2010/08/10

いろいろなものをもらいました


『魔法のラーメン発明物語』安藤百福
[7/129]bk1
Amazon ★★★
K-amazon ★★★★

日経「私の履歴書」シリーズは、3冊目の読了。これまでの中で一番「入って」いけた。チキンラーメン、カップヌードルといった即席めん(子供の頃はこの名称だった記憶がある。今は言う人いないね...)を「発明」した日清食品創業者のストーリー。なみなみならぬ努力の結晶とお見受けしたが、何よりも、チキンラーメンを世にだしたとき、著者(開発者)は、48歳であったこと。これが衝撃だった。所謂「成功本」も何冊か読んだけれども、結構若い時からその「芽」を出しつつある人が大半の中で、この「48歳」という事実に感動。自分もまだまだいける、という気持ちにもなるし、ここであきらめるなんてありえない、とも思った。開発の御苦労、そして売りだしてからの(模倣品の氾濫など)トラブル等、また、いわれもない投獄などの人生の艱難辛苦を書かれているが、それがすべて「ラーメン」に結びついているような、静かな闘志を感じた。文書自体は、「読ませる」というよりは、こちら側が感情移入してしまうような、「静か」なんだけれどもそこには「人生」を感じさせるものがあって、最近読んだ本の中では一番スムースな読書となった。
何よりも、著者の「ラーメン」にかける愛情がひしひしと感じられる。本の後半は著者が90歳になるころに、ラーメンのルーツを探るために中国(ほぼ)全土を旅した記録。そこにはご自身のラーメンへの愛着だけでなく、中国の食文化への尊敬の念も垣間見れる。チキンラーメン、カップヌードルにある意味特化して事業を進められているのは、事業戦略的なこともあるだろうけれども、ご自身の商品に対する愛情、これであろう。
また、即席めんの特許を取得したが、それは模倣された粗悪品の排除のためであり、けして自企業を守るためではなく、業界の発展に寄与されてきた。なにより「食」という位置づけに価値を感じられており、ラーメンを通じて飢餓の問題を考えられたり、つまりは「社会」に目を向けている姿には感動を覚える。「私利私欲を捨てる」ことが、最近読む本で繰り返し目にすることであるが、実際にそういうマインドで「生きてきた」方に触れると、それはまた感動。
「食べるのは3分だけど、作るのには時間をかけて考えて作っている」これがすべてを表しているフレーズですね。タイトルの「魔法」は、けして「魔法をつかって作った、売った」ということではない。ここまで愚直に心をこめて、永続的な商品を世にだした例も少ないのでは?と感じる。そういう仕事をしてみたい。まだ「48歳」までには時間がある。

AMAZONで見る

0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter