2010/10/07

完全にのめりこみ。


『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一
[5/170]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★★

以前、『高校生が感動した論語』を読んで、少なからず「論語」に興味を持ち、「その場」で購入した本。著者の名前はもちろん知っているが、何をした人なのか、は正直しらなかった...すごい人です。「日本実業界の父」であり、明治の時代に、国を発展、元気な日本にするために、商業の活性化の重要性を説く。おそらく(想像できないけれども)幕末の空気が少なからず残っていた時代、政治や教育の制度は整い始めていたのかもしれないが、「商業」は賤しいものとされていたのかもしれない。そんなときに、大蔵官僚を辞して「商業」の世界に飛び込んだ著者...実際に成功したからすごい、というよりはそんな時代背景の中で、「国の発展のため」に、自己の利益を一旦置いてまで情熱を注いだ、そしてやり遂げた、この姿勢に感動する。そして、この本はなんと1916年の本。もう100年も前。そんなことは一切感じさせない。一切、です。「現代の若者」や「教育制度」、「自己利益のための商業というモラルの低さ」、これって新刊で読んだビジネス本とまったく変わらない。これって何?100年たって表向き日本の経済は世界レベルに達したのかもしれないけど、それに携わる根本的な問題はなんら変わっていない、ってことか?それならそれで、「改善すべきポイント」が明確であることは、次へのモチベーションになりうるので悪いことではないよね。
本書は当時の「講演」をベースに編んだものらしいけれども、一貫してあるのが、
・正しいことを貫くこと。これは商売に携わる者に限らず
・正しい考えを元にしていなければ「表面的に」成功しても無意味。
・一時的に「悪」が成功したようにみえる場面もあるかもしれない。でも最終的には「正義」が勝つ。
著者は商業への意識についても「論語」を、「論語」だけをその信念として持っている、という。そもそも読もうとした動機である「論語」については詳しくは述べられていないけれども、商業に携わる身として、いや、この世に生を受けた人間として、どうあるべきなのか、ということを、本質的に考えさせられる。これを読んでしまうと、所謂コンサル系の本は読めなくなる。だって、同じことを焼き直しているに過ぎないから。
特に後半にあった、「ビジネスへの心構え」的な一節(「細心にして大胆であれ」)は、何度も読み返した。保守的になりがちな環境を打ち破らなければ、そういう意識を持たなければ、本当の意味での自立した人間たりえない。つまり自分の「価値」の問題である。これ、コピーする。常に携帯する。
久々に最後まで響く本に出会う。今年読んだ中でも最高レベル。「100年前だから」ではない。心底響く本である。読み終わった後、自分の中で何かが変わった気がするほど。興奮。

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