2010/10/31

初「松下」は、可も不可も...

人生と仕事について知っておいてほしいこと
人生と仕事について知っておいてほしいこと
  • 発売日: 2009/12/22
  • 売上ランキング: 22600


『人生と仕事について知っておいてほしいこと』松下幸之助
[21/186]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

まだまだ「多読」とは言えないまでもそれなりに本を読んでいる自分が初めて手に取る「松下さんの本」である。もちろん、読んでいる中で引用とか、「影響を受けた人」という類で名前は出てくるし、興味がなかったわけではないけど、どうも「経営」というイメージがあって、今置かれている環境とは違うだろうなあ、という「思い込み」がアタマから離れず...
この本は、著した、というよりも、「若手」に向けての講話、講演からの記述なんだろうと思う。そんなに厚くない、ページ数にすれば薄いほんでだけど、すごい読むのに時間を要した...一点は(単純に)読みにくい、ということ。文字にされた関西弁ほど読みにくいものはない(個人的、レベルですね)。もう1点が、「敢えて」深くよんでみようと思って、興味があることころは2回読みしたから、というのが理由。
...といっても、まだまだ自分が未熟であるが故、この本から何か薫陶を受ける、というところを見出すことはできませんでした...情けないですが、それしきことを見つけられず。数点あげるとすれば、

・賢いだけではいかんわけやな。そこに熱意がないといけない。賢いだけの人間は...理屈ばっかり言うから。
・むずかしいことよりも平凡なことのほうが大事である...些細なことをおろそかにしない心がけ。

誰あろう、松下幸之助の言葉であることが「重い」よね。よく目にするフレーズだけど、多分そういう本を書いている人も、ここから引用してる、要は元は「松下さん」なのかもしれないね。本を読んでいる上体ですら、「そういわれたら、言い返せない」重み、深みを感じる。やっぱり「思い」なんだよね。松下さんも「テクニック」のことは振れず、さらには「賢い<熱意」とまで明言される。そうなんだよね。それは今でもちっとも変わっていないんだよ。

あとは...いまだからこそ違和感はないけれども、松下電器(現パナソニック)を「公器」として捉えている、そしてそこで働くものへ、社会貢献を望んでいる、これってすごい。おそらくある程度の規模からそういうのが前面にでてきたのかな、って思う。まだまだ自分の環境では「社会貢献」とは恥ずかしくて言い出せないけど、少なくともお金を出して買っていただいている「お客様」にとって、「幸せ」をつかむお手伝いをしたい。なんか「キレイゴト」なんだけれども、最近思っていることです。社会貢献ではないけれど、こちら側のことばかり考えているのは限界がある。これに(ちょっとだけ)気づくのに20年かかったけど。

所謂「自己啓発本」とかの類とはまたちょっと違う、間接的にヒントを見つけにいく、そんな本である印象。流してよんでいては何も残らないけど、なにか「探しにいけば」みつかる。見つける。


人生と仕事について知っておいてほしいこと

2010/10/28

さらさらっと...読書時間の短縮に

ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術 (角川oneテーマ21)
ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術 (角川oneテーマ21)
  • 発売日: 2007/10
  • 売上ランキング: 471719

『ひねり出す時間術』清水克彦②
[20/185]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

ラジオプロデューサー、作家、大学講師、コメンテーター...「4つのわらじ」をこなす著者(最後のは「?」だけどね)のタイムマネジメントテクニック。前に著者の本を読んだ時にも思ったけど、やっぱり「サラリーマン」である素地が、「現実的」な内容を作り出している感じがする。特に「ウロコ」はないものの、非常に読みやすく、自分でやってみようという感覚を持ちやすい「テクニック」が紹介されている。現実的には、「そうはいうけどそれぞれ置かれた環境があるんだぜ」という言い訳をしがちではあるが、著者も最後の締めくくりに書かれているように、「時間管理術の本は数多あれど、実行してみなければ価値はゼロ」というのはまさしく真実。「同意」ではなにも変わらない。副題にあるような「30分ジグザグ」(頭を使う仕事と、作業的な仕事を30分ごとに繰り返す)のがいいのかどうか、いや自分にあっているのかどうかはわからない。感覚的には「無理だな」と思ってしまうけど、やっぱり「やってみる」ことなんだよね。
当たり前だけどできていないこと、もっといえば知識としてもっているけれど実行していないこと、結構ある。肝に銘じたい。今日これからでも一つでもやってみようか。
・○時54分スタート...開始時間の徹底
・動きだしてから考える...実行が先
・「3分仕事」「10分仕事」のリスト作り...スキマ時間を無駄にしない
・やらないよりマシという考え方...たとえ数分でも「実行する」と「しない」では大きな差ができる
「4つのわらじ」を目指すつもりはないけれど、複数のことを同時に(なんらか各々関連性を持たせて)実行する、というのは興味深い。なんとなくそれがいい方向に向かうひとつのヒントになる期待は持てる。
1点だけ、「年長の意見は大事、若い人の意見も大切」のところで、その理由が「若い人が将来自分を追い抜いて自分の上司になる可能性もあるから」というのは、ちょっと...「若い人の意見を大切にする」のは大事だよね。けどその理由が「保身」になってるんじゃ?これでは自分を高めることとは矛盾するわね。ここだけ苦笑してしまった。
極端に短い(薄い)本ではないけれども、すごく早く読めます。これも読書時間の短縮、時間術でしょうかね...少なくとも、「忙しい」「時間がない」という言葉を発するのは止めようと、意識していわないようにしようと思う。これまでも意識していたけど、どっかで気持ちがでている可能性は否定できないので...

ひねり出す時間術―30分ジグザク仕事術 (角川oneテーマ21)

2010/10/27

「ラク」とかあまり関係ないんじゃ?

