2012/05/01

人生という「旅」にどう向かうのか


『アルケミスト』パウロ・コエーリョ
[1/77]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

羊飼いの少年は、「羊飼いで満足」していた日常から飛び出します。「宝物」を探しにエジプト・ピラミッドへ向かう旅。そこで出会う「錬金術師=アルケミスト」から、宝物以上に大切なものを見つける...
非常に「深く」読むことのできる物語です。単にストーリーを追うだけでもまずまず面白いのですが、「旅」する少年がそこで出会う人、出会う事件を通して、後ろを振り向かず、自分の本当に見つけるべきものを見つける、といった「人生論」でもあります。たまたま占い師の言葉を信じて、その時に最も大事と思われる羊を売ってしまう、たどり着いたエジプトではそのお金を盗られてしまう...その苦境にも負けず、
「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」
「前兆に従うこと」
という言葉を信じ抜き、時間をかけても大切なものを見つけていきます。「死」の恐怖に直面する場面もありますが、そこでもこの信念を曲げず、前を向いて進みます。
かつてないほどの情報に囲まれた現代、自分で「考える」よりは探した方が早い、という風潮あり、効率化を求める風潮あり。が、非効率を恐れて実行しないことも増えているのかもしれません。少年が学びとった大切なことのなかで、「今できることを実行する」という姿勢こそが、それを実行に移す力こそが「宝物」なのかもしれません。羊飼いのままでいれば、楽だったのかもしれません。食うや食わずという事態にも陥ることなく、昨日と同じ今日、今日を同じ明日を迎えられたかもしれません。が、「夢」に気付いた瞬間から、それは旅に出るための前段階でしかなくなったのです。夢を知った少年は、その夢を追い求めて歩き始めないことには、それを一生後悔するような気持ちになります。
それでも、我々は「後悔すること」がわかっていても、それを実行しないことも少なくないのかもしれません。少年は進みます。今を大事にします。さりとて「昨日」を無駄に思うことはしません。なぜならば今あるのは「これまで」があるからこそ、なのですから。
未来はどこにあるのか。そんなことを考えました。今日の先、なのでしょうが、それは自分で探して歩いて行かなければ出会えないものです。ここでとどまっていては...今を大事にすることが未来につながるひとつの「必須」なのでしょう。
人生論、愛についても読みとることができます。何かを強く望めば、実現するように助けてくれる。実現するように行動するのは、自分しかできません。思い切って動いてみること。


【ことば】...私は過去にも未来にも生きていない...今だけにしか興味を持っていません。もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます...なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです

過去にも未来にも生きていない...今を精いっぱい生きること。当たり前なんだけど、余計なことを考えがち。せっかく生を受けたのだから、自分の欲しいもの、追い求めるものに向かって精一杯生きてみよう。

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)


 >> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<


読書メモ帳
読書のあしあと




0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter