2010/09/17

前向きな「人間学」がある


『となりのクレーマー』関根眞一②
[11/157]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★

苦情、クレーム...正直「ネガティブ」なイメージがぬぐえない。苦情処理のプロである著者が、百貨店時代、その後の歯科業界、学校関連での「クレーム対応」を実例を交えながら紹介。一部「対応策」も掲載してもらっているが、それは「マインド」としてアタマに入れておくべきことで、「マニュアル」ではない。著者の主張もそうだと思う。自分たちの事業にお金を払ってくれる「お客様」を相手に商売をしている限り、苦情はなくならない。それを避けて通るのか、それを糧にする、と考えるのか。少し前に著者の別の本を読んで、あきらかに自分の中で考え方が変わってきている。「クレームは宝の山」という言葉自体はアタマに合ったけれど、ここが一番大事かも、という意識は芽生えつつある(広告よりもDMよりも、という意味で)。
本書に挙げられている事例をどう読むのか。「他社でもあるんだなあ」とヒトゴトにするのか、「自分に置き換えてみて」できない..とあきらめるのか、(当初は当然に)苦しいのを承知の上でなお且つ意味を見出して取り組むのか。大きく変わってくるだろう。もちろん「実行」ありきではあるが。著者のレベルまで達するのは相当な努力と「何か」が必要だろうと思う。「お客様の立場になって」という表面的な字面は理解できるとしても、本当にそこまで達するのは、「プロ」である著者でも2年かかった、という話。そうそう簡単なもんじゃない、と決意が必要だろう。著者の本は(まだ2冊しか読んでいないけれど)偽りやカッコツケではなく、著者がクレーム対応の「プロ」であることを感じさせる。前向きである。人間が好き、とか、クレームを言う人の背景を考える度量、余裕がるとか、テクニック的なものではなく、内面的なものが前述の「何か」なのだろうと思う。
クレーマーだって、もしかしたら逆の立場に立つ場面もあるかもしれない。そういった意味では「人間学」といういことになるけれども、著者のこれまで実践してきた活動は「人間学」なんて表現ではカバーできないかもしれない。久しぶりに本を読んだだけで「プロ」を感じている。極めている人はやっぱり何か違う。
クレーム対応の極意は「経験」だと著者がいうように、やはり「マニュアル」は存在しないと思う。ただ「経験」を漫然と受け入れているのでは進歩はないのだろう。クレーム対応だけではないよね。「経験」を活かさないともったいない。活かす場所は自分で作る。これまでしてきた仕事だっておんなじだ。「活かせる経験」をしていない、ってことは、「合格点」の仕事をしていない、ってこと。ちょっと「クレーム」から離れてそんなことまで考えは及んだ。

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