ラクをしないと成果は出ない
ラクをしないと成果は出ない
  • 発売日: 2008/05/23
  • 売上ランキング: 30706

『ラクをしないと成果は出ない』日垣隆
[19/184]Librarry
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★☆☆☆

タイトルを額面通り受け取ったわけではない。おそらく「深い」意味で「ラク」をするということなのだろう、「ズルい」意味ではなくて...と思った。仕事を進める上でのTIPが、見開き単位で100個並ぶ。100個あれば自分に合うもの、合わないものは出てくるだろう、というレベルで読んだが...正直見つからず。タイトルの「ラクをしないと」云々というものに合致するようなものは(「深い」意味でも「ズルい」意味でも)見つからず、それだけならまだしも「あーいいね!これ」というものもなかった。見つけることができなかった。「どれも既にできてるもん」ということではけしてないけれど、よく言われてるよね、というものがほとんど。「あーゆー考え方、ヒントってよく目にするけど、こーゆー見方もあったんだ」ということは得られず。
過去をひきずらない
変化を求める
何をしないか考える
等々...見開き2ページで「深く」は追求できないのかもしれないけれど、各項目についての「本文」が浅い、薄い。表面的なことが目について、著者がホントに伝えたいのはこういう(別の)ことなんじゃないかな、っていうことを「深読み」してしまう(途中までは、ね。後半はそれすら面倒になって...)。
あと、各項目の最後に「まとめ」として「1行フレーズ」があるんだけど、これが本文の内容とマッチしていない箇所が多かった。それゆえ余計に、「著者が言いたいのはいったい...」という迷いを生じさせてしまう。文庫版も出ているようだから売れてるんだよね、きっと。「タイトル」勝ちかな。「ラク」したい人が多いってことか...「純粋に」ラクしたいと思っている人にはヒントは少ないかも。かといって「結果ラクになるように工夫しよう」と考えている層にも新たな気づきは乏しく...んんん

ラクをしないと成果は出ない

2010/10/26

「予言者」が存在しました。

情報の文明学 (中公文庫)
情報の文明学 (中公文庫)
  • 発売日: 1999/04
  • 売上ランキング: 13061

『情報の文明学』梅棹忠夫②
[18/183]bk1
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★★☆

『知的生産の技術』を読んで、トリコになってしまい梅棹先生の2冊目。農業社会から工業社会、そして情報社会へ、という流れを著者の専門である「文明学」見地から説く。この「進化」は「前の時代」を必ずしも衰退させるものではなく、工業化によって農業の効率が急激に上昇したように、すべてを包括的に捉えるべき「進化」であるというところに特徴がある。そして「情報産業」の進展。主として「放送」産業が例示されているが、運輸やマスコミ、料理や教育、宗教までも、その「情報」的な見方をしている。すなわち、工業製品であってもその機能(=工業的な価値観)は既に「当たり前」の領域であり、それとは一線を画したデザイン、使いやすさといった「情報的な価値」がその比重をますます高めている、ということ。情報産業=コンピュータといった短絡的な結び付けにとどまらず、これからの社会を予言、しかも的確に予言しているといころが、「今書いているんじゃないか」って思えるほど、鋭い視点。
なによりも、著者が「情報産業論」を書かれたのは、1962年。もうすぐ50年になる。その時点で、工業的な考え方の限界、というか、そこに「情報的」付加価値の重要性を指摘しているところがなにより鋭い。怖いくらいするどい。そして「情報発信」についても。これから先「発信」ということが予想される、と説くが、「この前」に発生したブログ(当時はもちろん言葉も、概念すらないと思われる)等の登場、普及を予言されたということ。
さらには、コンピュータについても言及されており、この時代に「家庭内での情報機器としてのコンピュター」の普及を「予言」されている。そんなことはほんの一部の人の「夢」であったであろう時代に...この著者の「モノの見方」はどこから来るんだろう?おそらくは「微妙な変化」を肌感覚で捉えて、それを肉付けしていく過程があるのではないか。ただ単にアンテナをはっているだけでは「情報」は引っかからないと思われ、ベースとなる知識は常にブラッシュアップされていたのだろう(もちろん、このあたりには全く触れられておらず想像にすぎないけど)。
「今読んでも遜色ない」レベルではなく、「その時代でこういう考え方はすごいな」レベルでも、本書を読んだ価値は生まれてこないと思う。文字だけを読めばその範囲ではあるが、こういう「考え方」ができるような領域に少しでも近づくためにはどうしたらいいのか、どう行動すべきなのか。そこをじっくり「考えて」みるべきだと痛感。『知的生産~』に比べると、ひとつの論文が軸になってそれの周辺(評価、反響等)を寄せ集めた感じにはなっているが、十分読み応えのある内容。

情報の文明学 (中公文庫)

2010/10/25

基本的なことだけど、重い。深い。

ビジネスで失敗する人の10の法則
ビジネスで失敗する人の10の法則
  • 発売日: 2009/04/21
  • 売上ランキング: 64301

『ビジネスで失敗する人の10の法則』ドナルド・R・キーオ
[17/182]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「あの」コカコーラの社長が書いた「失敗の法則」。「成功する秘訣」を聞かれて、「失敗」する方法ならば思いつく、という発想で、逆説的な手法にてかかれた「アメリカっぽい」(個人的なイメージか)内容。
・リスクを取ることをしない
・自分を過信する
・官僚組織で運用する
・一貫性のないメッセージを送る
等々、これまでも目にしたことだが、「逆」にいわれると結構響く。これをやったら失敗する。さらにその「失敗」はすなわち経営層である「人」に起因するものだと、自らトップであった著者が説く。これほどの説得力はない。なかには、
・専門家、外部コンサルのいうことを全面的に受け入れる
といった、さらに皮肉が利いた「法則」も挙げられているが、基本的に、ここに掲げられた「法則」を集約すれば、
・「考える時間を持たない」
・「仕事への熱意を失う」
ことになるだろうと思う。これってつまり基本だったりする。字面だけをみてもこれをやったら成功しない、ということはすぐにわかる。でも、実はこれをしてしまっていないか。「考える」ことを放棄する、または考えないようにする、という行為を意図的に、あるいは無意識的にしていないだろうか。自分を振り返ってみるとちょっと怖い。これ(考えないこと)が「習慣」になってしまったら、(著者が「最も重要」という)リスクを取ることもしなくなる。官僚的な仕組みにする(考えなくてすむから)、熱意を失う....怖いねー。
じゃあ、「考える」ことを意識しよう。これって「意識」しないとできない。無理矢理でも意識すべし。だって、最も「考えなくてもいい」環境と思われる世界企業のトップがそう言っているんだから。「横綱がいちばん稽古する」的なことだよね。「幕下」がそうしなくてどうする。だから意識する。常に意識を持つ。
「逆」とはいえ、刺激をかなりもらえる内容。慢心していないね。すごいね。

