2010/07/11

一見「軽い」けど、実は...


『脇役力<ワキヂカラ>』田口壮
[7/110]bk1
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今年、メジャーリーグから日本野球に戻ってきた田口選手。同期入団にイチローがいる、ということで余計に、こんな書名がしっくりきてしまう...がその技術的な面はもとより、日本での活躍、そしていろいろあったとはいえメジャーリーグでも残してきた実績、どれをとっても「一流」であることは間違いない。一流の田口選手をして「脇役」という立ち居地であると考えられちゃうのが「プロ」の世界、われわれの世界とは一段階も二段階も「上」なんだろう。そんな田口選手本人の書、「脇役」の役割を、プライドを持ってやり遂げる、その大事さが書かれているような気がします。その根本にながれているのは、「代打でいい、と思ったことはない。常にレギュラーを目指している」、この考え方を徹底しているが故の「脇役力」である。そしてもうひとつ
「チームの勝利があって初めて実現する脇役力」という考え方。
これってさ...つまり「全体最適」、チームの目標、っていつも自分が気にしている、悩んでいることじゃん。これに向かってチームが固まるのかどうかって。田口選手は「野球選手」でもあるけど、「プロ」なんだよね。この「プロ意識」がすごい大切なんだ。「脇役力」から学べるとは思ってなかったけど、つまり今の私たちに不足しているもの、それをひとことでいうと「プロ」という言葉になるのかも。
そして。彼がセントルイスに所属していたときのトニー・ラルーサ監督の話があったけど、所謂「個性派」を何人も抱えて(しかもメジャーリーグの場合には多国籍だ!)、それを「チーム」としてどうまとめていくか、っていうところに言及されていたけど、監督は個々の選手の性格をつかんだうえで、脇役も含めて最大限その力を生かせる「場所」を見つけるのがうまいと...著者は「人心掌握術」と表現していたけどね。メジャーリーグの監督は大変だろうなあ、と思いながら、やはりそこは「人心掌握」というか、「お互いが信じられる関係作り」この基本は変わらない、これに置き換えら得るものは無いんだなあ、という思い。あるとすれば「使うテクニック」になっちゃうしね。
田口選手のよいところは、もちろん大変な苦労をされてきているのは間違いないけど、例えばこの本においても後ろ向きのイメージはなく、笑顔で前を向いている、そんなポジティブイメージがでているところ。だから読んでいて楽しい。メジャーリーグって楽しいところだなあ、とか、今年から日本でプレーされるけれども、やっぱり応援したくなる。「プロ」って、かっこいいね。


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