2010/09/04
面白い!食わず嫌いだった
『ぼくが最後のクレーマー』関根眞一
[3/149]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★
著者のお名前はよく目にするのだけど、なんとなく「クレーム」という言葉に拒否反応があって、これまで避けてきた。最近、EC通販であっても「お客様対応」ということにもっと力を注ぐべし、という考え方を持ちはじめ、「クレーム」も含めての「お客様との接点」というところの情報として期待しながら読み始めた。
著者が属する(属していた)百貨店という、ある意味「クレーム」と(イメージ的に)結びつきやすい業界だけではなく、歯科業界という「顧客サービス」という言葉と少々結びつけにくい業界も含めて、クレーム対応(お客様対応)の大切さ、一部クレームへの対応テクニック(事例)ということで紹介されている。かつての「需要>供給」という社会の図式は、あきらかに「需要<供給」という形に逆転している。これによって何がおきているかといえば、以前は「めんどくさいクレーム客は排除すればよい」という考え方が(正しいかどうかはさておき)通ったけれども、今は「クレームのお客様を含めて一人ひとりを大事にしていく」ということが必要になっているわけだ。これは現場にいる身としても毎日実感しているところ。また、この需給バランスの中で、需要、つまりお客様側は(情報化社会も相まって)かなり「賢く」なっている。クレームをいう背景も変わってきているし、「進化」している。これに対して共有、つまり企業側はどうなのか。以前と変わらずに「排除」ベースで考えているところは、おそらく少なくない。これではサバイバル不可能となるのは目に見えているね。
自分としてはそういった「危機感」を少なからずもっている(つもりだ)。ただ、自分が持っているだけではなく、直接お客様対応する担当者は当然としても、直接はかかわらないスタッフもその気持ちを持たなければ(「排除」の気持ちを少しでも残していると)、どこかにほころびが出てしまうものだと考える。広告の表現からなにからなにまで徹底できているか?まだ途上。その前に「意識」を変えなければならない、という、「今時点では」お粗末な状況なのかもしれない。けど、やっぱりここを変えないと。本来みんな持っているはずの意識だから。だって自分たちだって「消費者」だからね。
そんなことを意識させる、考えさせられる内容だった。事例紹介が多く、わかりやすかったけれど、著者がいうように「対応マニュアル」を作って効率化することではないし、やっぱり「意識」の問題だと思う。そうゆう意識を持たせてもらって、よかったと思う。著者の別の本『となりのクレーマー』(多分こちらの方が「有名」なんだろう)も読んでみたい。もちろん本を読むことだけでは何もしないのと一緒。特にお客様とのコミュニケーションにおいては。「実行」ですね。
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