ビジネスで失敗する人の10の法則

2010/10/22

やっぱり難しいんだね

『なぜ、あの会社だけが選ばれるのか?』宇都雅史
[16/181]Rental
Amazon ★★★★★
K-amazon ★★★☆☆

EC事業を支援する会社の社長が著した、「あの通販会社が元気な理由」という内容。帯には、まさに同業界に足場を置くモノにとっては、「雲の上」の存在の名前が並ぶ。自分は(一応)この業界(EC)に6年存在しているが、著者の会社とは付き合いがない、というかお名前を存じ上げませんでした(ウチのレベルとは異なる世界に存在されているのではないかと)。また、そーゆー業界にいながら、そういう業界の本ってあまり読まないんですね。なぜか。どうも、特にネット通販のノウハウ(集客やシステム的なテクニック)と、「本」って相性が悪い気がします。もちろんEC業界で働いている人もレベルがいろいろあるんだけど、誰に焦点を当てて本を書くのがかなり難しい。本書に書かれている内容(テクニック面)も、正直ナガイコト「ここ」にいる自分にとっては、「いまさら」的なところが多い。というかすべてそう。かといってその道の専門的なことは本を読むよりは実践した方がよかったりする。もう一つの理由は、(本書は書かれたばかりなので「まだ」大丈夫だけど)そのテクニックとかメニューとかがすぐに陳腐化する、ってこと。特に動きの速い業界なので、書かれている時点では「最新」であっても、すぐに淘汰されるか「あたりまえ」になってしまう。つらいね、この手の本はそこがつらい。また自分がなぜ本を読むかというと、そこから何かしらのヒントを、ひとつでも見出す、ということのためであり、それは「ちょっと遠い」世界の本からのほうが見出せたりするんだけど、自分がいる業界の内容はあまりに身の回りに近すぎて「即物的な」ものを求めてしまったり、「それ、ちがうね」っていう曲がった意識をもってしまったりするんで、なかなか自分の読書スタイルと合わないんだね。
本書はテクニック的なことと同時に、通販を生業とする人が(ECだって通販です)どういうマインドを持って取り組むのか、どういう企業姿勢が必要なのか、成功している企業はこういう考え方だ、ってことが書かれています。ここに紹介されている企業さんは確かにすばらしい考えをお持ちで、「今日の売上よりも明日の売上」を考える土壌をおつくりになっている。そんな感じです。しかしながら業界にいるといろいろと聞こえてくるところもあり、当然ですが、そのような企業においても「今日の売上」に必死で取り組んでいる方々がいるわけで...一定規模はそういう方々が数字を作っていることもまた事実。ただ、それを超えて伸びている企業は「明日の」という考えが根付いていることは確かですね。
実はいくつか「やってみよっかなあ」っていうヒントはあったりした。あと、
「ネットは欲求喚起に対しては弱い」
という、自分がこれまでもやもやっと感じていたことをスッキリさせてくれるフレーズもあった(これは、「ネット販売」という特性を考えましょう、他のメディアとすべて一緒に考えたらだめ、ということ)。本書を読んで改めて、っていうわけじゃないけど、一回棚卸をする必要があるかなあって感じてます。

なぜ、あの会社だけが選ばれるのか?-成功し続ける会社がやっているたった3つの仕組み

2010/10/21

読み物プラス人生論。傑作かも

『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ漁船で学んだ』齊藤正明
[14/180]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

フツーの会社員(研究員)が突如40日以上にもわたって「マグロ漁船」に乗ることになり...その「航海」の中から数々のことを学び取った、というタイトルそのものの内容。著者の乗船「前」同様、自分のイメージも「マグロ漁船=劣悪な環境、荒ぶる漁師たち...」という印象がある。もちろんそれが否定できない側面はあるのだろうけれども、航海中船酔いや密閉された空間の中で戸惑いながらもいろいろと漁師たちから教えられた「教訓」の数々。
所謂「コンサル」的な読み物ではない。あくまで著者ご自身が体験された「非日常」で、どんな会話から何をつかんだか、という話。多くは下船後に振り返ってみた時に改めて想起されたものであろうけれど(そんな「人生論」を逐一感じ取っているような環境ではないだろう)、イメージしている漁師のキャラクターとはかけ離れて、「陸(おか)」の人間には感じ得ない、そこから「人間として」感じるべき教訓がたくさんでてくる。
・自分でどうしようもないことへの対処方法
・今できることをやること=ポジティブシンキング
・アドバイスの受け方
・愛情のある叱り方
・技術的に未熟な者の立ち位置
・共有の意識
・コミュニケーションの方法

コンビニも携帯も、病院もない世界で、極論ではなく「死」と向かい合った環境で、且つ同じ人間と狭い船内で何日も過ごす環境で、生きる術が身につくのはある意味生物学的に当然であるのかもしれないけれど、本書で触れられているような漁師たちの「人生訓」が実際にその言葉で語られていたら、これほどの「学び場」はないんではないかな、って思う。「本当?」と疑ってしまうほど、漁師たちの「生き方」は素敵で、魅力的だ。自分はそうはなれない(環境をそこまで変える勇気も若さもない)が、そういった人たちに触れたい。間違いなく自分にとってプラスになるだろう。本書を読むだけでもかなりの規模でプラスをいただいている。
おそらくは漁師でもなんでもなく、理由もわからずマグロ船に乗った著者は、「陸」で暮らす人間として「未熟」であったのだろうが、きっと「素直」だったのだろう(そうならざるを得なかったのかもしれないが)。漁師たちが、本書にあるような人生訓をそのままの言葉で語ったのではないのかもしれないが、その会話から、自分の環境に置き換えて考えたり、自分の言葉で考え直してみたり、そんなスキルを以ているように思える。それゆえ、余計に吸収するものが多かったのだろう。
処世術ではなくて、生きていく、よりよく生きていくために必要な本質。それを学んだ著者をうらやましくも思う。かといって自分がマグロ船に乗りたいとは思わないけれど...
タイトルにある「会社人生に必要な知恵」を学んだ著者が、その後会社を辞めている点は少しひっかかったけど、そのまんまのタイトルも本書を読んだ後で見直すと、改めて「深み」を感じる。苦痛な日々を過ごした著者には申し訳ないが、読後は「爽快」な気分にもなる。

会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ (マイコミ新書)

