2010/06/30
これ、いいっす!
『モチベーション3.0』ダニエル・ピンク
[21/103]
引き続き、献本いただきました。副題にある「持続する「やる気!」をいかに引き出すか」。これだけ見たら、結構「どこにでもある」イメージが(ずいぶんスレてしまいました...)。でもね、これが面白い。冒頭にあったけど、著者はアルゴア副大統領のスピーチライターの経験をお持ちだそうで、著者の原文のよさなのか、訳文のうまさなのか(両方であろう)、それこそ最後まで「読む気」を持続したままだった。
モチベーションの原点を。コンピュータのOSになぞらえて、「モチベーション1.0」は、「食うため」という動機、「2.0」はいわゆる「マネジメント・管理」による動機づけ、つまり報酬だったり、トップダウンだったり。それが長い期間機能してきたが、今世紀に入ってからあきらかに違う流れが...つまり「報酬」とくに金銭ではモチベーションは必ずしも上がらない、という状態になった...と説く。
自分が社会人成り立ての頃は、まさしく「2.0」の時代。報酬がすなわち人参になったかというと、自分にあてはまめれば直接的にそうだった、というわけではないにせよ、社会全体がそうだったと思う。「出世してお金持ちになる」ために、「歯車」となるのは当然の帰結、というかそれ以外の選択肢って何?という社会だった。
いま。自分がそれなりに「人を評価する、動機づけをする」立場になって思うのは、本書にもあるように、あきらかにそれでは人は動かない、ということ。場面によっては報酬が逆効果になる、という実験結果も多数紹介されていたが、「逆」かどうかは自分の環境ではわからないが、確かに「順」ではない、という実感が。「仕事ができる」人は、報酬のためにやっている?いやいや、結果として「できる」人になってお金も回ってきている感じがする。そしてそれを「かっこいい」と思い、自分でもそうなれるんじゃないか、って可能性を(少しだけ)見出したりする。
「2.0」時代の、与えられたタスクを滞りなく終結すること、によって認められた時代ではない。あきらかに時代は「受動」から「能動」を求めており、それを実現できた人が「成功」する。そして結果として「報酬」が得られている。そこに必要なものは「参加、実行」であり、「アイデア」であり、「能動的なコミュニケーション」だと思う。もちろん、「2.0」時代より楽になった、とか苦しくなったとか、比較するものではない。
さあ、そんな時代にどう生きるのか。そして「コミュニケーション」をどう実現していくのか。つまり自分の周りにいてくれる人たちとどう生きていくのか。どこに「目標」を定めるのか。「億万長者」が目標ではさみしいんだね。自分の意識の中でも、そんな変化が起きていることに改めて気付かされた。
こうなりたい。こうなっていたい。そんなイメージをしてみよう。そしてこれを可能な限り周りの人たちと共有してみよう。「3.0」時代の生き方、そんな大きなものを喚起させてくれる。
読む価値、十分に「あり」です。
2010/06/28
何を得られたか?
『ケチャップの謎』マルコム・グラッドウェル②
[20/102]Reviewplus
発売前の本を読ませていただきました。著者の本は『天才!成功する人々の法則』を以前に読んだけど、その本は、★★★★をつけてました。「ヨウモノ」に苦手意識がある自分としては結構高い。本書は「ニューヨーカー」誌に寄稿されたコラムの「ベスト版」ということだが、この手の「いいところどり」の弱点である、即時性が出てしまったいるかと思う。小さな世界での成功が全国区になる、という成功事例が書かれているが、結果「今」のタイミングでは「結局事業をたたんだ」というのもあり、継続的な成功、とは言い難いところで若干、「何を読みとればいいのだろう」という疑問が浮かぶことも。
基本的に本を読む場合に意識するのは、そこから(小さくても)ヒントをひとつでも見出すこと、を「成果点」に置くようにしている。原稿段階で一部を読んだ本書から学んだものは...敢えて言うと(著者の本意とはかけ離れているかもしれない)、小さくても自分たちが信じて我慢して「成功」にたどり着くまで努力する、という点であろう。「これまでの成功事例」にとらわれることなく、自分が信じていること(もちろんそこには綿密な計画、設計図が存在するのだろう)にまい進すること。よく言われる、「成功するまで努力する」ことの大切さ、のようなものか。ただ、これに関しては、同じように「まい進」していて「まだ」成功していない事例もおそらくヤマのように存在するのだろうと思う。どこまで我慢できるのか、それは、そう、「信じる」ことしかないのだろうね。それができれば我慢できるし、努力もできる。直接的な視点は「お金」ではないのだろう。それもポイントだと思う。
国の違い、国民性の違い等あるので、これをそのまま事例として参考にできるか、といったら微妙だけれども、なんとなく「成功の法則」は感じることはできる。「信じる」「前向き」キーワード。
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2010/06/27
ベストセラーっていったい...
『日本辺境論』内田樹
[19/101]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★
売れましたねえ。本屋のランキングでいつも1位で気になってた。買おうか迷った時期があった。今はどんなベストセラーでも(むしろよく売れているほうが)少し時期を待てば「質のよい中古本」として入手できる。デジタル化もそうだけど、「本を売る」って大変だろうなあ、って思う。この本もBookOffで半分の値段で入手。当時「気になっていた」分、期待値はたかく...そして読み始めの「つかみ」が見事で、「値」は高まる一方。
日本人とはなんだろう?という「日本人が大好きな問い」に対して、『常にどこかに世界の中心の存在を必要とする辺境の民』である、と説く。これに事例や、その理由などがついてくるんだけど、最初の数ページを過ぎるとあとは読みにくくて、しょうがない。正直全文の80%は「わからない」。わざと「学者が書く文体」になってるんではないか、と思ってしまう。なんでもっと誰にでもわかるように書かないんだろう?おもしろい説を説いているんだろうけれど、伝わってこないのはあまり意味がないのではないだろうか。「理解できない人に対して書いてるんではない」ていうスタンスなのかな?
