2012/07/15

かなりの数の「?」と、わずかな「!」が残った

あたらしい東京日記
あたらしい東京日記
  • 発売日: 2012/06/25

『あたらしい東京日記』服部みれい
[10/125]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

編集者、著者...その世界では「カリスマ」と言われる著者の、「日記」である。本当に「日記」なのだ。起床時間、食事、誰と会う、何を買う。著者自身が本書の中で吐露しているが、「日記を発刊すること」の意味を捉えかねているようだが、読者、特に自分のような著者を存じ上げない(すみません...)者にとっては、深い感情移入はムリがあるような設定。

お忙しい毎日を過ごされているとは思いますが、半身浴だの瞑想だの、買い物だ、食事だ...著者の「日常」に興味関心を持たれている方にはツキササルのだと思いますが、どのような方かわからないままに読み始めると、少々キツイ。著者自身の言葉であったように、仕事のコアな部分は書かれていないことが多分にあるだろうし、「オオヤケ」にできる部分は単調になりがちであるし、著者を中心に描かれる交遊関係、コミュニティにしても、それがとても暖かい、うらやましいくらいの関係性であることは読みとれます。
が、一方ではかなりのレベルで「ウチワ」なので、一度「ヒトゴト」と感じてしまうと、埋まらない距離になりがちであり。難しいですね、こういう「日記」って。

携帯電話を持たない、という実験や、仲間とのテレパシー実験など、本書のための(?)「企画」モノも含まれていますが、こういう「企画」があるから却って、「日常」が書かれている日記とのギャップが生じて、本書の流れを悪くしてしまっているみたい。


なんだか「ブログ」でいいなじゃね?という内容も多かった。ブログならば、例えば「半身浴20分..」云々に興味が薄ければ読み飛ばせるんだけど、「紙の活字」って(ブログのように)読み飛ばすことがしにくい。「本」である意味付けとして、そういう「企画」があるんだろうか...
 
著者が、仕事に対しても私生活でも、「自然体」で取り組まれていて、且つ、手を抜かないでがむしゃらに取り組む姿勢には刺激をいただきました。自ら「仕事でいっぱいいっぱい」と発言される方ってあまり好ましくないんですが、著者の場合は、さにあらず、でした。それは経営者でありつつも「現場の仕事」を大切にしていること、愚直にやることの大事さを持っていらっしゃるから。

自分にとって新しい世界観。こんなに頑張っている方もいるんだ。それに出会えたことに感謝しよう。

【ことば】 ...先生は、月曜日と火曜日を「自分との打ち合わせの日」としているのだって!...その日は完全に携帯を切ってしまうのだそうです...そして「現代は不足が不足している」とも。

著者が実験的に「携帯不携帯」に取り組んでいた際の話。現実的に自分の「今」、携帯不携帯はできないけれど(不携帯によるデメリットが上回っているから)、「不足が不足している」というのはササる言葉ですね。そのための技術開発であり、生活向上なのでしょうけれど、人間の性、「足りないもの」を欲するようです。

あたらしい東京日記


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