- 「天才」の育て方 (講談社現代新書)
- 発売日: 2007/05/18
『「天才」の育て方』五嶋節
[7/61]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
「天才」バイオリニスト、五嶋みどり、龍兄弟の母が、子育てを論じています。ご本人も言うように「天才の育て方」はどこにもでてきません。バイオリンの才能があったのかなかったのか、(具体的に)どのような指導をした結果、「天才」が生まれたのか、ということではなく、あくまで「母親による子育ての仕方」が書かれています。バイオリン、音楽はあくまで「副」扱いで、中心にあるのは「人間として」の成長を、親子がともに刺激しあいながら、ここまで来た、ということがメインです。
以前読んだ『一流選手の親はどこが違うのか』(こちらは杉山愛の母、著)もそうなのですが、親と子のコミュニケーションとして、その間にスポーツやバイオリン、音楽があった、ということを強調されています。これは実は深い。才能を見出してそこに集中的に(そして早い時期から)時間を投下していった結果、「天才」が生じたわけではなく、スタンスはあくまでコミュニケーションツール、なんですね。もちろん、「天才」が誕生したからこそ、(ある意味「余裕」の中で)このような表現になったのかもしれませんが、いわゆる「英才教育」とは根本的に違うようです。
そしてもうひとつの共通点としては、親自身がそのスポーツなり音楽なりをやっていた、ということ。つまり環境として子どもの頃から「周りにあってあたりまえ」という環境の中で育ってきているのですね。これも重要かと。そしておそらくは(実際には「壁」がいくつもあったと思われますが)親自身がその世界を「楽しんでいる」姿を、子どもは「あたりまえ」という認識を持ったのでしょう。
そこに「ブレ」がなかったんだと思います。親が本当に楽しそうにやっていることは「伝わる」んですよね。そして壁にあたった時も(何度もあったのだと思います)、それを「辞める」選択肢というよりは、共にはげましあって、それを乗り越える「仲間」が近くにいた、ということも大きいのでしょう。
親として、人間の先輩として、子どもに見せる姿。それは(なんであってもいいのだと思いますが)本人が心底「熱く」なっている姿を見せることなんでしょうね。
「プロ」の条件として書かれている個所がありましたが、そこでは「表現」というポイントを説明されています。つまりテクニックではなくて、表現したいかどうか。どれくらい表現したいのか。そういう気持ちのありなしがプロとなれるかどうか、ということ。確かに。テクニックは必要だけれども、それだけでは「プロ」ではないですもんね。
子供さんが拒食症になったり、著者ご本人が離婚を経験されたり、どうとらえたらよいのか分からない点もあり、また、著作はもちろん本業ではないので、話があちらこちらに広がったり曲がったりしたりと、読みやすい、とは言えない文章ですが、それが却って「本音トーク」を感じさせます。
とり立てて才能もなく、子どもたちに申し訳ない親としては、まずは精一杯「熱く」なれるものを見つけて熱中すること、と極意(?)を見つけたり!と信じることにする。
【ことば】...自分の子どもだけを思い切り愛する、そうすればおのずと、よそのお子さんがその親にとってどのような存在なのか、ということが、いやがおうにもわかります。
そうか。「熱く」なれることのひとつは「子どもを思い切り愛する」ことなんだよね。確かにこれはいい得ていると思います。それすらできなければその先はできないですもんね。自分に自信のあるスタンスで接する、これが第一。
「天才」の育て方 (講談社現代新書)
>> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<
Biiingo!!
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