結構売れた本だよね。みんな理解できたんだろうか...だとしたら自分の理解度の問題かも。でもタイトルと出足で挫折した人もいると思うなあ。
「辺境」という考えに対しては、面白い考えだと思います。「日本人論」が見事に当てはまる。でも、
「で?」
2010/06/24
無印ならぬ無味乾燥的な...
『無印良品の「改革」』渡辺米英
[18/100!]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★
自分の中でもかなりイメージがよい「無印良品」。ある意味(レベルが違いすぎるのでおこがましいが、敢えて)自分たちが目指す「ブランディング」の理想形である。一顧客としても通販事業に携わる者としても。その商品展開や「売り方」に興味津津。成功事例としてよく語られる「ユニクロ」「しまのや」とはまた別の魅力ある展開をされていると思う(実際に買って使っている商品もある)。そんな「無印」の改革、とあれば、読まずにはいられない。正直知らなかったけれども、2000年代初頭に、商品戦略、店舗戦略の誤りや、「ユニクロ」「ニトリ」などのカテゴリーキラーの台頭といった外的要因による業務低迷期を克服し、どう「復活」したのか、という「歴史」が書かれている。創業社長の「オリジナル」戦略のヒットから、二代目でやや苦戦した後、社長に就任した松井さんによる「構造改革」「意識改革」が詳細に書かれていて、これまで成功の道を一直線だと思っていた(「今」の成功しか見ていないから)同社が、実は「苦戦時代」を乗り越えた結果、今がある、ということを知り、自分の環境=今現在の苦戦をなんとか乗り越えなくてはならない、乗り越えるには小手先ではなく、「根本」から考えて考えぬく必要がある、ということを意識。
でも...あとがきで著者が自ら書かれているように、「敢えて主観を交えず史実に忠実に」書かれているので、「物語」的な「読んでいて楽しい」という感覚はなく、教科書を読んでいるような「読みにくさ」を感じた。当事者ではない方が書かれている本は大概そうなるんだろうけど、苦労の時期を乗り越えたその「ドラマ」をもっと感じたかったのは事実。おそらく「史実に忠実に」書かれている内容を読んだ自分のイメージの数倍、数十倍の努力や葛藤、試行錯誤があったものだと思われる。そこを感じたいんだよね。もちろん外に出せるもの出せないものはあるだろうけれど...
好きなブランドだし、これからも(一消費者としても)気になり続ける企業であることは間違いない。本を読んだ後も、たとえば店にいったとき、Webサイトを見たときに「あー低迷時代があったんだなあ」って思うレベルしか近寄れなかったのは残念。この手の話は、本で読むよりも実際の現場にいた人の話を聞く(セミナーでもなんでも)方が数倍「感じる」ことができるかもね。
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2010/06/23
「加速」している感じはしなかったが..
『加速成功』道幸武久
[17/99]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
なんかの本の中に紹介されていて、その記憶をもった中でBookOffの棚で出会った。AMAZONのレビューはものすごい両極端。どんな内容なのか...「加速」という意味合いがいまひとつつかみにくかったけれど、ポイントは
・自分を高めるために目標設定する
・時間管理術を学ぶ
・仕事、家庭、個人のバランスを考える
・「思い」を強くもつ
という内容で、これだけ見れば他の「成功本」と変わらない。んで実はその中身なんだけど、これも「成功本」と変わらない。けれどもレビューの酷評にあるような悪い印象は持たない。それぞれなんで必要なのかとか、これらを「実行する」ことの大切さであるとか、とてもわかりやすい、読みやすい、頭に入りやすい。ここから何か「新しいこと」を見つけて、「新しい気づき」を得るのは難しいかもしれないけれど、通勤の電車一往復で読む内容、進み方としては「あり」だと思う。
ただ、たとえば「転職」について、自分を高めるためには「転職」という行動もひとつ有効である、みたいな件があったんだけど、確かにそういう考え方ができるのかもしれないけど、あくまでも「自分個人視点」だけの話であり、組織の論理はそこにはまったくない。ましてはその組織の「お客様」がアタマの片隅にでも存在しているのかあやしい。ここを敢えて触れていないのか、そもそもまったく無視しているポイントなのか、によって本書の評価は変わってくると思う(正解は著者に聞いてみないとわからないけど)。
なにより繰り返し説かれている「行動しないと意味はない」というのは刺さりますね。本ばっかり読んでいても何も変わらない。著者のいうように「勉強20%、行動80%」これだね。これ意識します。あと「肯定的に考える」ということ。自分を信じること、ですね。これ根本だけど忘れがち。
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2010/06/22
「論文(調)」は苦手だ...