2010/10/20

軽い...「目のつけどころ」はあってますかね

『目のつけどころ』山田真哉②
[14/179]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★

『さおだけ屋』以来、約1年ぶりに著者の本を読む。実は新刊で紹介された時に買うか迷っていて、たまたまBookOffの棚で出会ったので...という経緯。前回が結構よかったので期待を持つ。タイトルの付け方はなんか「広告色」が強い感じがしたけれど、まあそれは気にしない。
著者がいう「目のつけどころ」は、①視点②アイデア③アウトプットと昇華していき、これが揃って初めて評価されるべしと。これらの掛け算で成り立っているので、どこかがゼロであっても結論ゼロになる。つまり「視点」がゼロ=つまり視点を持たないことはそもそもダメだし、アウトプット(「説得」という言葉を使用されているが)がゼロならそれもダメってこと。これらは明快であり、しかしながらよく言われていることでもある。視点を可能な限りタクサン持つようにして、本書に書かれたような「パターン」を用いれば、誰でも「目のつけどころ」はよくなる、という主張。これも真なり。しかしながら...「軽い」んですよね。全体的に。「薄い」と言ってしまっては失礼なのですが、なんかコラムとか読んでいるイメージで、どうも深みがありません。さらっと読めること自体は悪いことではないんだけど、何も残っていない感じがする。なんとなく...(著者の提唱している)「穿った見方」をしちゃうと、「ホントにこういった本を世の中に出したかったのだろうか?」ということまで「読んで」しまう。『さおだけ』に比べてしまうと余計に(多くの人は比べると思うけど)そう思ってしまいますね。
唯一、「知識を蓄えることが、相手との情報格差を生み、その格差が「権力」として説得力を増幅させる一因になりうる」という点は、それなりに一般的には本などで情報を得ている自分として、アウトプットさせていく上で役立ちそうなマインドである。けどなあ...これにしたって、「テクニック」にすぎないわけで、説得力を増すために本を読んでいるのか...ある面で正しくある面で誤っている、にすぎないんだろうなあ。
もしかしたら、最大限自分の「うぬぼれ」から見ると、「既にここに書かれていることは意識の中にあるさっ」ってことなのかしらん。それならば少し自信。けれども少なくともこの本から得たものは少ない、ということは事実であり、また会計士としての著者は、やっぱり「そっち」よりの本の方が面白いんではないかなっていうのも事実かも。若干「目のつけどころ」がずれているのではないかな...

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2010/10/19

「賢い」アスリートは必要


『「言語技術」が日本のサッカーを変える』田嶋幸三
[13/178]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

日本のサッカーが抱える、世界との「壁」は何であるのか。超えるためには何をしなければならないのか。協会の立場、日本のサッカーを支える立場にある著者が説くのは「言語教育」である。常日頃から「論理的な思考」を持ち、それを「言葉」を以て伝えることができて初めて、組織としての力が結集される...という内容。留学或いは赴任していたドイツでの体験を元に、その差は「言語技術」であると説く。確かに。著者は「賢い」プレイヤーであるべし、と書いているが、なんとなく(自分はアスリートではないが)わかる気がする。より身近なプロ野球においても、数年前の、特に甲子園で見られた「とにかく打ち勝つ」スタイルから、野村監督の「ID」に象徴されるデータ系に、流れは変わってきているようだし。特に局面が、事前に想定していたものとは全く同一になることはないサッカーにおいては、その瞬時に「判断」が求められるであろう。その判断がただしくできるか否かは、事前学習よりは経験が大きく影響するとは思うが、ある程度の想定をすることに加え、「こうなったらこうする」的な発想を持つこと自体が必要なのだと思う。それが「言語技術」かどうかは別として、突出した能力を持つ選手が出てこない限りは、「1+1=2以上」を求める組織競技では、「賢い」ことが必須のように思える。
サッカー或いは団体競技だけか?いや、チームでひとつの目標に向かって仕事をしているサラリーマンだって同じことなのかもしれない。相手が何を考えてそれをやっているか、それを知るにはまずは、自分が「こう思ってやっている」ことを「言語」を以て伝えることから始めるべきなのだろう。アウトプットですね。背中を見て、とか、阿吽の呼吸が通じなくなっている...それを嘆く前にやること、やれることはあるんだ。そういう気持ちになったよ。サッカーは見るだけで、特に深い興味はないんだけど、読んでいておもしろかったですね。サッカーにおいても(特に若い、幼い時期に)「失敗」をして、そこから何を学んでいくか、学ぼうとするか、それが大事であると。これもどの世界でも共通。そして指導者には「伝える」能力を高めるためにディベートも学ぶカリキュラムがある。これも指導者たるモノはどうあるべきか、ということを考えたなかでの手法であり、ディベート自体がどうこうではなくて、そういう「目的と手段」という考え方が鋭いし、先を考えて、指導者育成→子供たちのレベルアップ→日本サッカーの活性化、という図式を強く信念を持って取り組んでいる姿勢にまず感銘。
自分の周りの組織に足りないもの。それがなんとなく浮かび上がりました。

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2010/10/18

難解。役に立つのか?


『リフレクティブ・マネージャー』中原淳・金井壽宏②
[12/177]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★

タイトルがかっこいい。金井さんの本は以前に「資生堂」絡みで読んだことがある。選書の理由はそれ。が、この本は、「学者」が「論」を難しく書いてある、それ以上でも以下でもない内容。社会人のための「教育」という概念がこれまで非常に薄く、「教育学」と「経営学」のセンセが、持論を披露している。
難しいよ。「~論」をいくら読んでも、アメリカで○○教授が提唱しているように、っていくら言われても、実際に「それ」が発生しているのは現場であって、その展開されている「論」の対象が、日々変化するものであり、またそもそも相手が「人間である」ことが、どこか抜け落ちているような感じが最後まで抜けず。著者自身も説いているように、「学者が研究するセオリー」と「実際に起こっている現象」とのバランスが大事なことはわかる。が、学者センセが提唱する「セオリー」は、もっと「実情に近づこう」とする意志をもたなければいけないのではないでしょうかね...「異業種交流」のヒントを大学主催で実施したことについて自画自賛されているけれども、これって「学者側」が絶賛しているのははたして本当のところどうなんでしょ?って穿った見方もしてしまいがち。このふたつ(論と現場)の共存、バランスが悪い、という以上、自ら近づきましょう。難しく書かれてしまうと、近づこうとするこちら側の気持ちが萎えます。こういう類の本に限っては、持論である「本は1冊全部通して読むことで全体像をつかむことが大事」を曲げざるを得ない。
考え方は同じであっても、「現場」発信で考えたモノのほうが数倍いいだろうね。人事担当者だって、著者の言うような「限りなく理想に近いプロフェッショナル」になりえないですよ、現実的にはね。ベンダーが提供するセミナーだって、それ自体が悪いものばかりではなく、要は捉え方でしょ。捉えるのは「現場」の人間であるので、それを除外して、提供する、選択する側の理論を期待するだけでは進まないよね。
ここから得たものってなんだろう。そういう研究をしている方々っているんだなあ、ってことかな。それを知るために時間をかけたのって、どうも...なんとも...

