2010/08/24

コラム的に楽しむ。


『勝者の思考法』二宮清純
[19/141]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★★

テレビでのコメントやコラムなどで見かける著者の本を初めて読む(こーゆーように「知っている人」の本を次々読んでいくのは、結構楽しい)。多少誤解を招くような辛口もあるけど、結構(プロ)スポーツに関しての本質をついていたりするので興味はあった(どこかで「評論家」を嫌うこともある。著者に関してはその域を超えてしまったけど)。
「勝負の世界」であるスポーツにおいて、実際のアスリートのみならず、コーチ、監督にまで言及して、「勝者」とはどうあるのか、なぜ勝者たりえるのか、という内容。書かれたのがもう9年ほど前なので話題としては若干古くなっている(たとえばイチローがまだメジャーデビュー前だったりする)が、さすがに「本質」を捉えるその内容はいささかも古臭くはなっていない。タイミング的には「シドニーオリンピック」ネタが多いけれども、マラソンの高橋選手と小出監督、メジャーに挑戦してその道を切り開いた野茂投手、(当時は)発足してまもないJリーグの理念など、多少「懐古主義的」にも楽しめる。タイトルの「思考法」という点では、正直「何かをこの本で読んで得た」というものは少ないけれども、「コラム」としては「厚み」を感じさせるものであり、おもしろく読める。
よく言われるが、イチローの個性を尊重した仰木監督の例を引き合いにして、「選手を育てる<選手に活躍の場を与える」を説いたり、個性派揃いのメジャーリーグをして、「クセのある選手の個性を消さずに全体をどうデザインしていくか」を説いたり。なかでも(もうそんなに前になるのかあ)阪神時代の新庄選手に「投手」を命じた野村監督を、「投手心理を垣間見せることにより新庄選手を変えた」功績を見出したり。必ずしも著者は「辛口」だけではなく、いいところはいい、と言い切る快さを併せ持つ(Jリーグの理念には傾倒されているようである)のは、読んでいて気持ちのよいものだ。
前述、この本から「思考法」を得ることはなかったけど、読み物としての価値は十分。興味のある野球、サッカーの話が中心だし。さらっと読めちゃいますし、読んだあとにテレビでコメントしている著者を見たら、見方が変わってくるかもしれない。そんなプラスも。

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