2012/08/22

「人物」にならねば...もっと「前向き」な内容ならよかったけど


『ビジネスマンのための「人物力」養成講座』小宮一慶⑫
[13/148]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

小宮さんの「○○力」養成講座は、結構好きなシリーズで、「発見力」「社長力」「数字力」「解決力」に続いて5冊目の読書。そして今、最も重点と思っている「人物力」である。期待は高まるのだ。

「はじめに」で、「自動改札機で財布をたたきつけるように通り過ぎる」行為についての考察から入ります。確かにどんな優れた仕事をしているような方でも、電車に乗る時は「一乗客」であって、そんな些細な行動に「人物力」が表れたりするんだなあ、と気づく。
ここから、逆に「行動」を改善すれば人物力があがるかもしれない、という「講座」が始まります。

ビジネスで大成功を収めた人、というよりも過去から現在、そして未来にも語り続けれられる人は、そのビジネス的な成功事例よりも「人物」としていかに尊敬できるような行動や言動をしたか、で語られることが多い。一時的なビジネスでの成功、で有名になる人は少なくないかもしれないけれど、そんな表面的な人とは一線を画しているような気がします。

そしてそのような行動、言動が出来る人は、やはり「信念」を持っていらして、そしてそれを貫く強さを持っている。もちろん逆境は経験されているだろうけれど、それを表に出さず、それを乗り越えた力強さがみなぎっている感じがします。

そんな人たちに近付くためにはどうすればよいのか。本書にあげられているような「条件」(心配り、決断力、奢らない、他人のために生きるなど)が自然と身に付くような経験をされて、それを実行し続けること。
何よりも「人物力」をあげることを目標にしてきたわけではなく、自らの信念に基づいた行動を「継続」してきた結果が、「人物力」を上げたことであり、ビジネスでの成功であるわけです。

そのために、「今はまだ一般的な人物力」 しか持ちえない私たちができること、を解説してくれるのが本書であるのですが...小宮さんの本を何冊も読んできた読者には、あまり目新しいものはないかもしれません。大事なことなので何度も書くことにまったく異論はありませんが、どこかで語られていたことの総集編的な感じがしてしまうのがちょっと残念(実際に、「この本読んだっけ」と何度も思ってしまった)。

あと、「人物力」を磨くことが大事で、「こうあるべき」というテーマで語られていくのと同時に、「こうなってはならない」というネガティブな事例が多く出てきています。現実的に、未熟な私たちにとっては「できていないところを改善する」方がわかりやすいのかもしれませんが、「こういう行動をしては駄目」というのがまありに多いと、ちょっと前向きな気持ちが萎え気味になってしまう危険も...

「人物力」を鍛えるには、素晴らしい「人物」である人の行動、言動を受け入れ、それに感動し刺激をうけるのが一番だと思います。「こうなりたい」って思える人、言葉に出会うことが大事かと。そういう意味では「こうならない」的なアプローチが主体である本書はやはりネガティブだなあ、と思います。

「はじめに」の、「自動改札でたたきつける」ひとたちに人物力が備わっていないのは明らかですが、それを気にする自分たちもまだまだ、っていうところですよね。

【ことば】...会議や会食などの席で妙に深刻なことを言ったりして、その場を緊張させるのは、頭がよさそうに見せたいのかもしれませんが、まず間違いなく「小物」です。

残念ながら、そのような人にたくさん会ってきました。多分彼らが「小物」であることは誰もが感じているのですが、ポイントは自分がそうなっていないか、気をつけることかと思います。そういう「小物」の行動は、意外にも影響力が強いものですから...

ビジネスマンのための「人物力」養成講座 (ディスカヴァー携書)


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