- 銀座久兵衛 こだわりの流儀
- 発売日: 2010/03/24
[5/23]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
およそ自分の「生活圏」には入らないお店「銀座久兵衛」の二代目。もちろん名前は知っているけれど(接点がないので名前以上のことは何もしらない)、長年続いた一流のお店だということくらいしか。昨今この手の「老舗」は、何か問題が発生するくらいしかニュースにはならないが、この店は違う。その理由はこの本を読んでいく中で少しづつわかっていく。
板前の教育、心構えの持ち方、接客の根本的な考え方、リーダーの「動き」方、どれをとっても「プロ」を感じさせる。寿司屋だからどうこう、というのは一切ない。「マインド」が内容の主軸であり、現場発信のリーダー論としては、かなり「上級」レベルではないだろうか。なにせこの著者が「現場」にいる。二代目ということのプレシャーは想像を超えるものがあると思われるが、「オヤジ」は常に現場におり、目は現場、お客様に向いている。それを演出する板前、ホールの人間は「プロ」であることを徹底して、そしてリーダーの背中を観て正しい方向へ進んでいく。「オヤジ」が真剣な分、その熱が正しい方向に向かっている分、周りも迷うことはないだろう。
お客様は、その店に何を求めてくるのか。寿司の味?それだけではないよね。そこにいく期待感、それを上回るお店の空気、板前との会話...そこで支払う金額は、久兵衛にいる「時間」への対価であるのだろうか。単なる寿司そのものの対価ではないはずだ。そしてそこで働く人たちも、「久兵衛で働くステイタス」に価値観を見出すことになるんだろうね。
この「好循環」の源泉は何か。二代目の「熱」、「真剣さ」なのだろう。現場にいる、すなわちお客様に近いところにいる、ということが実は最もポイントである気がする。
最後にひとつ。「板前の修行」というと、かなり「師匠弟子」的な、ある意味「前時代的な」イメージがあるが、どうも最近では、「人材難」に対応するような方向性のようである。つまり「見習い」の立ち居地が以前よりも強いというか...でも著者はその時代の流れにもうまく適応しているようだ。このあたりの「しなやかさ」が、変化の時代でも基盤が揺るがない一因なんだろうね。やっぱり軸が芯が確固たるものであるところは、強い。
ただ...「きっと久兵衛ってすごいんだろうなあ」という(勝手な)期待を持っていたので、それを超える驚きはありませんでした。完全に「自己都合」ですけれども...
銀座久兵衛 こだわりの流儀
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