2010/10/01

こういう「マーケティング」がいい


『シュガーマンのマーケティング30の法則』ジョセフ・シュガーマン
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Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★

電卓、サングラス...これらの「通販」で大きな成功をおさめた著者。そのノウハウを本書で披露...というフレコミで、通常であれば「うさんくさい」感じが正直するんだけど、実は、自分の「あこがれ」の同業他社の方が読んでいる、というのを目にして、「なら自分も!」ということがきっかけで出会った本。
うさんくさい...このマイナスの前提があったから、というレベルを超えて、「マーケティング」の本としては秀逸です。国は違えど同じ「通販」というフィールドがベースになっているから、というだけではない。最近読んだ本の中でもいくつかあったような、マーケティング「論」ではなく、まさに「実践」であり、そのまま「直接」ではないにしても活かせそうなヒントはあちらこちらにある。活かせそうな、ではなく活かすように動いてみるべき、と表現しなければいけないね。
・一貫性の法則(一度こうする、と決めたら、それを続ける=「ついで買い」)
・シンプルが一番(選択肢を増やす、事細かな説明が本当に伝わるのか)
・帰属意識(ベンツを買っている層の仲間に入りたい意識)
等々、「モノを買う消費者」の心理をこれほどまでに的確につかんでいる本はないんじゃないか、って思える。なかでも、
・人は感覚で買い物をし、その買い物を理屈で納得する
これって深い。自分に当てはめれば当然、と思えるんだけど、いざ「売り手」になってしまうと、「理屈」で埋め尽くしたりしてしまう。でも最初に接触して動機づけされるのは、「感覚」なんだよね。納得。
本書の中でも何度か登場したけれど、この本の根底にあるのは(著者の考えの本質は)、「お客様を知る」こと、そして「お客様に対して正直に接する」ことにあると思う。誠実さ、正直さ、というキーワードが出てくる。これほどに成功した著者が、
「消費者は賢い。お客よりも賢い売り手はいない」
と断言している。これって深い。「だます」ようなことはつまり不可能なんだよね。誠実、正直ではないし、賢くない人が賢い人を、テクニックを使ってどうこうする、なんてことは考えるだけ無駄。それよりも(まずはそういう=誠実な、正直な人間になる、という前提があるけれども)ひとりの人間として正直に包み隠さず接する、マイナス点はマイナスと伝える(それを克服する方法も提示する)、プラスの面は自信をもってプラスであると提示する。あたりまえかもしれないけど、なかなかやりきれないこと。やりきる人が成功するんだろう。
さてその前提となる「誠実」になるためにはどうしたらいいんだろう。本書が答え(ヒント)を与えてくれている。曰く「意識すること」。これも深いねー。テクニックではない。意識して誠実になること。これが一番の近道だし、唯一の方法なんだ。これも「あたりまえだけどやりきれない」ことかもしれない。
ながく手元に置いておきたい本。誠実な、正直な、そして自信を持った著者の情熱が伝わってくる。久々に「いい本」を読んだ。「あこがれ」の方の選択は、やっぱり素晴らしい。

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