- 「わからない」という方法 (集英社新書)
- 発売日: 2001/04/17
『「わからない」という方法』橋本治④
[17/71]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆
「わからない」ということを出発点にして、努力と興味関心、直感、それらを総動員して「わかる」方向へ進む、その方法を示してくれている内容...だと思う。学校の勉強と異なり、一般社会で生きていくことには「正解」がない。そこにあるのは「正解」ではないかと思われる(信じることのできる)方向性、だけである。あたかも「正解」があるように錯覚させ、その(本当は存在しないはずの)正解への近道を教えるかのようなビジネスが存在していることを憂う...著者は「世紀」という歴史観において、現代に巣食う「現代病、大国病」を指摘しています。
橋本さんの本は、その本によって「色」が大きく異なり、同じ著者とは思えないほど。この本に限って言えば、正直なところ、「読みにくい。くどすぎる。何を言いたいのかわからない」という状態でした(あくまでも自分にとって、です。)。「わからない」を起点にしてそこから広げていく、という考え方は自分を高める意味でも貴重な考え方だと同意しますが、本書の中ではどんどん話が飛躍して拡散していってしまい、なかには「自分の能力」をひけらかしているだけ、という印象のパートもあったり、どうもひとつのテーマを深堀り、という観点が見られません、或いは自分には見つけられませんでした。著者の「思い入れ」または、著者ご自身のパーソナリティや強み、個性、ということは伝わってきましたが、そのために著作を起こす、という意義がどこに書いてあるのか、結果として示せているのかどうか、自分には読み取れませんでした。
ご自身の例を引いて、「編み物の本を出したこと」や「現代語版の枕草子を書いたこと」が紹介されていました。「わからない」ということを起点にする(できる)著者なればこその方法、手法でこれらの「実績」を積み上げてきた、という内容。当然にここでは著者の全てが紹介されてはいないだろう。「わからない」から出発して、「カタチあるモノ」をつくりあげる過程では「相当、相応の努力」をされているはずである。そこを隠すとは奥ゆかしい。
レビュアーの多くが言っているように「くどい」満載で、読者を選んでしまうだろうと思う。選ばれなかった自分としては、結構しんどかった...のが本音。
【ことば】オバサンは...自分がふだん当たり前にやっていることを、「神聖なこと」とも理解している。だから...わからないでいる人間が人間の頭の構造を理解しないで...押しつけてしまうのである。
「オバサン」という独特の表現での説明だけれども、ことはオバサンに限ったことではないだろう。相手の「構造を理解」することはパワーが必要、そして「理解」しようとすること自体にもパワー、視点を変えようとする度量が必要。でもそれがないとコミュニケーションには至らない。
「わからない」という方法 (集英社新書)
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