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2010/10/15

ドラッカーとは無関係


『ドラッカー流 最強の勉強法』中野明
[11/176]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

『もしドラ』が引き続き話題で、何かと目にする「ドラッカー」。『もしドラ』は読んだけど、本人の著書は実は読んだことがない。どうも敷居が高いイメージがあるのと、「マネジメント」は理論ではヒントが見つからない、という先入観もあって...しかしながら興味はあって、その名を冠した本書を読んでみる。どちらかといえば「勉強法」よりも「ドラッカー」の方に惹かれて購入した経緯。
そもそもの勉強テーマの選び方(社会人としての)から、時間の使い方や、読書の手法まで、「ドラッカーはこうしていた(だろう)」をベースに構成されているが、そのあたりの方法をドラッカー自身があまり直接的に残していないこともあり、本書の大筋はあまり「ドラッカー」とは関係ない。著者自身が説く「勉強法」であり、名前を戴いているだけ、という見方もできてしまう。しかしながらその内容は薄いものではなく、参考になるものも少なくない(実際に何か「勉強」を始めてみようかという気になった)。ドラッカーの名を被せなくてもいいのかもしれない。十分通用すると思う。著者自身があとがきで触れているように、「(著した本が)売れる困難」を克服するための手法のひとつか?と本筋ではないところで疑ってしまいがち...
「読書」法についての、「必要なところだけ読むべし」というのは、これまでもあったけれども自分の主旨とは異なる(梅棹さんの言う、「全体構成をつかむことが大事」ということは曲げない)けれども、テーマの見つけ方、継続するための手法(時間管理を含む)、アウトプットの重要性、等、実際に社会に出てから、著作を生業とするようになった著者の実体験も含めて、自分に突き刺さることはある。「アウトプット」これが(個人レベルにおいても)必要だという主張は、(正直出来ていない自分には)耳が痛いことではあるが、本を著さないまでも、なんらかの「アウトプット」は、「インプット」の前提として必須だろう。この「感想文」がそのひとつではあるのだが、なればこのクリエイティブを高める必要がある。そんな思いを強くした。1日時間が経つたびに「勉強」の重要性が増していく、そんな実感が日に日に強くなっていく。も1回自分を棚卸、洗い直すことをしてみよう。
ドラッカーの著書を読むのは...もう少し先かな...

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2010/10/14

「高い」人はやっぱり努力している。


『組織に頼らず生きる』小杉俊哉、神山典士
[10/175]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

清原、中田など「成功している」人が、何故に「成功」しているのか。それを「自己理解」「認知」等のキーワードごとに分けて「解説」する内容。書かれたのが2004年ということを考えると、これらの有名人はもっと「ホット」だったのだろう。清原が何故に修行を行ったのか、そこで何を得たのか、等々あるけれども、例えば彼は本書が書かれた後、さらに「苦労」をしている。同世代の人間として見た目だけではなく、人間として彼が変わっていく姿を見るのは、かなりの刺激になっているのは事実。それを実際に文字にして読むとまたこれが受け止め方も変わってきて、さらに刺激となり。
本書の本質は「人間ドラマ」ではないのだろうけれど、どちらかといえば「考え方」や「モノの見方」にあるんだろうけれど、こうした「表を見せるために裏で努力をする人」というのを読むと、やっぱり「生き方」に寄ってしまうね。読む人それぞれによって読み方があっていいと思う。本になったから知ることのできること、そうでなければ表面的なことしか知らなかったこと。これは自分の「知識」にしなければならないね。
期せずして、前回読んだ『客観力』と同様に、「自分を高めること」の大事さ、枠にとらわれず信念を持って生きることの大事さ、時代の変化に適応することも大切でそれゆえ余計にこれらの「高める意識」が必要になってくること、それらが伝わってくる。以前勤めていた吉本興業の事例が中心の本の「続編」のような感じで、事例が各分野に広がって展開されている、そんな「続きもの」のイメージが(勝手に)自分の中で醸成されて、非常に読む進めるのがスムースだった。
タイトルから受ける印象は「独立・起業」の薦め、みたいなものがあるかもしれないけれど、著者も述べているが、必ずしもそれがベースではなく、企業内でもその「意識」さえ持っていれば、自分は高められる。そう、形態ではなく意識。これなんだよね。軽い言葉に聞こえるけど、「バランス」。
「表」で成功している人の考え方、生き方、努力、そんな刺激を受けて自分、自分たちも変わらなければならない。そして変えていかねばならない。そんな思いが強くなる。


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2010/10/13

「客観力」を養えないけれども...


『客観力』木村政雄
[9/174]Library
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

読み始めるまで気づかなかったけれども、吉本で「やすきよ」のマネージャーをしていた方。自分の価値を高めることを主眼においた内容で、「自分を客観的にみる」=自分を知る、というのは最近多く目にするキーワードである。著者はそのマネージャーから東京支社の責任者、そして大阪に戻る、という「異動」を経験されているのだが(現在は独立)、今では「大手」になっている同社においては「自分で仕事を見つける」スタンスを崩さなかったようだ。これは素敵なこと。吉本だから、なのかわからないけれど、与えられた枠の中「だけ」で仕事をするのは、今の時代、これからの時代においては「賞味期限切れ」になる可能性が高いという。自分で自分の道を切り開くことをしないと、「元気」も生まれてこないし、自分ブランドを高めることもできない。そんなテーマを著者自身の経験やその時に感じたことを事例として挙げながら説いている。年代が異なり、また業種も異なるけれども、すごく人間的な魅力を感じる。自分もそうなれたらいいなあ、と思って読む進めていたけれども、今の自分よりも高い年齢で独立した著者の姿を垣間見、「そうなれたら」ではなくて「そうならなくては」と思うように。著者曰く「会社を社員の力関係は『5分5分』の意識で」という。つまり会社に対して盲目的に従順になるばかりでなく、会社の力を利用して自分を高めることにも意識を持たなければならない、ということ。うんうん。
それから、(よく言われるけど)「守・破・離」ということにおいては、まずは「守」つまり、そこで行われてきている流れ、やりかた、考え方を自分のものにすること、これが大事であって、それがあって初めて次の段階「破」=自己流の考え方、やり方を提案する、というレベルとなる。そうそう。「今の新社会人は「守」を飛ばして「破」を求める。それじゃあ「ホンモノ」にはなれんだろう」まさしく。「守」の大事さ、これ、徹底して伝えなくてはね。
タイトルの「客観力」がどうこう(まとめるとそうなるのか...)というよりもスポットスポットで、「納得」させられるものが少なくない。全体の構成的には盛り上がりが少ないので、最後まで読み切った!感はあまりないものの、後味はよいです。当然にここには書かれていない苦労もされたと思うのですが、そういう艱難辛苦乗り越えて、何がしか「やり遂げた」方の話はやっぱり響きます。素直に心に届きますね。かっこいいです。

