2010/09/29

マーケティング論。で?


『わたしたち消費』鈴木謙介
[19/165]Library
Amazon ★★★
K-amazon ★★

かなりの大昔。大学で「マスコミ論」を聴講したときに思った、「現実と離れているなあ」という印象が甦る。「大衆」から「分衆・少衆」へ、「みんなと同じもの」から「自分だけのもの」を通して「自分たち『だけ』のもの」へ。理論はわかる。身の回りを見ても、「他人と違った個性を出したい」から「一部のコミュニティに限られた話題で盛り上がる=ウチワウケ」への流れ、って確かにあると思う。で、どうするか、だ。たまに(特にカミさんから)「本ばかり読んで実際に役にたつの?」というスルドイ指摘をうけるが、本書を読んだ印象からすると、この質問に対して「そうですね、すみません」と答えざるをえない。
ところどころ実例が入っているので多少緩和されてはいるが、正直読みにくかった。マクロ的な視点も必要な場面はあるんだろうけれど、どうも苦手。「電通」っぽいアプローチ、既にタイトルにも表れているけれども、大衆だろうが分衆だろうが、つまりは一人のお客様、消費者である。消費者を知る、ってことがポイントなわけで、電通さんのアンケートで「○○が何%、これらを○○層と捉える」というところに若干の抵抗感。
インターネットの普及により、「これからはネットだ!」と「無責任に」叫んでいた時代から、今は「知恵」が無い限りは成功しない、つまりネット=ツールという主張がよく聞こえてくる。これは確かにそう思う。その流れを前提にしている本書からは、何がしかのヒントを得たいと考えていたが...途中何度挫折しそうになったか...という状態だった。大枠としての考え方は「共感」というレベルで得られたと思う。本書の言葉からは、
「お客様は神様です」から「お客様は私たちの仲間です」という姿勢の切り替えが、企業が消費者に示すべきメッセージとなる
という点は言葉にして明確だった。「ユルイ」つながりが今の消費者傾向だというのは既に実感、ただし、排他的な「ウチワウケ」は、快くないし広がらないし、それを対象と考えること自体がどうもすっきりしない。
曖昧だった「読後感」であるが、著者が本書の冒頭でチクリと批判している三浦展氏が、逆にAmazonのレビューで「仕返し」をしているのを目にして、なんだか後味が悪い。

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