『ウェブ時代を行く』梅田望夫②
[16/98]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
気がつけば、[windows95]をサカイに結構「時代」が変わった気がする。「情報革命」と呼ばれる波の中にいるとつい流されていまいがちだけど、「その」前と後で、会社のありかた、社会の形、情報のありかた、等に「変化」が訪れているのは確かだと思う。これを自分の見方、だと認識していたけれども、「社会が変わっている」のは事実なんだろう。確かめようはないけれども。
幸運にもタイミングとして、「一生で2つの人生を経験」できているのかもしれない。子供のころ遊んだのは、メンコ、ビー玉、の類であり、インベーダーゲームを経験した後、現在のパソコン環境に。ビジネスでも、新入社員時代は、ぎりぎりテレックスが存在しており、ワープロが部署に1台という環境から、気がついたら「ひとり一台」という環境になった。それらを当たり前のように過ごしていること自体、「革命の中」に身を置いている証明なのだろう。
が、この「過渡期」を生きた人間は結構「やっかいもの」になっていく可能性がある。自分でもそうだが、本書に書かれていた「新しい時代」「個の時代」というのは、自分より上の世代に比べれば理解はできていると思う。が、一方で、「個、は尊重すべきだけど、組織の重要性もある」という意識はこびりついており、「新しい感覚」が100%消化はできない、というどっちつかず、というスタンスだ。
だから、本書に書かれていた「新しい生き方」には、アタマでは理解できる。でも今からそれを完全に自分の中に取り込むか、といったら、そもそもそんな気すらおきない。「そーゆー考え方」をする世代が増えてくるんだなあ、っていう認識にとどまる。で、実際その世代とたとえば話や仕事をする機会になったら、きっと「今の若いもんはさあ...」っていうんだろう。
なんか年齢を感じる。しょうがないことだけど。「過渡期世代」はどうすべきなのかね。これはこれで「わが道」を探すしかないね。
っていうアタマ理解とは別に、どうも読みにくくてしょうがなかったのが本音。前に読んだ「ウェブ進化論」も多少それが気になったけど、ここまで難しく表現しなくてもいいんじゃ...っていう感じがするね。自分の理解力の無さをタナニアゲテ、なんだけどさ。
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2010/06/19
考えるところはいっしょだった。
『明日、会社がなくなっても、自分の名前で勝負できますか?』川上徹也③
[15/97]Bookoff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
今、10名あまりのチームをまとめるための「ミッション」をフレーズにすることを考えている。つまり「軸」を。これがないと組織はバラバラに進んでいく危険があると認識したからだ。そしてこの本は、それの「個人バージョン」といえるものか。ちょうど「チーム」のことを考えている中で、「セルフブランディング」の本を読むことになったのは偶然にすぎないけど、「チーム」にも好影響がでるとよいが...という波及的な希望も。
さて本書。著者の本は3冊目になるが、最初の「ストーリー」を説いた内容は結構面白く、その当時(2009年12月)は、自分の中(仕事関連)では「ストーリー」がブームであった。その本が仕事、という側面から見たものであるとすれば、本書は「個人」にスポットを当てた形。実は1冊を通じて同じことを言い続けているような気がして(それがイコール「軸がある」ということなのかもしれないね)、要は、
「自分が何を持っていて、未来にはこうなっていて、そのために信念をもって、今はこれをやる」
というマインド、態度になろうよ、ってメッセージが貫かれている。
あとはそのための手法であったり、ちょっとしたヒントであったり、継続するためのツールであったり。やっぱり、「組織」を考えているときと同じなんだよね。
「軸」。ミッション。志(こころざし)。
絶対にぶれないものを持っていること。これがなんにおいても重要であることを改めて痛感。
もうイタイほどわかったんで、考えてるだけじゃなくて決めよう。決めます。
本書の内容としては、前述の『仕事はストーリーで動かそう』のインパクトが大きかったこともあり、若干それを「個人バージョン」に置き換えた本書の印象は薄い。アウトプットのためのツールの紹介(ブログとか)については、結構「使える」ものが多かったけど。ま、なにより実行です。
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2010/06/18
期待値が高すぎたのか...
『ライフワークの思想』外山滋比古③
[14/96]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★
日本という国は「翻訳」が多すぎて、自国発の文化が少ない...そんなところから始まる。著者独自の言い回し(多少「古い」感じはするけれども、含蓄があって個性的で最後には嫌味なくすーっとする)が心地よく、けして「同意」はしないけれども、それでも「そういう考えもあるよね」と受け入れることはできる。
前半で何度か紹介されていたけど、人生80年とすれば、分別がつく10歳からの70年間で見た場合に、45歳で折り返し、そこからは「前に進む=戻る」ことだと。難しいけど解釈すれば、モノの見方を変えて、ともすれば視野が狭くなってしまう人生後半においては、より広範な考え方で、これまでとは違ったモノの見方、考え方をしていくべし、ということ、なのだろうと。そう考えると(この提示された数字をみれば)自分もまだ「折り返し地点」に到達していない。でも明らかにそれが視界に入ってきている。そういう立ち位置を俯瞰して、今人生におけるこの時点で何をするべきなのか。これまでの棚卸、これからの希望、いろいろなことが見えてくる。
そんな思いに至らせてくれた部分はあったけれども、残念ながら大半は、「よくわからない」文章が並ぶ。そもそも大部分は、「イギリス」の話。かの地の「パブリックスクール」の話であったり、同じ「島国」としての日本との比較や相性であったり。おおよそ「ライフワーク」とは無関係(と思うが、自分の浅薄故、読み取れないだけなのか?)な話。
最後の「文庫本のあとがき」を見れば、著者がいろいろな場面で書かれたエッセイ的なものを集約したものを、さらにリバイバルしての発行らしい。話題が古いのはしょうがないし、古くても著者の本、文章は十分読むに値するものであるけれども、やっぱり「寄せ集め」的な集約本って、軸がない(或いは無理やり軸っぽいものを持たせようとしている)分、ぶれるし、タイトルに惹かれて読み始めると違和感を感じてしまうんだよねー。著者の本はこれからも読んでいきたいが、編集内容次第かな。
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2010/06/17
実行してみたいことが...
『だから、部下がついてこない!』嶋津良智
Library[13/95]
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
刺激的なタイトル。電車の中で読みにくかった(苦笑)。「最高の上司」になり、「最高の関係」を作り、「最高の組織」を作るための「新常識」を教えます!って書き出し。「最高」を目指す自分としては興味。が、冒頭の自己紹介部分(或いは著者紹介)で、「史上最年少で部長になり、売上No1営業マンで...」というところでちょっと引いてしまった。これは自分の悪い癖のひとつかもしれないが、どうもこの手の「自信満々」系には響かない傾向がある。そんな中で読み進めていったけど...
少なくとも「新」常識、といえるようなものは見当たらなかった。けれども、著者が繰り返し書かれていたように、
「知識はあっても(計画はあっても)、実行しているのは、そのうちの10%しかない」
これには共感する自分として、書かれていることが目新しくなくても、じゃあアンタ「実行」してるの?と問われるとアヤシイ。そこ、なんだよね、きっと。どんな本を読もうと、どんな人の話を聞こうと、それを実行しなければ読んでいない、聞いていないのと同じこと。インプットとアウトプット。そう。前述の「自己紹介」からのイメージでも、また著者自身も書かれていたけど、「トップダウン型リーダー」という印象なんだけど、そういう人間が、「そうではない」とスタイルを変えると強いんだろうなあ。でも「変える」ってエネルギーが必要なことだろうから、それはやっぱり「実行」あるのみ、なんだろうと思う。
精神論的な記述と具体的なそれが結構バランスよく解説されている印象はある。「精神論的」については(いいと思われるところは)実行していこうと思う。それしかない。「具体的」なところも一部「使えるかなあ」っていうのはあった(ツールとか)。これもおんなじ。実行だね。
あと、本書では「マネジメントポリシー」というフレーズで紹介されていたが、(コミュニケーションが前提で)「みんなでこうやっていこう」という方向性を言葉にする、ということが大事、ということを再認識。最近、これが(ミッションステイトメント)自分のテーマになりつつある。たとえば今の仕事において、だれもが「お客様のため」という意識は持っていてくれていると思う。でも、テクニックに走ってしまうときって誰にでもあるし、そういう概念をひとつの「言葉」にして共通でもつ、迷った時に見る、というのがいかに大切か、それを感じる場面が多い。それで解決するわけではないけど、それがないと始まらない。
これ「実行」する!
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2010/06/16
最後に「来た!」
『チームハックス』大橋悦夫・佐々木正吾
[12/94]Library
Amazon ★★★
K-amazon ★★★
この「ハックス」系は、以前に「アイデアハックス」を読んだことがある(著者は異なる。「シリーズもの」かどうかもしらない)。その時は...ほぼ記憶にないくらい。唯一あるのは、「なんだ、結局「ツール」の紹介じゃん。ツールでアイデアでてこないよねー」ってなもんである。
そんな先入観があったせいか、「今回も...」という感じで読み始めて、案の定...「他のチームビルディング本と変わらないなあ」とか「Googleカレンダーね...ツールは、「どう使うか」なんだよねえ」とかいう気分のまま、終わろうとしていた。よかった、図書館で。と思い始めていたが...
最後に来て、最終章にて、いい話が!本書の中では「リーダーシップからメンバーシップへ」という言葉を使っていたが、つまりは「チームリーダー」の役割という視点で考えた場合、実はずーっと悩んでいるポイントでもあり、チームの中のリーダーはどうあるべきか、ということばかり考えている自分がいる。リーダーとしてメンバーをどう動かしていくのか。実際、その手の「動かし方」を解説している本は多いし、実際にそういう考え方を(ちょっとだけ)実行してみたこともある。けど...こういう発想は大事かと、気づかされたね。本書に関してはお二人の共著。つまり「2人のチーム」であるわけだけど、そこに「リーダーは不在」であるわけで。でも、リーダー不在がプロジェクト進行にとって、なんら障害にはなっていないわけだ。これは「二人だから」という捉え方もできなくはないが、広く考えてみれば、「メンバー同士が目的を共有して、刺激しあって、進行したから」と言える。これはつまり「二人だから」に限定されることではない。
一番大事なのは、「メンバー間の相互理解」と書かれている。そう、そうなんだよね。これを回避して、「意識改革」をリーダーが実行しても多分うまくいかないんだ。ようやくこの1年くらいで「メンバーの成長がなによりもうれしい」と心から思えるようになった。それまでは「なんでこのチームは進んでいかないんだ?」っていうことばかり考えていた。メンバー間の相互理解。重い。重いけど、これを目指さないと、「仕事上の」数値なんてクリアできるわけがない。効率化、ということにとらわれすぎていたこともある。「売上」という数値だけをおっかけてきた、という反省も。
本書の最後の最後にあったけど、「未熟なメンバー」で構成されているチームと、「(個人レベルで)成熟したメンバー」でのそれとは、やはり「リーダー」の意味、価値が異なるんだろうと思う。今おかれた環境はまさしく後者。それを「有機的に」結び付けていくことが、すなわち役割。認識。本書の大部分割かれている「ツール」は、必要であれば使ってみればよい。そんな読み方が、最後にできた。
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2010/06/15
あまり「女性」を意識しなくても...
『女性を輝かせるマネジメント術』恩田饒・山岸和実
[11/93]BookOff
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★
女性メンバーが大半を占める今の環境。多分この本を買った時点では、「それ」が要因たる悩みがあったんだろう...実はこのあたりの「ノウハウ」を書いた本は意外に多い。でもあまり役立たない。というのは、読んでいるうちに、「何も女性に限定する必要はないんじゃないか...?」って本質的な疑問を持ち始めてしまうから。途中までは「そうそう、そうなんだよなあ」って同調する場面も多いんだけど。この本も「その他の」本と同じルートをたどった。基本が見開き2ページで一話完結なので、「ん?なにが言いたいんだ?」っていうのもあったり、共著ということで、別の方のコラムが間に挟まってしまったりで、少々流れが悪い印象はあり。
基本的に「承認」だとか「理性」「感情」だとか、よく出てくるキーワードがちりばめられている。著者の言いたい根本(と思われる)は、「女性を尊敬すること」であり、つまりはチームワークだったり、コミュニケーションだったり、「女性」に限定されることではないかもしれないが、それはそれで「チームビルディング」として必要不可欠のことであり、なんらかの参考にはなった。刺激になったかどうかは微妙だけど。
二つ特にあげるとすれば、
「肯定力」という言葉。ときに否定から入る話し合いの場、という場面もでてくる。でも「肯定」することで女性は、いやチームメンバーは自分の存在価値やモチベーションを確認できるのだろう。これも「あたりまえ」のことなのかもしれないけど、フレーズとして「肯定力」というのがあると、ビビッドだと思う。これ、使う。
それから、ヘレンケラーの言葉として引用されていた、
「人間は、高く舞い上がりたいという衝動を持っている」
この言葉、ヘレンケラーが言ったから、という点でさらに重みを増しているけど、そういう人間の本質を頭ではなくて心で理解することが大切、と説いている。うん。これまで「アタマで」というアタマがあったことは事実かも。「ココロ」。難しいけど、これが「共有」する本質かもしれない。「アタマ」で共有しようとする試みは結構「行き詰まり感」があるからね。これは社員間でも、ビジネス(お客様)でも同じことかもしれない。
深い。
どうでもいいことだけど、著者のお二人が男性なのか女性なのか、そこに疑問をもって最初は読み始めた。途中でわかったけど。最初からあかしてくれればいいのに、ってちょっとだけ思った。
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2010/06/13
『大前研一通信 Vol189』
平成維新を実現する会...すみません、名前しかしらないので具体的にどんなポリシーでどんな具体的な活動をされているのかほぼ知らない状況で...もちろん「大前研一」さんは知っている。かなり前にどの著書も読んだことはある(と思う)。今回は、同会が定期的に出されている会員向けの「大前研一さんの語録集」のようだ。特集として、民主党政権における、「雇用対策」「財政問題」「郵政」「大臣発言」等について語っていることの抜粋(?)。
まあ、よくあるように、「この施策は意味がない。」「説明がない」「大臣の発言は適切でない」...云々で、新聞テレビ等のマスコミが叫ぶものと変わりは無い。どうも最近この手が苦手で、テレビの「解説」系は避けているのが実情。だって、「悪い悪い」と言っているだけで、じゃあどうすればということもないし、ましてやその対案を実現に持っていくためにはどうすれば、というところまで考えている発言が少ないから。ストレスがたまるんだよね、そーゆーのって。結構ちっちゃな会社のイチ組織内と似たような問題(否定ばかりする人がいる。カウンターオファーはもたない)かも。じゃあ、組織でそういうときどうするか。ムリヤリにでもポジティブな態度、発言をする。気持ちから変える。
そーゆー「コメント集」を読みたい。どうせなら。危機意識をごまかすわけではない。でも、前に進まなきゃいけないんだからさー。
政治、経済、危機なのはわかる。じゃあどうしていこう。自分たちではじめられること、これの提言がほしい。
先入観、切り口を変えるヒント
『ずるい!?』青木高夫
[10/92]bk1
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K-amazon ★★★
長野オリンピックで日本が団体優勝した後に実施された「欧米有利と思われる」ルール変更、日米貿易における「アメリカ優位の」関税調整による貿易摩擦...まずはそういった「ルール変更」に対して、「ずるい」と感じること自体は、「普通の感情」だと説明。そして目を視点を直接的なところから一歩引いて、それら「ルール変更がホントに日本にとって不利なのか」という視点での検証、さらに「ルール変更によってメリットを得た企業(あるいは国)がその後も持続的に成功しているのか」という検証まで。つまり目に見える範囲で「ルール変更」に対して感情的にとやかくいう段階を超えて、ことの本質まで見抜く、という、文調自体は平易で読みやすいものでありながら、こりゃけっこう「深い」本なんではないかな、っていう気がする。
日米の乗用車に関する項目の中で、一時期の「圧力」により日本車が輸出制限されたが、その間にアメリカBIG3は回復したのか?「圧力」がなくても「実力」で勝負しようと考えていたのかどうか。直近のサブプライムにより、結果「破綻」に陥ったBIG3の姿を見るにつけ、「ルール変更」は一時的には戦略的に行われるかもしれないけど、それを生かすも殺すも...結局他の企業戦略と変わらないってことかも。逆に「制限」が厳しくなった中、現地生産へのシフトや、それだけでなく、「実際に運転する」顧客をベースに戦略を組みなおした日本企業、日本車は「圧力」を耐えた上で「勝ち」に結びつけた。「制限」の中で考えていくことはすなわち「成長」をもたらす、というようなくだりがあったが、これには同感。「いつでも」ではなく「期限までに」という枠がないと実行に移さない環境は目の前にいくらでもある(自分もそれに近い)。ある程度の「枠」はあったほうがよいし、それが「ルール」であるのかもしれない。そして「ルール」については、ただ盲目的にそれを遵守する、というよりは、ルールの根底にある理由、それを考えたい。与えられたものをやっているだけでは成長しない...そんなフレーズはよく耳にするけれど、こと「ルール」については疑いを持たずに守る、ということが他の選択肢がないような状態が大半ではないかな。天邪鬼である自分もそんな疑いはもっていなかった。国際舞台で活躍する著者だからこその視点かもしれないけど、これは目の前のビジネスでも十分生かせる。
いっきに読める分量だし、本全体を通しての「勢い」も。読後も気持ちのよい本ですね。
2010/06/12
”異次元”な感じはぬぐえない...
『スープで、行きます』遠山正道
[9/91]Libary
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K-amazon ★★
商社から「社内ベンチャー」を起こして、異分野の「食」に挑戦、失敗を乗り越えて「勝ち組」となるまでのサクセスストーリー。そしてさらに挑戦は続く...という「感動モノ」のはずが、どことなくノリきれない。なんでだ?「あの」SoupStockTokyoのアイデアから企業、そこにあった失敗とそれを乗り越えたもの...興味がないはずはないし、期待通りの展開。でも...「感動」がない、というか「熱い」感じが伝わってこない、というのか。
著者(=起業、社長)が、一流商社マンであるが故の「へだたり」なのか「嫉妬」なのか、それともあまりの成功レベルに想像力がついていかないのか...食へのこだわりとか、チームワークとか。書かれている何倍も苦労されて今があるんだろう。成功していない(さらに挑戦すらしていない)自分がなんやかやいう資格はまったくないし、ましてや否定するものではない。けど、なぜか現実感が...距離があるんだよね。お最初から最後まで。けして高飛車な書き方ではないし、読後の感じイメージもよいんだよねー。AMAZONのレビューにも見られるけど、「きれい」という言葉が一番当てはまるね、「きれい」すぎるくらい。
ちなみにこの店は興味はあるけど入ったことはない。スープのお店だというはわかってたけど、「こだわり」はわからなかった。大抵はこういう本を読んだ後にその店に興味を引く(パタゴニアとか)んだけど、スープのお店に行く興味はわかないなあ、いまんところねえ。
自分に置き換えると、これほど「起業」精神は宿っていないけれど、彼の「こだわり」や、チームへの考え方など、所謂ビジネス本が指南するようなものとは違って、個性的で情熱的だ。これは参考になる。手法を真似ることはしないけれど、マインドは真似できる。刺激、にしたいね。店を見る度に「刺激」を思い出せるようになれば読んだことがプラスになる。
2010/06/08
考え方に共感!
『「先読み力」で人を動かす』村中剛志
[8/90]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
プロジェクトマネジメントにおいて、「プロアクティブ」先を読む力というのが有効である、という考え方を綴った本。「プロジェクト」という言葉をどの範囲でとらえるか、だけれども、「先を見通して打てるべき手は先手を打っておく。それによって結果、効率的になる。」という考え方には同感。同時に「後追い」の仕事ばかりをして、一見「仕事をしている」ように見えるが、それは生産的ではない可能性がある、という指摘にはドキっとさせられる。
プロアクティブなスタンスで仕事を進めるための手法を、そのツール(時間管理のためのスケジュールとか)も含めて紹介しているが、これに関しては、それぞれのプロジェクトの性格もあるので、そのまま使えるかどうかはわからない。自分の仕事(大きく「プロジェクト」と捉える)で見た場合にも、それをかなりアレンジする必要はある、と思えるが、でも「やってみる」気にはなった。チーム全体が「プロアクティブ集団」になれるよう、まずは自分がそうなる必要がある。これは繰り返し説かれていたが、まさにその通りだろう。概念的にでも「先手」という進め方を理解できれば、永遠の課題でもある「共有(情報、意識含む)」や「意識改革」につながると思われる。自分から第一歩。確かに自分が従事している「業務」の大部分は「リアクティブ」=後手の作業であるような気がする。リーダーがこれではいけないんだよね。身にしみるなあ。よく言われるように「セミナーや本で共感する人は多い。けれどそれを実行に移す人は極めて少ない」というところに嵌まらないように...実行するのみだ。実行する対象は目の前にある。たくさんあるのだから...
そのあたりの自分への意識改革(行動改革)のきっかけにはなりそう。本書の大部分は、どちらかといえば「方法論」=テクニックの紹介のように感じられたのは残念。冒頭に書かれているように著者は、「ツールとマインド、両方を持ち合わせていないといけない」という考え方をお持ちだと思うが、少し「ツール」に寄っているように読んでしまった。
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2010/06/06
「営業」には響くんだろうか
『かばんはハンカチの上に置きなさい』川田修
[7/89]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
仕事でおつきあいのある人から薦められて読んでみる。プルデンシャル生命でトップセールスマンである著者の「成功術」がつづられている。タイトルからわかるけど、靴を脱いであがる場面(保険の契約はそういうことも多いのであろう)で、かばんを置くときに「床が汚れない為に」ハンカチを敷いてその上に...という話。特に「営業」ではない自分にとっては、これが「マインド」の話、つまり、お客様のためを思うことでそういう行為が自然にでてくるようになることが大事、というのがよかったんだけど、若干著者の主張が、こうしたほうが「営業的に」受ける、というテクニック論調である気がして...
なんだかそういう見方になってしまうと、「営業テクニック」色が強い本であるように思えて生きて知った。
確かに著者はそんなテクニックを駆使するだけでトップになったのではないだろう。マインドがなければできる話ではない。しかも著者の業務成果点は「紹介件数」だという。これってそうとう顧客との関係性が出来上がっていなければできるものではない。そういう「関係性」構築のために著者が何をやってきたか、どう考えているのか。そこが書かれているんだとは思う。だけど自分には伝わってこなかった、というのが本音。
なんとなく見えてくるのは、著者も若い自分は、必死になってあらゆる手を尽くして数字を作っていったのだと思う。そこには社内での競争、同僚を蹴落としたり、かならずしも顧客のための提案ではなかったり、とかもあったと思う。そこから現在の著者のマインドに「変化」するのに何があったのか、何がきっかけになったのか、そんなストーリーを読んでみたい。著者がトップセールスマンであることは間違いないので、その本質を語れるのは著者しかいないのだから。
本書は「営業」には響くんろうか。この本を薦めてくれた人も、そう「営業マン」である。
営業担当者でなくとも、本質は同じはずだよね。本書の中では営業マン向けに呼びかけている箇所が多いのかもしれない。なんとなく違和感を感じたことは事実だ。
この「ゆるさ」は自分にあってるかも
『しがみつかない生き方』香山リカ
[6/88]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★★★
精神科医がモノゴトをどういうふうに見ているのか(著者の個性はあるかとは思うが)、興味津々だった。テレビで見ている限り、「ちょっと偏った」イメージを著者に対して抱いているが、新聞等で見る著者のコメントは客観性や専門性、信頼性を感じさせる、というイメージをもっている。そんな著者の本を初めて読む。
なんとなく「押し付け」感のある著作をイメージしていたが、その先入観は間逆であり、そこには「そんなに肩肘はらずに生きていこうよ。だってみんなそうなんだし」というゆる~い主張があった。これがまた心地よい。(これはちょっと「アクセント」的な意味もあると思うが)最後の章が
<勝間和代>を目指さない
というタイトル。つまりは勝間さんのようになりたい、と強く思うことは、それはそれで大事なことだが、ほとんどの人が<勝間和代>にはなれないわけで、「なれない」となったときに自己否定をしてしまう...だから目指すのはよいし、成功者の本を読むのもいいけど、「それだけ」=「それ以外は失敗」という観点になってはいけない、という内容である。
この「ゆるさ」。これってポイントかもしれない。最初っからこの「ゆるさ」ではいけないんだと思う。まずは「勝間本」に刺激を受ける感受性は必須だろう。これがないとそもそも成長するきっかけがつかめない。んでフェイズ2。ここで「それだけ」に視野を限定することなく、一方で「ゆるさ」を持ち合わせる、というバランス感覚が必要になってくるんだろうと思う。
この本にある、「お金にしがみつかない」「仕事に夢を求めない」は、逆に「フェイズ2」になって初めて生きてくるんではないか。最初っから「しがみつかない」だと違う方向にいってしまうからさー。
つまり勝間vs香山、どちらがよい、という話ではなく、どちらも必要、ということ。
そこまで著者の本意を「読む」ことができると、その文調の爽快感もあって、非常に心地よく読める。
自分でも意外だけど、香山リカのスタイルは結構いいかもしれない。
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羊か...そもそもそこが疑問だったりする
『頑固な羊の動かし方』ケヴィン・レーマン、ウイリアム・ペンタック
[5/87]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★
