2010/06/18
期待値が高すぎたのか...
『ライフワークの思想』外山滋比古③
[14/96]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★
日本という国は「翻訳」が多すぎて、自国発の文化が少ない...そんなところから始まる。著者独自の言い回し(多少「古い」感じはするけれども、含蓄があって個性的で最後には嫌味なくすーっとする)が心地よく、けして「同意」はしないけれども、それでも「そういう考えもあるよね」と受け入れることはできる。
前半で何度か紹介されていたけど、人生80年とすれば、分別がつく10歳からの70年間で見た場合に、45歳で折り返し、そこからは「前に進む=戻る」ことだと。難しいけど解釈すれば、モノの見方を変えて、ともすれば視野が狭くなってしまう人生後半においては、より広範な考え方で、これまでとは違ったモノの見方、考え方をしていくべし、ということ、なのだろうと。そう考えると(この提示された数字をみれば)自分もまだ「折り返し地点」に到達していない。でも明らかにそれが視界に入ってきている。そういう立ち位置を俯瞰して、今人生におけるこの時点で何をするべきなのか。これまでの棚卸、これからの希望、いろいろなことが見えてくる。
そんな思いに至らせてくれた部分はあったけれども、残念ながら大半は、「よくわからない」文章が並ぶ。そもそも大部分は、「イギリス」の話。かの地の「パブリックスクール」の話であったり、同じ「島国」としての日本との比較や相性であったり。おおよそ「ライフワーク」とは無関係(と思うが、自分の浅薄故、読み取れないだけなのか?)な話。
最後の「文庫本のあとがき」を見れば、著者がいろいろな場面で書かれたエッセイ的なものを集約したものを、さらにリバイバルしての発行らしい。話題が古いのはしょうがないし、古くても著者の本、文章は十分読むに値するものであるけれども、やっぱり「寄せ集め」的な集約本って、軸がない(或いは無理やり軸っぽいものを持たせようとしている)分、ぶれるし、タイトルに惹かれて読み始めると違和感を感じてしまうんだよねー。著者の本はこれからも読んでいきたいが、編集内容次第かな。
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