2012/07/10

あらら...コンサルの参考には...

コンサル日記
コンサル日記
  • 発売日: 2008/07/01

『コンサル日記』斎藤広達④
[7/122]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

3年前に読んだ『サンクコスト時間術』は自分のバイブルです。著者の本は4冊目ですが、しばらく著作活動を休止されていたそうで、しかも本書は「小説」スタイル、タイトルからの印象も期待値を高めてくれました。

35歳の主人公は、かつて大手コンサル会社で勤めていたけれど、わけあって今は個人でコンサル業を営む。結構ボリュームの大きな仕事をされているので、駆け出しで汲々としているような姿ではない。まさに「日記」のように、案件やそれに関わる人たち、主人公の周りでサポートする仲間たちが描かれます。

が...どうも主人公のキャラクターにいまひとつのめり込めません。独立したとはいえ、「仕事を選ぶ」スタイルのような感じだし、仲間内に仕事内容を話しちゃう性格のようで、口の軽いコンサル、という「できるコンサル」とはま逆の方向のように印象づけられます。そして、「コンサル日記」というタイトルから自分が想像していたのとは異なる場面、すなわち、男女の恋愛に関するストーリーが少なくないボリュームで表現されます。

もちろん、「小説」として楽しめばいいのでしょうが、少なくともある程度の「コンサルとしての」姿を読みたいと思って手に取る人も多いのではないかな。その人たちにとっては(自分がそうであったように)期待外れに終わってしまいそうです。

コンサルティング業務としての成功例、失敗例、それが印象に残らないのです。どうも主人公の「魅力」が感じられないまま、仕事以外のシーンが半分くらいあるので、ふわふわと中途半端な感が...

 折角、実績も筆力もある著者だけにちょっと残念です。 やはり「現場」のことをそのまま伝えていただくほうが、著者からのメッセージが伝わりやすいかと。活動再開されているようなので、小説ではない「次回作」に期待して、待ちます。

【ことば】日々の糧に苦心する連中には革新なんて起こせない...潰れそうな中小企業の資金繰りの手伝いをしていても、世の中を変えられるような凄い仕事はできないぞ

主人公が父から言われる言葉です。確かにそうなのかもしれませんが、個人でコンサルである彼には「反論」してほしかったですね。「何も言い返せない」と結んじゃうと、この小説からのメッセージが何であるか、まったく読めなくなってしまうよ。

コンサル日記

0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter