2012/04/16

ドラえもん好きはよーくわかりました。

ドラえもん学 (PHP新書)
ドラえもん学 (PHP新書)
  • 発売日: 2005/04/16

『ドラえもん学』横山泰行②
[12/66]BookOff
Amazon ★★☆☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

富山大学教授による、ドラえもんの「史実」の振り返りです。日本のマンガ、アニメの発展、日本の子どもたちへの多大な影響を与え続けているドラえもんの「研究」。登場人物の「出演回数」や、海外でのドラえもんの進出状況、短編、長編、コミックス掲載の状況など、「ドラえもん」に相当な度合いで傾倒している著者の「思い」が伝わってきます。
アジアへの進出は、第二次世界大戦による当該国の日本に対するイメージが根強く残っていることや、ヨーロッパにおいては、特に「短編」で見られるような、ノビタのドラえもんに対する「依存」 度合いの高さが、人気が沸騰しない要因であるとか、「学問」のような分析もされています。もはや世界に通じる日本の文化としてのマンガ、アニメ、という領域ですので、この手合いは多少研究対象として「あり」だとは思いますが...
著者がドラえもんに対して抱いている「思い」は、多分学問的な研究対象として、ではなく、もっと人間的な「感動」がそこにあること、なのだと思われます。それは本文の中でわずかしかでてこない、著者の「気持ち」を表す部分から窺いしることができます。であるからこそ、このような「学問」「研究」といった析が違和感を感じてしまうのです。
映画などの長編で見られるような、「仲間が協力して困難にぶつかっていく」姿は、テレビなどの短編では味わえない「よさ」があります。短編には短編の「おもしろさ」があります。それらの感情を持つ、作品を楽しむのに、「分析」は不要かもしれません。そのストーリーが何年にお目見えして、コミックスの何巻に掲載されている、という情報は「楽しむ」ためには不要な情報のように思われます。
「名場面集」を活字で再現する、という試みは、自分のような年代にとっては、「思い出」をたどるようで懐かしく思うこともしばしば。ドラえもんの良さは、小さかったころの思い出も、今読み返して得られる感動も、同じように「あたたかさ」を感じるスタンダードな感動がそこにある、ということだと思います。なにをやっても駄目な(短編の)のびたくん、ドラえもんを始め、それでも「友達」でい続ける仲間たち。家族、社会、未来、夢。希望が詰め込まれたドラえもんは、「楽しむ」ことができれば十分なのかもしれません。

【ことば】「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね...

しずかちゃんが結婚前夜に、お父さんからもらった言葉。著者が言うように、珠玉の明言であると思います。当時も感動しましたが、今、この年代になって、自分の周りで世代が変わりつつある中で読んでも、さらに心に響く名言です。

ドラえもん学 (PHP新書)


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