2012/07/18

コミカル...ではなく、人間ドラマです

てふてふ荘へようこそ
てふてふ荘へようこそ
  • 発売日: 2011/05/31

『てふてふ荘へようこそ』乾ルカ④
[11/126]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

最近「お気に入り」の作家さんです。どちらかといえば「硬派」な印象なのですが、本書はタイトルも表紙デザインもコミカルな感じで、ユーモア小説か、いう印象。

ストーリーは、「てふてふ荘」というオンボロアパートの「住民」が主人公。破格の家賃、その理由が明かされていきます。6部屋あるそのアパートには、住民「以外」に住んでいる者があります。かなり非現実的(非科学的)な設定ではあるのですが、著者の筆の強さ、それを受け入れてもあまりある面白さで、どんどん進む。

設定自体は、「小説的な」「オカルト的な」ものであるのですが、けして鬱々とした展開ではなく、住民ひとりひとりの背景、住民「以外」の置かれた背景が、みごとにひとつの話しとして完結していきます。部屋ごとに短編ストーリーが置かれ、それぞれが繋がっていく。テーマとしてはおどろおどろしい世界かもしれませんが、ある一線を越えたヒューマンドラマ、生きることの難しさと大切さが描かれてるように思います。

部屋数と同じ6つの話し、そしてそれを「まとめる」話しで構成、それぞれが同じ舞台で繰り広げられる主人公違いのストーリー。初出は雑誌に3カ月おきに連載されていたようで、もしもそれを読んでいたら、続きが気になってしょうがなかったであろう、そんなワクワク感を以て最後まで読み切り。

もしかしたら少しだけ「(社会的に)遅れをとっている」住民たちも、それぞれの背景を抱えて前向きになっていく姿に少しうらやましかったり。同じアパートに住む、という緩いネットワークでありつつも、そして最初は必ずしもその住居に対して満足していなかった住民たちが、アパートの存続にかかわる事件に対して団結する姿。

小説の世界、と割り切りつつも、「楽しめる」内容でした。少しずつでも、成長していく姿を見るのは、小説の世界でも楽しい。そして刺激を受けます。

【ことば】高橋君の中にも、ちゃんとヒーローはいるよ。だから、きっと...目をつぶる。一緒に笑い、過ごした日々の一つ一つのシーンを思い出す。逃げるなら、ここに来る前の自分にだってできる。

生きていれば、思い通りにならないことはある。むしろそちらの方が多いかもしれない。でも、逃げなければ、たとえその結果がどうであれ、必ずその次につながる。逃げずにやったことは、絶対に無駄ではないのだから。

てふてふ荘へようこそ


>> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<

Bookworm
DOしよーかな
 

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