- 巨悪 仮面警官VI (幻冬舎文庫)
- 発売日: 2012/06/12
『巨悪 仮面警Ⅵ』弐藤水流
[2/117]
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K-amazon ★★★☆☆
「警察小説」というジャンル、らしい。初めての世界です。主人公は「過去のある」警察官。登場するのは、警察、国家権力、裏社会。舞台は日本のみならず中国も絡み...場面が目まぐるしく変わり、登場人物も多数...そうなのです。登場人物がやたらと多い印象が。はじめに「登場人物一覧」が出てくるのですが(24名)、時々ここに戻る必要もでてきたりとか(自分だけでしょうけれど)。
主人公は死んだと思っていた過去の恋人の生存を知ります。ところがまたしても目の前から消えてしまう彼女。連れ去られた背景は何が...そこに暗躍する国家権力とヤクザ集団。日本初の女性総理大臣の過去も一部絡んだり。
ひとつの「情報」をめぐって多くの人が動きます。そしてあれだけいたはずの登場人物が一人ひとり消えていきます(消されていきます)。あまり血なまぐさいシーンは好きではないのですが、そして登場人物が多すぎるのも抵抗があるんですが...
しかしながらこの小説は、読めちゃいます。苦手なパーツがいくつかあるような自分でも、引き込まれてしまう場面はありました。登場人物の背景などあまり小さなこと(ちいさくはないのかもしれませんが...)にこだわらず、どんどん先に行くように読み進めると、ストーリーの展開の早さとうまくマッチングする感じです。スピード感でしょうか。
実際にこの小説に出てくるようなことが起こったら困ります。国の体制が揺らぎます。何を信用したらよいのか不信感にとらわれてしまいます。もちろん「架空」のものとして読みものとして楽しむべきものですが、読み終えた後に地下鉄丸ノ内に乗った時は落ち着かなかった...理由は本書にて。
シリーズものなんですね。しかも最終編。クライマックスから先に読んでしまった...順番は違えど、Ⅰから読んでみたいとも思います。普段ビジネス書や、小説にしても「のどかな」ものを中心に読んでいるモノにとっては、良い意味で刺激的でした。
最終章だけしか(今のところ)読んでいないので、特にこの篇がそうなのかもしれませんが、ちょっと人が死んじゃい過ぎ、なところはあります。裏の社会が絡むのですが、そしてあくまで小説なのですが、現実とのかい離があまりに遠くなると、「この本の中」だけで完結してそれで終わり、っていう刹那的になっちゃいそうな。そのような生々しいシーンが強烈で印象的なのですが、それぞれの人物の「人間味」のようなものも描かれています。そのギャップのせいかもしれませんが、人間ドラマを感じる場面も少なくありません。
【ことば】 まともに歩けるようになるのは難しいかもしれない、医師からはそう告げられている。かまわなかった。まともでなくとも、足が動くかぎり前へ進める。
実際に身体のことを言っているようですが、それとともに、「生きる」という部分についての意味も含まれています。たとえ障害があっても前に進む努力。一歩踏み出すことで何かが変わること。一歩がないと何も変わらないこと。大事なことが込められているような。
巨悪 仮面警官VI (幻冬舎文庫)
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ミステリー三昧
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