2010/09/04

読み物。ですね


『なぜデパ地下には人が集まるのか』川島蓉子
[1/147]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★

「デパ地下」という言葉が出てきたのはいつだったのだろう。それにあまり関係が(関心も)ない自分にとっても「一般名詞」化されつつある。本書は、「市場のトレンドを読む」ことを生業にされている著者が、その「謎」に迫った内容。食の専門家ではないが、消費という場をウォッチし続けてきた視点から...と著者は触れているが、所謂「マーケティング」の本ではない、という印象。「デパ地下」はどうあるべきか、その魅力はなんなのか、ということについて、著者の視点から「評」を下されているが、「一消費者」目線から、という点に偏っているようだ。党是に「マーケティング」の主役は消費者であるから、これ自体がいい悪い、ということではないけれど、「ビジネス書」の棚に収める本ではないですね。
大手(デパートはそもそも「大手」か...)含めて、「再編」の波にさらされている百貨店業界。自分の小さな頃からは(名称は残りつつも)「業界地図」が大きく変化している。そんな中で「地下」が元気なのは、時代の流れと、業界自体のマーケティングが生み出したもの、なんだろうと思う。「ビジネス本」ではないので触れられてはいないけれども、「悪い」時に、すべてダメだあ、と思うのか、全体を見たときに力を注ぐ箇所を見つけていくのか、これは百貨店業界、小売業界だけの話ではない。「モノを売る」という世界にいる自分としては「デパ地下」の発想自体はすごく魅力的に思える。この本を読む前も後も変わらずに。
子供のころは「西武デパートに行く」ことがうれしかったなあ。サザエさんの中にでてくるように。今の子供はどう思っているんだろう。以前ほどは「特別」ではなくなっているのは事実だろう。「敷居が高い」というイメージは引き続きあるものの、本書の中でもふれられていたが、「市場(いちば)」のプチ体験的な、一歩近づいた施策の方が、ひきつけているような感じがする。非日常(以前のデパート、或いは1階2階の婦人服等)なのか日常(デパ地下等)なのか。興味を引いたのは、「フロアごとの断片的な売り方」ではなくて、「縦割り」のマーケティング。たとえば、ワインとチーズ(地下の別の店)と、ワイングラス、食器(上階)などの組み合わせ。やっぱり「ライフスタイルを提案する」ということがキーワードになりそうね。

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