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2010/10/11

言葉の選び方が「暴力的」です


『ダサいオヤジは「暴力的存在」である』松尾智子
[8/173]BookOff
Amazon ★★
K-amazon ★

多少なりとも「改革」が必要であるという自覚は持っている。持っている「つもり」の分野であるところの「オシャレ」である。多少タイトルには刺激的なものを求めた「ムリヤリ感」を感じつつも、いつも「オヤジから見た若者論」を読んでいるので、「若者(女性)から見たオヤジ」も読んでみて損はないのではないかと。
のっけから、「暴力的存在」や、「臭いオヤジは悪辣なテロリスト」というフレーズが飛び交う。前述した「読む動機」を思い出し、我慢は続けたが、また著者が必ずしも攻撃的でないことも伺い知れたけれども...やっぱり一方的な偏った、そして言葉を選ばない、読むに値しない本である、という判断をせねばならんね。確かに「見た目」は大事で、その大事さも以前とは比較にならないほどなのだろう。そして「中身で勝負」というのが通用しない、という言い方を何度もされていたが、正確には、中身「だけ」で勝負はできない、ということであり、これは同時に、外観「だけ」でも勝負できない、ということであるよね。けど、本書は「外観」をどう変えるか、という点にのみスポットが当てられていて、外観がよい=中身が悪いはずがない、というのがベースとなって話されているような...順序が?ってことだよね。
自分があまりに無頓着であり、そういう意識も、外からの圧力も感じており、「見た目」が大事であることは否定しない。けれどもそれを煽るがために、「暴力的」「テロリスト」という言葉を使うこと自体、果たしてスマートなんでしょうかね?その時点で失格ですよ。そういう言葉を使う人の話を、信頼して聞くわけがない。そういう見方が最初に植えつけられてしまうから、「結局文中に(さりげなく)紹介されていた男性向けエステとかネイルとかって、著者の仕事関係なんじゃん。PR活動か?」とかいう穿った見方もしてしまう。この本は誰に向かって書かれたのだろう?「オヤジ」の気分を害するためか?若者の同調を受けるためか?「見た目」を意識できるオヤジには本書は必要ないし、そうでないオヤジを「改心」させることができるとは到底思えないね。


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2010/10/10

「楽しく仕事をする」理想形


『新幹線ガール』徳渕真利子
[7/172]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

本書を書いた時点で著者は23歳。アルバイトから正社員へ登用されてすぐに「個人別の売上NO1」になった「新幹線パーサー」。前職のホテル業は、「自分のやりたいことができない」理由ですぐに退職するなど、「今の若者」そのものだけど、本書のメイン「新幹線ワゴンサービス」という仕事については、その仕事に対するひたむきさ、熱さ、それがひしひしと伝わってくる。周りの環境がとてもよい、というのも(著者自信が話しているが)あるけれども、それとて、著者が常に前向きに仕事をしているが故に「引き寄せている」のだと思える。著者は「売上TOP」を狙っていないという。多分それは偽りではないだろう。「お客様のことを思って」「お客様がどうしてほしいか常に考えて」いる姿勢が、すなわち「売上」を高めている。つまりは「売ろう」ではなくて、結果として「売れている」のだろう。
「お客様にきめ細やかなサービスをすれば売上は後からついてくる」
こう言えて、そしてそれがまったく違和感がないのは素敵なことだね。かっこいい。
そんな著者が言う。売上が伸びない理由は...
・自分がきめ細やかなサービスをしているつもりになっているだけで、自己満足でしかない
・お客様にお薦めすえる気持ちが足りない
・お客様が何を考えているか想像力が足りない
うわっ、本質かもだ。お客様が相手のビジネスである限り、新幹線のワゴンサービスであろうが、通信販売であろうが、同じだよね。「自己満足」これ怖いね。間違った方向に進んでいないか...常にこの「基本」に帰る必要がある。著者の素直な書き方から、素直に「基本」を考えるきっかけになった。
著者はこの時点で23歳。もちろん会ったことはないけれども、息子の嫁にしたいくらい「いい娘」だなあって思う。でも22歳も離れてるなあ(苦笑)。読んでいて気持ちよくなった本です。



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2010/10/08

いいところも、そうじゃないところも。


『紫の牛を売れ』セス・ゴーディン
[6/171]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★

マーケティングの4P(Product,Price,Place,Promotion。他にもPublicity,permission等々)有名なフレームワーク。本書はここにさらにもうひとつの”P"を加えるというもの。それはPurple cow=紫の牛、というもので、つまりは「常識を超えたもの」という意味合いを持たせる。消費者の変化によるマスマーケティングの限界(特に費用対効果)を声高に主張し、ニッチなマーケットに対して他と違うモノを売る、という意味だ。まわりくどい。何故「紫の牛」なのかわからない(タイトルが「常識でない」ものになるように、か)が、マスマーケットを対象にする限界や、差別化(スペックだけではなく)、ターゲットの細分化、明確化、というのはよく言われていることだ。本書が書かれたのが2004年ということを考えると、おそらくこの本をベースにした同様の説は多くのビジネス書で既に目にすることが多くなってきている。つまり、その目線は正しい、というか正しいと思われるのだろう。読む順番が違う、と言われればそれまでだが、それゆえに目新しさがない。
ただ、この前に読んだ『論語と算盤』に共通するポイントがあり、変化の速度が速く、複雑化する時代、市場においては、保守的になる傾向がより強くなってくるので、その環境の中では「保守的」になるのは一見「安全・無難」に見えるけれども、それだけでは何も発展しない。発展する可能性すらない。世の中の体制がそのような意識でいる中で、「紫の牛」的な発想をすれば、すなわち「勝ち組」に近づく可能性も出てくる、ということ。これもいいつくされたフレーズではあるが、こんな環境であるからこそ「動く」ことが肝要である、という点。これは間接的にではあるが、読み進めている中で自分が解釈したポイント。
「紫の牛」を作り続けるのかどうか、という点が、そのままでも利益は広がる、という箇所と、結局元にもどってしまう、と書いてある部分と両方あったような...訳の問題かもしれないけれど、何度読み返しても意味がとれないところも少なくなく、読むのにつかえてしまうことも度々。「翻訳」って難しいんだろうけど、これがスムースでないと、「結局外国の事例、考え方なんて...」というイメージに結びついてしまう懸念が。

