2012/04/07

一回の人生だからこそ。

生きるチカラ (集英社新書)
生きるチカラ (集英社新書)
  • 発売日: 2010/07/16

『生きるチカラ』植島啓司
[5/59]LIbrary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

タイトルから想像、「哲学」寄りの内容かと思っていましたが、内容はもっと「一般的」な内容。普通の社会人をやっている人ならば誰にでも当てはまると思う。
著者が何者かがよくわからないままであったが、「お金がすなわち幸せではない」ことや「ふりかかった災いをきっかけにする」ことなど、自身の経験や周辺の話を交えて語ってくれるのだ。ご本人は「お金がゼロの時期もあった」とか「旅行で世界を飛び回っている」人生を過ごしているようです。その域まで達するにはかなり困難なハードルだと思われます。お金がなくても大切なものがあれば、というのは理想論ですが、現実的にはお金が「ある程度」あることが前提です。お金がないとそれだけですべてが消極的になってしまうのが、我々が生活する社会なのです。
 それはそれとして、著者が本書を通じて伝えたかったポイントは、
「人生が選択の連続。その選択においては、正しい或いは間違っている、ということはそもそもその選択肢が存在しない」
ということだと思う。なんらかの「選択」が必要な場面は大小含めれば日々、見に降りかかってくることだ。「大きな」選択にあたっては、どちらかを選ぶとどちらかは捨てねばならない、という択一になることがあるけれど、どちらを選らんでも、選ばれなかったもう一方の選択を実施していないのだから、そのチョイスが正しかったのかどうか、なんて判断ができない。できないものはしても意味がないので、そもそも「よかった、悪かった」という判断自体をやめてしまえばいいのだ。そして、常に新しい選択をして、新しい選択肢を選んでいく、前に進んでいく、ということはすなわちそういうことなんだね。
宝くじの一等に当たった人が周りにばれて普通の生活ができなくなった、場合によっては不明な点の多い事件に巻き込まれて命を落としたり...といった事例を引き、「金持ちは幸せではない」ということを伝える手法などは、やや強引な気がするが、要は
「本当に大事なモノを見つけて、それに向かって生きていく。間違った選択なんてないのだから、迷っているなら進んだ方がいい。」
ということを伝えてもらったんだと思っている。
それこそが「生きるチカラ」であると。

【ことば】外から押しつけられた道徳や社会通念や既成事実に逆らって生きることも必要なときがやってくる。それをきっかけに自分自身のなかに隠された大きな可能性を開花させることも可能となるにちがいない。

人生におけるあらゆる選択に、成功、失敗はない。が、もしも「失敗と思われる」事態が生じたときこそ重要だと著者は述べる。本質的な意味での「失敗」ではないのだから、打ちひしがれてばかりはいられないのだ、と。う~ん、力強い。心強い。これだ。

生きるチカラ (集英社新書)


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