- 100km!
- 発売日: 2010/08/26
『100km!』片川優子
[11/87]Library
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★☆
知らぬ間に、「100km歩く」大会にエントリーされてしまった主人公。30時間歩くことで見つけたモノは...一度セミナーを聴いてトリコになった道端俊彦さんがfacebookで紹介されていたことから読んでみようとなった。ストーリーはシンプルで、家庭環境や自分の性格やら悩みごとが多い女子高生が、親戚によってエントリーされた100km歩く大会に参加し、「道中」どのような心理状態、あるいは成長を遂げるか、というもの。特に「どんでん返し」はなく、想定通りのエンディングではありましたが、「達成した」感を共有できるような気分になります。つまりストーリーに引き込まてしまいます。女子高生とは全然環境が異なるし、自ら100km歩くこともないけれども(考えたこともなかった)、意味も分からず参加した「苦労」の中で、自分を振り返ること、周りに対して感謝の気持ちを持つこと、たとえ「無駄」だと思われるようなことでも、成し遂げた時に見えてくるもの、これらは共感できるのです。
いわゆる「YA」という部類に入るのでしょう。著者自身も若いし、読者も若い人なんだろうと思う。だから自分みたいなタイプは読者としては想定外だとは思いますが、苦しんでいる中で大事なことを見つける過程は、年齢でも性別でも環境でもなく、素直に感じることができるのです。この臨場感は、最後の「あとがき」で明かされるように、著者ご自身が現実に「100km大会」に参加されている体験からにじみ出るものなんだと思われます。著者が言うように、その過程で体験する感覚、極限状態で起こる考え方の転換。、視点の転換は、体験者しか分からないと思われますので、「読んでいるだけ」じゃ、半分もその境地にはたどり着いていませんけれど...
「自分」を見つめ直して、またその「自分」は周りに支えられていたんだと気付かされて、そして、おそらくこの年代(高校生くらい)にはビミョウな位置づけになっていることが多いであろう「親子」の関係も、ひとつの軸になっています。100kmを歩き切ったその時、確実に成長している姿がそこにあります。ストーリーの面白さ、ハラハラではなく、真剣にゴールに向かう姿そのものの「美しさ」を感じることができる内容です。
オジサンが電車の中で読むには多少勇気がいるカテゴリーかもしれませんが、その内容は十分オジサンでも堪能できます。ただ、車内で泣いちゃうと危険ですけれども。
【ことば】「私はあなたを誇りに思う」ママが不意にはっきりと、そう言った。はっとして顔を上げると、ママの眼に、数か月ぶりの光が見えた。
親が子に伝える言葉として最も美しい言葉かもしれません。心では思っていても言葉にできないこともある。でも、そう言えるような関係になりたい。親もうれしいし、子もうれしい。そして子供にもどう思ってもらえるような親でなければならない。
100km!
>> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<
小春空
夜思比売の栞
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