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2010/10/07

完全にのめりこみ。


『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一
[5/170]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★★

以前、『高校生が感動した論語』を読んで、少なからず「論語」に興味を持ち、「その場」で購入した本。著者の名前はもちろん知っているが、何をした人なのか、は正直しらなかった...すごい人です。「日本実業界の父」であり、明治の時代に、国を発展、元気な日本にするために、商業の活性化の重要性を説く。おそらく(想像できないけれども)幕末の空気が少なからず残っていた時代、政治や教育の制度は整い始めていたのかもしれないが、「商業」は賤しいものとされていたのかもしれない。そんなときに、大蔵官僚を辞して「商業」の世界に飛び込んだ著者...実際に成功したからすごい、というよりはそんな時代背景の中で、「国の発展のため」に、自己の利益を一旦置いてまで情熱を注いだ、そしてやり遂げた、この姿勢に感動する。そして、この本はなんと1916年の本。もう100年も前。そんなことは一切感じさせない。一切、です。「現代の若者」や「教育制度」、「自己利益のための商業というモラルの低さ」、これって新刊で読んだビジネス本とまったく変わらない。これって何?100年たって表向き日本の経済は世界レベルに達したのかもしれないけど、それに携わる根本的な問題はなんら変わっていない、ってことか?それならそれで、「改善すべきポイント」が明確であることは、次へのモチベーションになりうるので悪いことではないよね。
本書は当時の「講演」をベースに編んだものらしいけれども、一貫してあるのが、
・正しいことを貫くこと。これは商売に携わる者に限らず
・正しい考えを元にしていなければ「表面的に」成功しても無意味。
・一時的に「悪」が成功したようにみえる場面もあるかもしれない。でも最終的には「正義」が勝つ。
著者は商業への意識についても「論語」を、「論語」だけをその信念として持っている、という。そもそも読もうとした動機である「論語」については詳しくは述べられていないけれども、商業に携わる身として、いや、この世に生を受けた人間として、どうあるべきなのか、ということを、本質的に考えさせられる。これを読んでしまうと、所謂コンサル系の本は読めなくなる。だって、同じことを焼き直しているに過ぎないから。
特に後半にあった、「ビジネスへの心構え」的な一節(「細心にして大胆であれ」)は、何度も読み返した。保守的になりがちな環境を打ち破らなければ、そういう意識を持たなければ、本当の意味での自立した人間たりえない。つまり自分の「価値」の問題である。これ、コピーする。常に携帯する。
久々に最後まで響く本に出会う。今年読んだ中でも最高レベル。「100年前だから」ではない。心底響く本である。読み終わった後、自分の中で何かが変わった気がするほど。興奮。

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2010/10/06

一般的な若者論。本質は...


『私は若者が嫌いだ!』香山リカ③
[4/169]BookOff
Amazon ★★★
K-amazon ★★★

タイトルからしても、その内容にしても、おそらく「若者」が読んだら反発するだろうなあ、って思う。けど、若者「でない」自分の年代が読むと、同意同意、すーっと入ってくる感じだろう。自己中心的、未来志向のなさ、社会的な責任への配慮のなさ、他人に置き換えることのできない考え方...ここで初めて目にすることはないです。表面的には「だから今の若者は...」論に見える。だから指摘される若者は反発する(これは本書に書かれた「若者」像、そのままだが)。けれどもなんとなく著者のいいたいことは、否定「だけ」ではなくて、なんとか理解したい、近づきたい、という意志があるように見える。見えるだけなのか...
その言葉ズバリは書かれていなかったと思うけれども、自分が感じるのは彼らが「考える」ことをしなくなっている、という印象。「会社や組織は自分にとってのサービスを提供する場」であると捉え、仕事を与えてくれる、やりかたを教えてくれる、そんなイメージをもっているから、それが無いとどうしたらいいのかわからない、不満を持つ。そんな繰り返し。これを「甘い」といっても、そもそもそういう考えがしみついているから、自らを変える、という発想の土壌がないから、かなり厳しい。
かという自分はどうなのか。自分が「若者」の頃もきっと似たり寄ったりだったのだろう。実際に本書に書かれていた若者の「生態」について、自分にも(過去の自分にも、場面によっては現在の自分にも)当てはまるかも、と思った箇所はある。でも、会社が「与えれくれる」という感覚とか、なんとなく「そうじゃないんだ」って(やっと)思える時期がどこかの時点であったと思う。それに気付かせてあげるのが今の立場、と言われてしまいそうだが、いやいや「若者」はそう簡単ではない。
本書は、「大人から見た若者」という内容で、それ以上でもそれ以下でもないと思う。これ読んでどうこう、ということは基本ない(あるとすれば彼らを「引き上げる」ことをあきらめるくらいしかない)。これからどう付き合っていくか...そんなことを考えるきっかけにはなるかな。相手は「若者」だけでなくてね。

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2010/10/05

久々の「勝間本」悪くないねー


『自分をデフレ化しない方法』勝間和代⑦
[3/168]bk1
Amazon ★★
K-amazon ★★★

「勝間本」は、去年の12月以来。久々に読みました。本書のAMAZONレビューのみならず、Twitterの話題においても、結構風当たりの強い勝間さん。テレビに出れば何かとつぶやかれ、新刊を出せばあらさがしをされ...「有名税」なんでしょうかね。まあ、批評のほとんどが本や著者の主張とは違うところで言われているようなので、著作自体の価値は下がることはない(かも)。なんだかんだで私も「勝間本」7冊目です。著者別では多分一番多い。なぜか?本書でも感じたことだけど、「読みやすい」というのがひとつ。あとは、これだけ(あることないこと)言われている著者がどんな新刊を出すのか、っていう少々ひねくれた動機だったりもするけど。
本書は、タイトルにあるような「自分をデフレ化しない方法」については正直語っていない。ただ、デフレがよくないこと、その原因は日銀にあること、という著者の「本業」たる経済評論にかかる主張を貫いている。タイトルで期待をそがれた、というレビューもあったけど、それはそれ、今の日本の元気のなさ、その一因が、「デフレ」または「デフレ対策」にあるんでは?という主張。なぜデフレが原因なのか、どうすればいいのか、ということを経済のプロの目線で書いている本。その主張があっているかどうか、は別にして、「日本の元気、希望、感謝が失われつつある」それを、デフレ克服でなんとか盛り返そう、というのは、読んでいてイヤな気分になるものではない。なんとか教授のマクロ経済「学」よりもずっと面白い。その主張が自分の考えとあっているかどうか、というのは本の評価、ましてや著者の評価とはまったく無関係であり、著者に対して「バッシング」することが大勢を占めている、というそんな環境であるだけで、読んだ自分が感じる価値というのは、それに左右されるものではない。
確かに(ど素人の私が「評価」するのも変だが)著者の本は、結構「あたりはずれ」が多いのは事実。でもその中では「よかった」と思う。「感謝と希望を取り戻すために」繰り返される著者の主張を深読みする必要はない。ひとつ加えるとすれば、やっぱりどこかに少しでもいいので「自分をデフレ化しない方法」をも書いてほしかった。それは「次」なのかな。

