2010/06/24

無印ならぬ無味乾燥的な...


『無印良品の「改革」』渡辺米英
[18/100!]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★

自分の中でもかなりイメージがよい「無印良品」。ある意味(レベルが違いすぎるのでおこがましいが、敢えて)自分たちが目指す「ブランディング」の理想形である。一顧客としても通販事業に携わる者としても。その商品展開や「売り方」に興味津津。成功事例としてよく語られる「ユニクロ」「しまのや」とはまた別の魅力ある展開をされていると思う(実際に買って使っている商品もある)。そんな「無印」の改革、とあれば、読まずにはいられない。正直知らなかったけれども、2000年代初頭に、商品戦略、店舗戦略の誤りや、「ユニクロ」「ニトリ」などのカテゴリーキラーの台頭といった外的要因による業務低迷期を克服し、どう「復活」したのか、という「歴史」が書かれている。創業社長の「オリジナル」戦略のヒットから、二代目でやや苦戦した後、社長に就任した松井さんによる「構造改革」「意識改革」が詳細に書かれていて、これまで成功の道を一直線だと思っていた(「今」の成功しか見ていないから)同社が、実は「苦戦時代」を乗り越えた結果、今がある、ということを知り、自分の環境=今現在の苦戦をなんとか乗り越えなくてはならない、乗り越えるには小手先ではなく、「根本」から考えて考えぬく必要がある、ということを意識。
でも...あとがきで著者が自ら書かれているように、「敢えて主観を交えず史実に忠実に」書かれているので、「物語」的な「読んでいて楽しい」という感覚はなく、教科書を読んでいるような「読みにくさ」を感じた。当事者ではない方が書かれている本は大概そうなるんだろうけど、苦労の時期を乗り越えたその「ドラマ」をもっと感じたかったのは事実。おそらく「史実に忠実に」書かれている内容を読んだ自分のイメージの数倍、数十倍の努力や葛藤、試行錯誤があったものだと思われる。そこを感じたいんだよね。もちろん外に出せるもの出せないものはあるだろうけれど...
好きなブランドだし、これからも(一消費者としても)気になり続ける企業であることは間違いない。本を読んだ後も、たとえば店にいったとき、Webサイトを見たときに「あー低迷時代があったんだなあ」って思うレベルしか近寄れなかったのは残念。この手の話は、本で読むよりも実際の現場にいた人の話を聞く(セミナーでもなんでも)方が数倍「感じる」ことができるかもね。

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