『「共感」で人を動かす話し方』菅原美千子
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「伝える」話し方のプロである著者は、アナウンサーであり話し方の講師であり、話す「内容」だけはなく、組み立て方、見た目も含めたイメージの影響力、等々いろいろな場面でヒント、参考になる内容だった。例えば「BtoB」のプレゼンの場面だけではなく、講演、あるいは社内でのコミュニケーション、さらには「BtoC」の領域も。そういった意味ではコミュニケーション手段としての「伝わる」「動かす」話し方というのは、テクニックとしてではなく、アウトプットとして身に着けるべきスキル。副題にあるような「ロジックだけでは伝わらない」のは明らかであり、その前に発生する「感情」部分を視野にいれた「共感」の大切さを学ぶ。
確かに、わずかな人数であるチーム内でも「人を動かす」ことはとても難しい。「命令」であればその場は動かせるだろうけど、それでは「スポット対応」に過ぎないのだろう。「動かす」の前に「伝わる」(「伝える」ではなくて)ということを意識せねばならないね。ただ...相手を承認すること、命令ではなく要望を伝えること...書かれている内容については、正直以前にもどこかで見たようなものが多いし、また、若干の「キレイゴト」のような印象もある。本書の最後に書かれたフレーズ、「他人は変えられない。変えられるのは自分だけ」よく目にするものだ。自分の環境に置き換えてみれば確かに自分自身が変わらなければならない点は多い。でもなんとなく本書を読んでいて違和感を感じたのは、「動かす」というのは相手を変えることなのでは?と捉えられて、相手を変えるスキルを述べてきて最後に「変えられない」という矛盾を言われた感が...
それから(これは現在の自分の周辺のレベルの問題だが)、「相手」が一定レベルまで達していない場合について、なにかヒントがほしかった。相手を承認して(承認していることを本人にも分かってもらう)、その後に要望するなり、動かすなり...ということは理解できるが、そもそも「承認」のレベルまで達していないケースがある。常識のズレ、というのかな。価値観の相違というのか、結局「変われるのは自分しかいないから相手に合わせる」ことだけであれば、限界はありそうな...やっぱり相手も(一定レベルまでは)「変えて」行かなければならないのだと思う。このあたりについて書かれた本はないけど、えてして「マネジメント本」って、「相手」が一定のレベル、という前提があるんだよね。だから現実的ではなくなってしまう。
もちろん自分自身の「成長」はどんな場面でも必須、それは認識です。
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