なんとなく想像できる範囲だけど、チーム(部下)を羊の群れに、リーダーを羊飼いに例えた「リーダーシップ論」。読み始める前から若干「羊の群れに例える」こと自体に抵抗を感じていたけれど、それを払拭できるような内容ではなかった。
つまりは羊たちを「群れ」としてひとつと考えるのではなく、個々人を承認すること、個々人を愛すること、個々人の性格に合わせた仕事を与えること...そして草に向かうべき道筋を示すのが羊飼い・リーダーである、という、なんとなくもう「読めちゃった」感じの内容から超えられていなかった。
唯一(これも新しいことではないけど)羊たちに信頼され、「そこにいる」ことで安心感を与えることのできるような関係をつくらなければならない、という点は確かにそうだと感じたが、でも(性格悪いけど)うがった見方をすると、「羊のような(本来関係性をもたなくてもすむような)下等な動物であっても信頼関係が必要である」という「上から目線」なのではないか、と思えてもしまう。リーダーを羊ではなく、羊飼い=羊ではなくて人間、という設定にしているからだろう。そこははたしてそういう前提でよいのか、自分としては疑問。まあ、牧羊犬でないことはあきらかだけどね。
あと、「リーダーシップを発揮するためには、自らのリソースをすべてそこにつぎ込むくらいに集中しなければ実現はできない」というのは、同感できた。「人を動かす」(羊を、か?)のは、相当なエネルギー、パワーが必要であることは間違いない。リーダーであることは、自分よりも他人のパフォーマンスを高める、ということを心の底から考えることができなければならない、そうなのかもしれないね。「目標を設定して、範囲を決めたら、その範囲内では自由に動いてもらうこと」が肝要だと説く。あれやこれや口出し
をして「コマを動かす」という考え方をしたらうまくいかない、ってことだよね。
ただ、やっぱりそもそもの設定に疑問を感じることは消えない。羊飼いと羊の群れは、大きな目標を共有することはできないよね。羊は食べるべき草を求め。羊飼いは羊を(最終的に)利用することを求める。そこにズレがあることがリスクになりそうな気がしてさ...
他の著作のほうがよかったか...
『経営はロマンだ』小倉昌男
[4/86]Amazon
Amazon ★★★★
K-amazon ★★
「クロネコヤマトの宅急便」を生み出した経営者の伝記。いまや当たり前のレベルになっているが、そういえば小さい頃に「小口個配送」というものはこれほど一般的ではなかった気がする。近々では「オカミ」に対抗する、というイメージが強い同社だがその発想から、実現、試行錯誤の上での成功、さらなる進化、社会的なインフラとしての認知...この過程では相当のハードな経歴があったことを改めて、というか初めて目の当たりにした。自分の仕事上、同社を利用させてもらっているが、考えてみればこれは著者はじめ同社の気の遠くなるような努力がその根底にあった、と思うと感慨深いものがある。
これまであるものを超える勇気、本来はここがそうであるべきなのだが「ユーザー志向」という発想とは程遠い官製事業に対する抵抗。
経営者としての哲学を感じられるし、社会インフラを作り上げた、その根底が、「自分の身内の衣服を送ろうとしたときの不便さ」に端を発している、といった根本的な利用者志向は、その徹底振りに感服する。口では「ユーザー志向」といっている自分たちが、いかにまだまだレベルが低いか(実行力、真剣さ、という側面で)思い知らされた。
本書は、日経新聞の「私の履歴書」のまとめ、ということなので、著者の生い立ちなどが、宅配事業の立ち上げと同じレベルで書かれている(連載モノのまとめ、だからしかたないけど)ため、全体として読み物としては抑揚がいまひとつないのと、やはりこれも「まとめ」の弊害か、「あとがき」がその直前に書かれていた福祉事業のことに関することのみ、というジレンマはあった(自分だけかもしれないけど)。個別の方法論的なものはもちろんないのでそういう面での参考にはなりにくいけど、刺激は十分すぎるほど受ける。やっぱり何かを成し遂げた方は、その真剣さ、執着心、もっといえば「頑固さ」が違う。まだ自分は甘いな、と思い知らされる。
「利益とは目的ではなく、収入から経費を引いた結果である。一生懸命いい仕事をしてその結果、ご褒美として利益が出る。利益が出ることで事業が長続きする。目的と手段を取り違えてはいけない。」
本質です。
アプローチは面白い。
『アニマル・シンキング』ベラ・ブライヘル、サリー・バルエル
[3/85]Bookoff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
クリエイティブなアイデアとはなんぞや?そしてそれをひねり出すコツはあるのか?仕事だけではなく、日常でも「意思決定」をせまられる場面は相当にある。そんなときに「クリエイティブ」なアイデアを出すにはどうしたらよいのだろう。これは仕事上というよりも自分自身のスキルアップとして重要なポイント。著名なアイデアマンだけではなく、身の回りでも「あーそんな考え方があるんだよね。すごいな。自分がそういうアイデアを出すためには何が不足しているんだろう」って思うことがある。これを本という情報から身につけるのは困難だとは承知しているが、なんらかヒントがほしい。んで、この手の本はわりとよく読むほうだ。
そんな中でこの本はちょっと変わったアプローチ。タイトルからも想像できるが、ジャングルの動物たちが、人間のジャングル進出を阻むためのアイデアを、それぞれ自らの特性を元に考えていくストーリー。
ライオンは、「組織マネジメント」を軸に考える。誰が何をやるのか、その結果全体はどうなのか。
イヌは、相手に与える印象を変えることをベースに考える。自分の認識を変えれば相手のそれも変えられる
チンパンジーは、すでにあるものを「モノマネ」することでバージョンアップを考える
シマウマは、白黒両面からモノゴトを見ていくことをベースにする。
コウモリは、モノゴトを逆の視点からみていくことでアイデアを出していく。
カメレオンは、状況に応じて対応策を変化させていくことをベースにする。
チョウは、ひとつのパターンに閉じこもらず、解決策を進化させることをベースに考える。
...等々、動物たちの特徴を元に、考え方をそれに当てはめ、視点の多様化の重要性を説いている。
面白い。読み物としてもイケテるし、考え方のバリエーションを増やすために「シマウマのように考えてみる」という発想で何かが見出せるのかもしれない。前半の「動物たちの物語編」に比べて、後半の「解説編」はやや、つまらない感じもしたけれど、考え方、そして「考え方を生み出す考え方」として興味深い。ただ、今の時点では(読み終わったばかりで目の前に「例題」がみあたらない)これらをどうやって生かすのか、そもそも果たして生かせるのか、それはなんとなく「不安」である。というか見出せていない。なにかにぶち当たったときに「シマウマだったら...」という発想に、まずその発想ができるのか?近々に「テスト」
する場面は現れると思うけれども...
