2012/04/18

本質を追究することの大切さ。


『神様のサービス』小宮一慶⑪
[14/68]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

実際に著者が体験した「事例」をふんだんにつかって、良いサービスとは?よくないサービスは?というのを解き明かします。最初の方の事例にあった、「駅前のホテルで『駅にコインロッカーはありますか?』という宿泊客の問いに、「あります」と答えた」というのがすべてを代表している事例です。
著者の主張は、この場合には「駅にコインロッカーがある、ということではなく、お客様がなぜそれを聞いてきたのか、そこまで深堀りして考えて、そのホテルで預かる、という提案をする」が正解、ということ。
確かに、表面的な受け答えをする場面が多くなっているように感じることがあります。これが「マニュアル」の弊害なのか、世代のギャップなのか、わかりませんが、ひとつは「効率重視」の経営方向によるもの、ともいえるのではないか。直接的に「数字」(多くの場合は「売上」)に結びつくことが優先、それ以外は二次的、になっている企業は少なくないと感じます。それゆえ、短期的に劇的に数字を改善するものではない可能性がある「社員教育」を徹底することが少なくなっているのかもしれない...
本質を見失ってる可能性(危険性)がありますね。著者は多くの著作において、「働くことの本質」を説いています。社会における企業の在り方を説いているのです。そこに現れる「数字」は、企業の正しい活動(社会に対する貢献とか)の結果、もたらされるもので、未来に向けて永続的に活動するための利益がそこから生まれるのです。
本書では、タイトル「神様のサービス」とは、その本質は何か、というのがテーマです。それはとても大切なこと。ですが、少々「悪い例」が多すぎて、中には著者の「偏り」ではないか、と思えるものや、過剰反応じゃないかと思えるものもあったり...悪い例示によって「気付く」こともありますが、本をして読んだ時には「いい事例」が多い方が、(当然ですが)後味がいいものです。本書の「よい事例」については、ディズニーランド、加賀屋、ホンダ販売店など、著者の他の著作でも見られるものがあって、少々新鮮味に欠ける感じがしました。
小宮さんの本は、ふと忘れていた大切なことを改めて思い起こさせてくれるものが多いのですが、「似たような」内容も正直あります。本書は残念ですが...後者のような。

【ことば】よく「アフターサービス」という言い方をしますが、お客さまから見ると決して「アフター」ではないのです。買ってからしかつかいようがないのですから。「アフター」という発想は、売った側の論理なのです。

うわ、今まで気付かなかった。意識して「売り手側の発想」に起因する言葉を使わないようにしていたのですが、これには気付きませんでした。確かに。「アフター」は「売った後」という目線です...まだ無意識に使っている言葉があるかもしれない。気をつけよう。

神様のサービス 感動を生み出すプラス・アルファの作り方 (幻冬舎新書)


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呉作の気まぐれ書評日記
きゅーすけ日記。


 

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