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2010/10/04

元気なのは間違いない


『満足できない女たち』田中亜紀子
[2/167]BookOff
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★

副題に、「アラフォーは何を求めているのか」。所謂「世代論」ってあんまり好きではない。特定の年代層をひとくくりして「○○世代」と表現することになにか意味があるのか?「この世代の特徴として~」と論じることに意味が?仮に「そうそう、そういう傾向ってあるよね!」レベルまで踏み込んだ論調だとしても、それに続くのは「で?」って台詞である。なのになんでこの本を読んだのか...「アラフォー」というのはまさに今自分が携わっている商売のメイン・ターゲット層である。彼女たちのことを知らずに商売などできませんっ...てのが今の考え方で、その「知るため」のひとつのヒントとして手にした経緯。ここから「マーケティング」だのなんだのって期待はしていない。
本書では「雇用機会均等法」が施行された時期に合わせて、「均等法(第一)世代」等で区分している。確かにそれを意識していた人も少なくなかろう。そして(本書でも厳しいシテキはあったけど)男性はそのあたりまったく無関心だったけれども。けれど、「私は均等法第一世代として云々」とか、「当時」就職戦線、新社会人時代をそういう気持ちで「戦って」いた人はどれだけいたんだろう?結構こういうのって、あとで振り返ってみれば、っていうこじつけのところはあるよね。自分が「バブル期」に生きていた、ってのを今振り返ってみて初めてかみしめるように。「世代論」の受け入れにくさはこういうところかもしれない。結構主観的で、「ライブ」ではなくて「過去」よりの考え方、理由づけであって、なんだか「そういう結論にしておいた方が、すべてしっくりくるから、気持ちが楽になるなあ」的な位置づけであるような気がしてさ...
本書においては、元気な「アラフォー」に対して、ある程度の「理由づけ」を著者が試みてはいるものの、「その世代」である著者自身も「アラフォー」たちの元気さに圧倒されて刺激をうけて、理由を見つけることよりも、「元気だから頑張ろう」的な結論に至っているような感じ。それでいいんでないかなあって、「男」たる自分は思ってしまう。元気があること。これが一番だし、それに理由づけは要らない。「対策」はいるかもしれないけど...
自分の身の回りを見ても、自分が20代の頃に見ていた40代の女性と、いざ自分がその年代になった今見ている40代の女性、まったく違うね。特にそういう「アンチエイジング」系の商品を取り扱っているせいもあるけれども、やっぱり「アクティブ」ですよ、実際に。「元気」なのは昔も元気だったかもしれない。「おばちゃん」としてね。でも今の「元気」は、「かっこいい」部分もある。同世代の男性があまり変化がない、ということに比べたら...目の前の扉が開かれた(開いた)光の強さ、そこから見える「夢」の大きさ、なんだろうと思う。「夢」を見ないと人は元気がでないよね。「アラフォー」には限らず、それは大事なことなんだろうねー。

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2010/10/01

こういう「マーケティング」がいい


『シュガーマンのマーケティング30の法則』ジョセフ・シュガーマン
[1/166]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★

電卓、サングラス...これらの「通販」で大きな成功をおさめた著者。そのノウハウを本書で披露...というフレコミで、通常であれば「うさんくさい」感じが正直するんだけど、実は、自分の「あこがれ」の同業他社の方が読んでいる、というのを目にして、「なら自分も!」ということがきっかけで出会った本。
うさんくさい...このマイナスの前提があったから、というレベルを超えて、「マーケティング」の本としては秀逸です。国は違えど同じ「通販」というフィールドがベースになっているから、というだけではない。最近読んだ本の中でもいくつかあったような、マーケティング「論」ではなく、まさに「実践」であり、そのまま「直接」ではないにしても活かせそうなヒントはあちらこちらにある。活かせそうな、ではなく活かすように動いてみるべき、と表現しなければいけないね。
・一貫性の法則(一度こうする、と決めたら、それを続ける=「ついで買い」)
・シンプルが一番(選択肢を増やす、事細かな説明が本当に伝わるのか)
・帰属意識(ベンツを買っている層の仲間に入りたい意識)
等々、「モノを買う消費者」の心理をこれほどまでに的確につかんでいる本はないんじゃないか、って思える。なかでも、
・人は感覚で買い物をし、その買い物を理屈で納得する
これって深い。自分に当てはめれば当然、と思えるんだけど、いざ「売り手」になってしまうと、「理屈」で埋め尽くしたりしてしまう。でも最初に接触して動機づけされるのは、「感覚」なんだよね。納得。
本書の中でも何度か登場したけれど、この本の根底にあるのは(著者の考えの本質は)、「お客様を知る」こと、そして「お客様に対して正直に接する」ことにあると思う。誠実さ、正直さ、というキーワードが出てくる。これほどに成功した著者が、
「消費者は賢い。お客よりも賢い売り手はいない」
と断言している。これって深い。「だます」ようなことはつまり不可能なんだよね。誠実、正直ではないし、賢くない人が賢い人を、テクニックを使ってどうこうする、なんてことは考えるだけ無駄。それよりも(まずはそういう=誠実な、正直な人間になる、という前提があるけれども)ひとりの人間として正直に包み隠さず接する、マイナス点はマイナスと伝える(それを克服する方法も提示する)、プラスの面は自信をもってプラスであると提示する。あたりまえかもしれないけど、なかなかやりきれないこと。やりきる人が成功するんだろう。
さてその前提となる「誠実」になるためにはどうしたらいいんだろう。本書が答え(ヒント)を与えてくれている。曰く「意識すること」。これも深いねー。テクニックではない。意識して誠実になること。これが一番の近道だし、唯一の方法なんだ。これも「あたりまえだけどやりきれない」ことかもしれない。
ながく手元に置いておきたい本。誠実な、正直な、そして自信を持った著者の情熱が伝わってくる。久々に「いい本」を読んだ。「あこがれ」の方の選択は、やっぱり素晴らしい。

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