- いつか、キャッチボールをする日
- 発売日: 2007/10
『いつか、キャッチボールをする日』鯨統一郎
[13/67]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆
著者にも本書にも何の先入観もなく、読み始めました。自分自身が小さな息子をキャッチボールをすることを夢に見て、そしてそれが実現している「今」に喜びを感じているので...タイトルだけで選んでいます。
登場するのは、自分とはまったく異なる父親、現役のプロ野球選手。ベテランとして「代打」稼業に就いているが、再びレギュラーを目指す身分。息子は「プロ野球選手の息子」と思えぬほど「ヘタ」なのだが、普通の男の子と同じように、「お父さんとキャッチボールをする」ことを楽しみにしている。
プロ野球の世界の過酷さ、どこにでもある温かい家庭。そんな話が続くのかと思いきや...
「事件」がいろいろと起こります。プロ野球選手としての環境ではなく、父親としての環境において起こるのです。もはや職業は通り越して、子を思う親としての主人公。
プロ野球に関する記述は、半分実名、半分架空になっているのが、現実感。ダルビッシュもでてきます。いまだにくすぶっている「新人選手とカネ」の問題も、ひとつのテーマになっています。ですが、この「カネ」の問題は、1冊を通じてのテーマになるかと思いきや...
プロ野球選手でなくとも、自分の息子とキャッチボールをしたい、というのは、大多数の父親に共通した「夢」かもしれません。自分にしてみても、40年近く前になりますが、父親とやったキャッチボール、バットを買ってもらったこと、球場に見にいったこと、鮮明に覚えているんですね。立場は変われど、世代は変われど、同じことをしたい、と思うのは人の常かもしれません。ゲームを一緒にやるのとはちょっと違う、「親子」を感じるヒトトキ、なんですね。
そんな純粋な「喜び」が、本書のテーマだと確信。「ヘタ」だったこどもは、うまくなろうと練習を重ねます。そんな姿に父親の指導にも力が入ります。その純粋なキャッチボールさえ、できなくなるような事件がいくつも発生します。でも、やりたいのは「キャッチボール」。そのシンプルさが、妙に響くのです。
あまりの展開に、ついていくのが大変に感じますが、そして前半の(プロ野球の実名掲載などによる)現実との接点が見えていた展開から、かなりの「小説」寄りになっていきますが、引き込まれる魅力は最後まで失わず、一気に読めちゃいました。
今週末、キャッチボールをしようと固く決心しました。
【ことば】自然に顔がほころびそうになるのを押さえる。息子からキャッチボールをやりたいとねだられたら、嬉しくならない父親はいないだろう。しかも息子はうまくなりたいと願っている。
純粋に「うまくなりたい」と思う気持ち。それを自分の中で見つけて、それを大きく育てるのが親の役目なのかもしれない。親が見つけるんではなくて、見つけるのは子ども自身。それを引き出せるようサポートをすること。キャッチボールだけではなく、すべてがそういうこと。
いつか、キャッチボールをする日
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本を読んだら...by ゆうき
勝手気ままな日々
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