後半の「解説編」で言われている、「ワークショップがあるんで実際にはそちらで」みたいな案内なんだけど、これって気になるなあ。みんな動物のカブリモノでもするのか(笑)。ひとりでやるより複数でテストしてみたいね。残念ながらおそらくワークショップは日本ではやっていないのだろうけれども...
池上さんの「伝える力」はさすが。
『見通す力』池上彰④
[2/83]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★
情報収集から仮説を立てて、それを検証して、先を「見通す力」を身につける...さすが池上さんの本は面白い。それぞれどのように情報収集するのか、「見通す力」を身につけるためのテクニック等々、参考になるし、読んでいくうちに自分でもできそうな、やってみようと思う気持ちになる。
「読む量が減った」とはいえ、年間300冊を読み、新聞、雑誌等からも情報収集し、「限定的」ではあるがインターネットからも...職業とはいえ、そうして集めた膨大な情報を元にそこから絞り込んで世の中を見ていく。視点がすばらしいなあ、って感じる。
テレビ報道に関しては、そこはテレビキャスターを務めていらっしゃることもあって、細部まで見越していて、「現場のない情報」は取り上げられない(例えば農地法の改正等よりもマイケルジャクソンの死亡報道が優先される)という視点、そして報道はすべて「編集」されたものである、という視点。冷静な視点ももちつつ、「ホンモノの」情報を「見通す」というポイントがさすがにわかりやすい。
あとこれは「アトヅケ」なのかどうかわからないけど、直近の自民党の3首相の「先」を見通した流れは面白かった。
いわく「二世議員は親(祖父)を超えることがひとつの目標となる」。
総理大臣になることで父を超えた安部さんは、総理の座にそれほどの執着はなかった。
父が実現できなかった「サミットの議長役」を実行するまでは辞められなかった福田さん。
長期政権の祖父に対して、「短命」のリスクを背負って解散に打ち出られなかった麻生さん。
こういう見方は面白いねえ。そしてロシア外交を実現した祖父を超えたい鳩山さんは、北方領土問題に取り組むのでは?という
「見通し」は、あたっていたのかどうか...現実的にはそれに取り組む前に挫折してしまったけれど。
テクニックとしては非常に面白かったんだけど、いまひとつ「見通す力」を身につける理由、という根幹の部分がいまひとつわかりにくかった。そこだけ、かな。
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2010/06/01
まだまだいける!気分に。
『人生、勝負は40歳から!』清水克彦
[1/83]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★
電車の中で表紙を見せるのにためらってしまうようなタイトルだが...まさに自分に必要な書であった。著者は民法ラジオのプロデューサー、大学講師、作家の「3足のわらじ」をはく「40代」。本を読んでいると、アクティブなおじさんたちが気になるようになるが、自分も同じ世代、まだまだいけるかもしんない...と思わずにはいられない。
確かに30代、とくに前半までは自分のことばかり気にしていた。そのころから考えてみると自分の考え方に多少の「変化」が訪れていることは自覚できる(自覚できるのは「体力」ばかりではない...)。それを「成長」と自信を持っていえるのかどうか...これから、だね。著者自身も書かれているが、自分の成功体験、積み重ねた経験値を後輩たちに共有するのに抵抗があった、という点。自分もそうだったかもしれない。でも今はそんな気が起きなくなった。もちろん年齢だけではなくおかれた立場、ということもあるけれど、後輩たちが「成長」する過程を目にすることが結構楽しいと感じる。これは「親」という立場にもなったことが影響しているのかも。
40代、何かを始めるにはけして遅くはない。多くの40代が「何かを始める」ことをしていない(おそらく多くの30代も)中で、これはアドバンテージを得られるのかもしれない。とにかく行動だね。自己啓発。自分が本を読み始めた(そしてそれなりに続いている)のもそんな意識がどこかにあるのかもしれない。
とはいえ、若手に比べて残り時間が少なくなってきているのも事実。回り道を回避する必要もある。これについては、していい回り道と、避けるべき回り道があるとは思うけど。
著者の実体験に即しているためか、強烈な「あれをしなさい!これもしなさい!」という書き方ではなく、自然体で、でもこれまでの経験は生かして、変えていきましょう、というスタンスは非常に心地よい。多少の「無理をする」必要はあるとは思うけれども、「そういってもらうと肩の力が抜ける」感じはする。この感じはおそらく「40代」にしか伝わらないだろうけど。読んでいる間、強烈にモチベーションが高まる、ということはなかったけれど、ジワジワと「やってやろうじゃんっ」っていう気持ちになったのは事実。
あとは、そうやって、がんばってる40代を30代はどう見ているのかなあっていうのが少しだけ気になるところかな。そういう意識自体、ダメなんだろうけれども、周りに若い世代が集中している環境なんで、やっぱり気にはなる。それによって自分のスタイルを変えるつもりはないけれども、少なくとも「いい影響」を及ぼしたい。そんな気分。
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