2010/07/16
かなり「やられ」ました。
『その科学が成功を決める』リチャード・ワイズマン
[11/114]bk1
Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★
巷にあふれる「自己啓発ツール」を科学的観点から斬る!みたいなイメージで始まった。「自己啓発」についてはそれなりに読んできている。読んできているがまだ「啓発」されきっていないけど、そこは「それで解決はしない。きっかけにすべし。」という自己評価があって、「それはそれで」というユルい感覚しかない。
で、たとえば、
・人(こども)はほめると伸びる
・成功をイメージする
・マイナス思考のモトを絶つ
・個人よりも集団で考えればよいアイデア
等々、「よく言われる」セオリーから、
・モーツァルトは胎教によい
・気をひきたい相手に冷たくする
といった「個人」的なことまで、まずは「科学」的な実証データでバッサリ。それはそれで気持ちよいものと「科学」で考えてホントによいの?という感情と混在するが、この本のよいところは、その「通説」が科学的に根拠がない、と一刀両断した上で、じゃあ、こういうふうにしてみましょう!という提案があること。これで「否定してばかり」という(「科学」にありがちな)ネガティブなイメージはまったくない。「科学が証明しているからそれでいこー!」ではなく、「そういう方法も実践してみる価値がありそうだね」という感情が生まれる。うまい。
そして本書の構成についても、ビジネス絡みのやや「重い」テーマが続くと、「婚活で勝つ方法」的なユルいテーマがあったりして、約300ページの長さを感じさせない。うまい。文調も「科学的」というよりは、ユーモアを交えたユルいもので読んでいてまったく苦痛は感じられない。
著者は心理学を突き詰めており、そして元マジシャンらしい。さすがに「心理を読む」に長けているなあ、と思う。読み終わった後に思う。読んでいる間は結構引き込まれる。
ひとつだけあげてみるとすれば(すぐに「実行」するものとして)、
・成功した自分ではなく、前進する自分をイメージする
というところ。目標達成した姿ではなく、それに向かって一歩一歩前進する姿を思い描く。これならできそうだし、くじけなさそうだし、言われてみればその方がプラスになりそうだ。
邦題はちょっとイケてない気もするが、読んでみてプラスになる。「科学」を好きになる、というおまけもついてくる。いいね。お勧めです。ただ、「自己啓発本」は今後読みにくくなるかも。
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