たとえ「自分の考え」と合わなくても、「そう考えることもできる」という妙な納得感はある。普通、この手の論調だと「結局自分が押しつけの考えじゃん」となって、ネガティブな印象を与えがちだが、この本にはそれがない。著者の「プロ」の一面がそうさせているのか、「熱さ」なのか。
いろいろな環境はある。教育とか自然環境とか。でもそれはそれとして、情報過多の時代において、「考える」ことをしなくなっていることに著者は最後まで危惧しているような。それは自分も(自分の範囲内、という小さな社会ではあるけど)感じるところ。私たち世代は、社会が大きく変わっていく中で、「以前の」ものと「新しい」ものを両方知ることができた貴重な世代なのかもしれない。ここが「古いからダメ」ということではなしに、「本質」を追い続けることが最も重要なのではないか。そんなことを考えた。
この本からは直接なにかを得られた、というよりも、圧倒的に「考えさせられた」ということが多い。それは自分が本を読む上で、最も必要なことではないかと思う。ここに「テクニック」は存在しない。そう、それを身につけたい。
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