2010/09/09

クセになりそうな...


『反社会学講座』パオロ・マッツァリーノ②
[6/152]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★

面白い。タイトルにあるように「社会学」を斬る、というよりも、世間で(国やマスメディアが主張する)言われている「常識」が、はたして本当なの?ということを、「隠された」データをも駆使して、問題提起する。少子化問題、犯罪の低年齢化、年金問題...これらについて言われている「問題点」は本当にそこにあるのか?「情報操作」とまでは言わないけど、本質的にはどこに問題があるのか。そしてそれを解決するためには、実はこういう切り口が...ということを著者自身の、ある意味「一方的な毒舌」で斬る。素直な、シンプルな、それでいて本質的な、実は建設的な意見だったりする。そして今一般的に(「上」の方から)出てきている「解決案」は、それによってはたして誰が恩恵を受けるのか。著者はメリットは「一部の人」と考え、「それ、違うでしょ?」という観点からモノをみていく。痛快。まさに痛快。
特に年金問題については結構なスペースを割いた提案。「裕福なお年寄りは(年金をあげずに)自分で生きていったもらいましょ」とかは、ある意味、誰かが言いたいけど言えない、そんなことだ。他にも、メラビアンの法則(人のコミュニケーションに果たす役割は、見た目が55%声が37%、話の内容は7%)を正面から信じていいの?だって必ず「言葉による話」がベースにあるでしょ?っていう「あたりまえ」を突く。そりゃそうなんだよね。シンプルに考えると、本質にいきつく、というか本質に「戻る」んだろう。
著者が、どこの国の人か知らない。でもそんなこととは無関係に、おもしろい。そこに本質があるし。小気味いい、という言葉が当てはまるかもしれない。そしてなにより文体や比喩(皮肉?)表現が絶妙。このテンポのよさ、「社会学」の本を読みながら笑いがこみ上げる、ってそう簡単なことではないよね。完全に引き込まれている、ってことの証かと。
「次」も読んでみたい。まだこの本を読み終わる前にそんな気持ちになった。読んでいて面白い。そして、読後に自分で「考える」きっかけもある。そんな本、そうそう出会えない。

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