2011/02/28

読む側の心理状態によるねー

人間の覚悟 (新潮新書)
人間の覚悟 (新潮新書)
  • 発売日: 2008/11
『人間の覚悟』五木寛之
[22/40]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「覚悟」=「あきらめること」=「明らかに究めること」。超大作家の本ですが、実は初めて読みます。小説家のイメージ、及び「親鸞」のイメージが強いんだけど、ある意味「生きる意味」というか「生き方」を説いた本としては、結構すぐれもの。そこは小説家だけに、いい意味でも悪い意味でも「自分の型」を持っていらっしゃるのと、読ませるのがうまい。さらさらーっと読めてしまいます。タイトル及び冒頭の「あきらめる」については、けして厭世的になったり、投げやりになることではないことは、(先入観も含め)読み進めるにつれてわかってくる。ただ、著者の年代で経験された苦労と、今の世代のそれとはどうしても埋められないギャップがあって、そこは理屈では埋められないものなので、多少の「違和感」は残ります。あと(これは「敢えて」の書き方なんだろうけれど)著者が誰に対してメッセージを投げかけているのか、というのが少々見えない。「自分のこと」に割かれている時間が少し長いような気もしますね。全体的に(これぞ先入観ですが)小説のようであり、読み物を読んでいるような気持ちになってしまうことも...
宗教的な部分、それから(前述のものと多少矛盾しますが)厭世的なもの、それから時代のギャップ、それらを受けいれて、多少「客観的」に読むことができれば、プラスに作用すると思う。今の自分は「迷い」が少なくないので、「こういう見方」というシンプルな視点を持って読み進めましたが、それは明らかにプラスでした。「あきらめる」という言葉の定義にしてもそうですね。つまりは「やる前からギブアップする」という意味での「あきらめる」ということではない。土台があって、しっかり地に足を付けたうえで「明らかに究める」、すなわち(今はやりの)「選択と集中」のひとつかと思います。ただ、もし今自分がノリにノッてる状態だったら...★はひとつ減るんじゃないかなあ...そんな「客観視」もできたり。

人間の覚悟 (新潮新書)

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