2010/06/06

池上さんの「伝える力」はさすが。


『見通す力』池上彰④
[2/83]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

情報収集から仮説を立てて、それを検証して、先を「見通す力」を身につける...さすが池上さんの本は面白い。それぞれどのように情報収集するのか、「見通す力」を身につけるためのテクニック等々、参考になるし、読んでいくうちに自分でもできそうな、やってみようと思う気持ちになる。
「読む量が減った」とはいえ、年間300冊を読み、新聞、雑誌等からも情報収集し、「限定的」ではあるがインターネットからも...職業とはいえ、そうして集めた膨大な情報を元にそこから絞り込んで世の中を見ていく。視点がすばらしいなあ、って感じる。
テレビ報道に関しては、そこはテレビキャスターを務めていらっしゃることもあって、細部まで見越していて、「現場のない情報」は取り上げられない(例えば農地法の改正等よりもマイケルジャクソンの死亡報道が優先される)という視点、そして報道はすべて「編集」されたものである、という視点。冷静な視点ももちつつ、「ホンモノの」情報を「見通す」というポイントがさすがにわかりやすい。
あとこれは「アトヅケ」なのかどうかわからないけど、直近の自民党の3首相の「先」を見通した流れは面白かった。
いわく「二世議員は親(祖父)を超えることがひとつの目標となる」。
総理大臣になることで父を超えた安部さんは、総理の座にそれほどの執着はなかった。
父が実現できなかった「サミットの議長役」を実行するまでは辞められなかった福田さん。
長期政権の祖父に対して、「短命」のリスクを背負って解散に打ち出られなかった麻生さん。
こういう見方は面白いねえ。そしてロシア外交を実現した祖父を超えたい鳩山さんは、北方領土問題に取り組むのでは?という
「見通し」は、あたっていたのかどうか...現実的にはそれに取り組む前に挫折してしまったけれど。

テクニックとしては非常に面白かったんだけど、いまひとつ「見通す力」を身につける理由、という根幹の部分がいまひとつわかりにくかった。そこだけ、かな。


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